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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ヘスティアVS白鬼

「アホの加藤かとう。この男をっておしまい」

 西王母せいおうぼが、白鬼はっきを指さしながら加藤に命令した。

「ワシ一人でるんですか?西王母さんとヘスティアさんも手伝って下さいよ」

 首を落としても死なない白鬼に対して、加藤は弱気になっている。

「もちろん、私は協力しますよ。レッドブルを飲んで元気があまってますからね。ヘスティアさんもお願いしますよ」

「そうねえ、私もそろそろ本気を出そうかしら」

 ヘスティアは魔術で一本のつえを造りだすと、白鬼に向かって歩き出した。

「なんだ、ヘスティアか。お前ごときではわれたおせんぞ」

 白鬼が恐ろしい形相ぎょうそうせまって来る。

「神のさばきを受けよクロノス!」

 ヘスティアのつえから、強力なエネルギー波が白鬼に向かって行く。

「死ぬのはお前だ」

 白鬼は大きく口を広げて、大量の瘴気しょうきした。

バチバチバチ!

 エネルギー波と瘴気しょうきがぶつかり合い、大量のけむりと共に大きな音がして、2人の姿は白煙はくえんの中に消えた。

ーーすさまじい両者の攻撃こうげきだ。これほどのエネルギー同士がぶつかれば、おそらく勝負が決まるであろうーー

「どっちが勝つんだ」

 息をみ見つめる加藤。

「お前は可愛かわいいなぁ」

 2人の対決を無視むしして、柴犬しばけん柴咲しばざきコウをでる西王母。

 しばらくすると、音がみ白煙がうすれて来た。

 っすらと人影ひとかげが見える。

「あっ、あのシルエットは」

 人影を凝視ぎょうしする加藤。

「お前は、お利口りこうさんだから、生ハムをあげましょう」

 生ハムを柴咲しばざきコウに食べさせる西王母。

「西王母さん、生ハムは塩分が多いから、あんまり犬に食べさしたらダメですって、いや、それより2人の決着けっちゃくがついたようですよ」

「2人の決着って?」

「ヘスティアさんと白鬼の対決ですよ」

「ああ、あの2人ね。まあ、そんな話より犬に生ハムあげちゃ駄目だめなの?」

「少しなら大丈夫だいじょうぶと思いますが。あっ、姿が見えました。あれはっ」

 白煙が消え去り、中から現れたのは白鬼であった。

「くそっ、やはり白鬼か。それにしてもヘスティアさんの姿が見えないな、何処どこにいったんだ。負けたとしても消えたわけじゃないだろうに」

 加藤が不思議ふしぎに思っていると。

「あの女は、自分の敗色はいしょく濃厚のうこうになると『アラビン・ドビン・ハゲマッチョ』と言いながら空間移動して逃げた。今ごろは、ギリシャまで帰っているだろう」

 不満そうに白鬼が言った。

ーーヘスティアさんは逃げたのか。これでワシと西王母さんだけになってしまったなーー

「調子に乗るなって言ってんだろ」

 またしても、白鬼の背後から玄武げんぶりかかって来た。

ーー玄武、生きていたのかーー

 しかし、白鬼は素早く剣をかわすと、再び口から瘴気しょうきを出した。

「ぐわっ」

 瘴気しょうきをまともにびて玄武は倒れ込む。

「同じ手にのるわれではないわ。それに、今は調子に乗って無かったぞ」

 白鬼は、玄武をにらみつける。

「調子に乗って無かったのか。俺とした事が、しくじった」

 と言いながら、玄武は元の御札おふだもどってしまった。

「むっ、玄武げんぶまでられたか」

 加藤は覚悟かくごを決めて刀をかまえる。

「ヒヨっ子は、どいてなさい」

 そんな加藤を、西王母が右手でせいして前に出た。

「西王母さん…」

ーー一人でる気か。白鬼は想像以上に強い、あっという間に玄武もふくめると4人がやられたんだぞーー

「わかっています。アナタは、そこで柴咲コウをみていて下さい」

 めずらしく真面目まじめな表情をした西王母が、白鬼に向かって行く。

ーーこんな西王母さんは初めて見た。ついに実力が見れるのかーー



 そのころ、モスクワ空港では

「なんでか知らんが身体中に力がみなぎって来た。今なら出来そうな気がする」

「何が出来そうなんですか」

 川島かわしま鬼塚おにずかたずねた。

「空間移動の術や。何度、練習してもアカンかってんけど、今なら出来そうや」

ーーもしや、鬼塚社長。夜叉やしゃさんのたましいを受けいで覚醒かくせいしたのかーー

「やってみましょう」

「そうやな。とりあえず大阪に通じる空間を造るで」

 鬼塚は両手からエネルギーを出して、何もない空間に穴を開け始めた。

「凄い。出来そうですよ社長」

 穴が広がり、人が通れるほどの大きさになって来た。

「よし。これで大阪に帰れるハズや」

「では、行ってみましょう」

 2人は空間に開けた穴の中に入って行った。



 大阪DSPの宿舎しゅくしゃでは、まだ小太郎こたろうが鬼神を倒した事を自慢じまんしていた。

「そこで俺の右ストレートが、鬼神のあごをとらえたんや」

 うれしそうに話す小太郎。

「最初と話が変わってるぞ。なんか、ボクシングみたいになってるし」

「おい、小太郎。真面目まじめに話せ」

 狂四郎きょうしろう岩法師いわほうしは、うんざりしている。

「おじょうちゃん、なにしてるんスカ?」

 キッチンで何か作っている虎之助とらのすけに、武蔵むさしが聞いて来た。

「お饅頭まんじゅうを作っているでござる」

 なにやら美味おいしそうな饅頭まんじゅうが、1ダースほど出来上できあがっている。

「まさか、その饅頭まんじゅうは」

「そうでござる。後でこの饅頭まんじゅうに毒を入れて、鬼神にわすでござる」

「おじょうちゃん。鬼神をあなどったら駄目だめッスよ、次も勝てるとはかぎらないッス」

 と、武蔵むさし慎重しんちょうであるが

一人殺ひとりやるのも、10人殺にんやるのも同じでござる」

 虎之助は、不敵ふてきみをかべた。

ーーこのおじょうちゃん。台詞せりふ大量殺人犯たいりょうさつじんはんみたいで、怖いッスーー

 日本一の剣豪けんごうである武蔵だが、虎之助には、大きく引いてしまうのであった。

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