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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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妖怪尻ふき

 愛宕山あたごやま捜索中そうさくちゅうの加藤たちの前に、突如とつじょとして西王母せいおうぼが現れた。

崑崙こんろんから見ていましたが、いったい何をしているのですか、アホの加藤?」

「なにを、って。白鬼はっき屋敷やしきを探しているんですよ」

 加藤は当然のように答えた。

「こんな柴犬しばけんが、白鬼をさがせるわけないでしょう」

 西王母せいおうぼは、少し怒っているようだ。

「いや、これは柴犬しばけんに見えるが、実はケルベロスなんだよ」

 ハーデースが説明する。

「バカか、お前は、この犬のどこがケルベロスなんだよ。この真実の姿をうつすマーのかがみで見なさい、この負け組クズ魔神が」

 急に口汚くちぎたなくなった西王母せいおうぼが、マーのかがみをハーデースに渡した。

「そんなに言う事ないだろう、ひどいな西王母せいおうぼは」

 と、愚痴ぐちりながらマーのかがみ柴犬しばけんうつしてみた。

「あっ、コイツ本物の柴犬しばけんだ」

 マーのかがみには普通の柴犬しばけんが写っていた。

「ほらね、私の言った通りでしょう」

 西王母せいおうぼが勝ちほこったように言った。

「じゃ、本物のケルベロスは、いったいドコに居るんだ?」

 あせるハーデース。

「知るか!落ちこぼれ社内ニートが」

「ひどいな。言いすぎだ」

 西王母にののしられて、テンションがダダ下がりのハーデース。

「くそっ、こうなったら、お前の正体もあばいてやる」

 ヤケになったハーデースは、マーのかがみ西王母せいおうぼに向けた。

「キャーッ、何するの!やめてよー」

 嫌がる西王母せいおうぼだが、マーのかがみには普段ふだん西王母せいおうぼの姿しか写っていない。

「おかしいなぁ、もっとハッキリうつしてやる」

「キャーッ、やめてよ、この変態男子へんたいだんし

 やめてよ、と言いながらも、西王母せいおうぼうれしそうに逃げ回っている。

「ちょっと、アンタたち。ふざけてないで真面目まじめ白鬼はっきを探しなさいよ」

 2人の様子を見て、ヘスティアが怒りだした。

「いや、ふざけてるつもりは無いんだが、ケルベロスがドコに行ったのか心配で」

 ハーデースが弁解べんかいする。

「それに、この柴犬しばけんがケルベロスじゃ無いとしたら、時空のひずみを探せなくなってしまったな」

 ポセイドンは、腕組うでぐみしながら考え込んでいる。

大丈夫だいじょうぶです。こんな事もあろうかと、私は以前から嗅覚きゅうかく聴覚ちょうかくきたえて来たので、私がさがしてあげましょう」

 自慢じまんげに西王母せいおうぼが言った。

「アンタ、この時のために、本気で鼻と耳をきたえていたのか?」

 ポセイドンがおどろいてたずねる。

「そうですよ、10年前からきたえていました。しかも、きたえ過ぎて、大きい音をくと耳の穴から大量の血が吹き出し、貧血ひんけつで死にかけるほど聴力ちょうかくきたえました」

ーーこの人、本当はすごいバカなのでは?ーー

 西王母せいおうぼ以外の全員が、そう思った。

「それに、鼻もきたえて過ぎて、クサいにおいをぐと大量の鼻血がき出して、出血多量しゅっけつたりょう即死そくしします」

ーーこの人、とてつもなくヤバいーー

 この場にいる全員が引いた。

 

 

 そのころ、ニャン平太ぺいたとの別れを終えた虎之助とらのすけは、夜叉やしゃの元へ向かおうとしていた。

「急がねば、武蔵むさしあぶないでござる。そうだ、まめヤッコに変身すれば早く行けるでござる」

 虎之助は、まめヤッコに変身すると素早く走り出す。

 しかし、和服を着て下駄げたいているので、意外とスピードは遅かった。 

「ちょっと、そこのおじょうちゃん」

 ふいに、まめヤッコは誰かに呼び止められた。

「なんどすか?」

「僕は『妖怪尻ようかいしりふき』ニャン平太ぺいたの代わりにスマホから出て来たんだ」

 妖怪尻ようかいしりふきとは、虎之助がごくまれにプレイしている『妖怪クロック』というスマホゲームの登場人物である。

 ゲームの中での設定は、ウォッシュレットが普及ふきゅうしたため、自分にも需要じゅようが有ると思い込んで現れた、時代の最先端さいせんたんをいくハイブリット妖怪ようかいである。

 トイレ後に、おしりいてくれる便利な妖怪ようかいだが、最新の調査で、国民の100パーセントが従来じゅうらいのウォッシュレットの方が良いという結果が出たので、テンションが下がってしまっている。

「ニャン平太ぺいたの代わりに、僕が一緒いっしょに戦うよ」

 妖怪尻ようかいしりふきは、仲間になってくれるようだ。

ーーこんな頭のオカシイ妖怪ようかいは、相手にしちゃダメどすえーー

 まめヤッコは『妖怪尻ようかいしりふき』をガン無視して走り去って行った。



「もうこれ以上、僕一人で相手するのは無理ッス」

 夜叉やしゃを相手に一人で戦っていた武蔵むさしも、ついに力つきてひざを付いた。

雑魚ざこのワリには頑張がんばった方だな」

 ゆっくりと夜叉やしゃが近づいて来る。

ーーちくしょう。くやしいが、これまでッスかーー

 武蔵は死を覚悟かくごした。が、その時

「待たんかい!」

 と、小太郎がボルデ本山もとやまに付きわれながら現れた。

「小太郎チッ、大丈夫だいじょうぶなんスカ?」

平気へいきや。俺は最強の剣士やさかい」

 そう小太郎は答えたものの、足元がフラついて外見もボロボロである。

「あの鬼神オヤジは、俺がブッ殺したるさかいに」

 小太郎は剣をかまえると、フラつきながらも夜叉やしゃに向かって行く。

「無理だ小太郎、よすんだ」

 ボルデ本山が小太郎を止めに入る。

「いや、俺にらしておくんなはれ、本山はん」

「無理をしてはいかん、死んでしまうぞ」

 なんとか止めようとするボルデ本山。

「何としても俺がるんや、止めんといてくれなはれ、本山はん。後生ごしょうですから」

「お前ら、ゴチャゴチャうるさいのお。三文芝居さんもんしばいは止めんか!」

 2人のやり取りを見て、イラついた夜叉やしゃが、小太郎のうでつかんで引き寄せた。

「小太郎をはなせ、この鬼野郎!」

 ボルデ本山がつえから魔法弾まほうだんはな

 ポスッ

 夜叉やしゃむねに命中するが

「なんだ、このチャチな魔法は」

 まったく効果こうかが無かった。

「死ね、小僧こぞう!」

 夜叉やしゃ手刀しゅとうが、小太郎の首に向けてり下ろされた。

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