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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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西王母VS白鬼

鬼塚おにずか川島かわしまが、大阪に通じるハズであった空間の穴から出ると、想像そうぞうとはちがい古風な屋敷やしき庭園ていえんに出た。

「あれっ、梅田うめだにこんな所あったかな?」

 大阪の梅田に出ると思っていた鬼塚は、不思議ふしぎそうにあたりを見回す。

「社長。ここは、梅田どころか大阪では無いと思いますよ」

「ほんだら、どこやろ?こまったな、知らん所へ来てもうた」

「スマホで現在地を調べてみます」

 川島が、上着のポケットからスマホを取り出そうとした時

「そこの2人、こっちに来なさい」

 屋敷やしきの方から声が聞こえた。

「なんか気味きみが悪い声が聞こえたで。こんなに所いつまでも居らんと、一度ロシアに戻ろうか。大阪への時空移動じくういどうは失敗したみたいやし」

「いや、失敗したんじゃ無く、誰かが時空を操作して、我々をココに呼んだのではないでしょうか」

 川島は何かに気付いたようだ。

「俺らみたいなモンを、誰が何の用で呼ぶんや」

「あの方みたいですよ」

 川島が指さす方に、一人の男が立っている。

「あっ、あの人は、まさか…」

 男の顔を見た鬼塚が、急にビビり出した。

「どうしたんです社長、知ってる方ですか?」



 白鬼はっき対峙たいじしていた西王母せいおうぼは、九字くじとなえだした。

りんぴょうとうしゃかいじんれつぜんきょう

 すると天に9個の丸い球体が現れた。

「なんだ、あの玉は?」

 加藤かとう不思議ふしぎそうに玉をながめている。

「そんな物で、われ攻撃こうげきふせげぬぞ」

 白鬼はっきが口から西王母せいおうぼに向けて、多量の瘴気しょうきき出した。

 だが、瘴気しょうきは西王母に向かわず、天に浮いている9個の球体に吸い込まれて行く。

「なんだと!」

 おどろいて球体を見る白鬼。

「この『久宝蓮華きゅうほうれんげ』の玉は、瘴気しょうき邪悪じゃあくなエネルギーを全て吸い込んでしまうのよ」

 西王母が説明する。

「うおおっ!」

 瘴気しょうきを吸いくした球体は、白鬼の身体からも黒い邪悪じゃあくなエネルギーを吸い取って行く。

ーー西王母さんは、こんなにもすごい力を持ってたのかーー

 加藤は柴犬しばけんでながら、感心している。

貴様きさまなんぞに、られるわれではないわ」

 白鬼は、エネルギーを吸い取られながらも、突進とっしんして来た。

 肉弾戦にくだんせんでは、体格的に白鬼が圧倒的あっとうてきに有利である。

格闘かくとうでも私を倒すことは出来ないわよ。何故なぜなら私は浪速空手なにわからて黒帯くろおびだから」

ーーおおっ『久宝蓮華きゅうほうれんげ』のようなまぼろしじゅつから、浪速空手のようなローカルな格闘技かくとうぎまで修得しゅうとくしているのかーー

 西王母の、幅広はばひろいスキルにおどろく加藤。

ドガッ!

 白鬼のこぶしが西王母に直撃ちょくげきした。

「うきゃー」

 あっさりと吹っ飛ばされてしまった西王母。

「あれっ、やられちゃった」

 呆然ぼうぜんと見ている加藤。

 白鬼のこぶしに、空手の受けは通用しなかった。

ーーなんだ、空手の方はダメじゃないか。だが、白鬼のやつ。エネルギーを吸い取られて、かなり弱って来ているなーー

 加藤は刀をくと

「とどめは、拙者せっしゃしてやる」

 と、白鬼に向かって行く。

退けぃ、ヒヨっ子!」

ドカッ!

「はうっ」

 加藤は、いきなり後ろから、西王母にドロップキックをされてたおれてしまった。

「白鬼は私がたおす。りんぴょうとうしゃかいじんれつぜんきょう

 と、ふたた九字くじとなえる西王母。

 すると、9個の球体が、さらに強力に白鬼のエネルギーを吸い始めた。

「うぐぐっ」

 かなりエネルギーを取られ、あきらかに白鬼は弱っている。

浪速空手なにわからてチョップ!」

ドスン!!

 西王母の攻撃こうげきが白鬼の胸部きょうぶにクリティカルヒットした。

「うごおっ!」

ドタ!

 ついに白鬼は倒れた。

「ちょっと、ひどいじゃないですか西王母さん」

 立ち上がりながら加藤が、ドロップキックされた事をうったえる。

「アンタは、大人おとなしく柴咲しばざきコウをみていれば良いのよ」

「それにしても、いきなりドロップキックは無いですよ」

「うるさいわね、阿呆あほのクセに。あれっ、なんだか頭が痛くなって来た」

 西王母は、急に頭痛ずつうおそわれた。

「あれっ。西王母さんの頭から、黒い物が球体に吸い込まれて行ってますよ」

 頭痛ずつうの原因は、西王母の邪悪じゃあくな部分が、9個の球体に吸い取られているからであった。

「あわわ、大変。どうしましょ」

 頭を押えながらあわてる西王母。

「このまま西王母さんも、邪悪じゃあくさを吸い取ってもらった方が良いのでは?」

 加藤が、もっともな事を言った。

 邪心じゃしんが無くなれば、西王母の性格も真面目になるだろう。

「そんなの、ダメに決まってるでしょ!私は、ありのままの自分で居たいのよ!だって人間だもの」

「いや、アンタは人間じゃ無いでしょ!」

 む加藤。

「そうだ。こんな時のために、コレを持って来たんだったわ」

 西王母はアルミホイルを取り出すと、頭に巻き出した。

「これで、もう大丈夫。さあ、白鬼にとどめをしましょう」

 しかし、頭にアルミホイルを巻いた西王母からも、どんどん黒い邪心じゃしんが吸い取られ行く。

「全然、大丈夫じゃ無いですよ。まだ、吸われ続けてますよ」

 加藤が西王母に教える。

「えっ。アルミホイルって効果こうかないの?」

「無いみたいですよ。今も邪悪じゃあくさが吸い取られてます」

ーーアルミホイルが邪気じゃきを止めるわけねえだろ!この変人が!ーー

 加藤は心の中でんだ。

「うわっ。こんな事になるんだったら、昨日、魚肉ぎょにくソーセージ食べときゃ良かったわ」

 と、頭にアルミホイルを巻いて、意味不明いみふめい台詞せりふきながら苦しむ西王母であった。

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