小太郎VS夜叉
ラスプーチンを封印し終えた川島は、鬼塚の病院に戻って来た。
廊下には、出かける時より多くの死体が転がっている。
ーーまたポリヤコフを狙って来た刺客が、社長に始末された様だな。
「社長、ラスプーチンは封印しました。もう大阪に戻りましょう」
病室に入ると川島は、ラスプーチンの件を鬼塚に報告した。
「ほんまか、よくやった川島。これでようやくポリヤコフも、安心して静養できる」
鬼塚は椅子から立ち上がると
「ほんだらな、ポリヤコフ」
と、別れの言葉をかけた。
ポリヤコフは、ロシアン美女に見守られながら、静かに眠っている。
加藤はヘスティアとポセイドン、ハーデースを連れて京都の酒場に来ていた。
「やはり居たか」
酒場では、芹沢鴨と堀安次郎が昼間っから酒を飲んでいる。
「なんだ、加藤さんじゃねえか。DSPに復帰したそうだな」
堀が加藤に気づいて声をかけて来た。
「復帰はしたが、それより聞きたい事がある」
「ちょっと待て。その外人さん達は何者だ」
芹沢は用心深い。
「コイツらは、白鬼を倒すための助っ人だ」
「白鬼を倒すだと。俺たちでも手を焼いているのに、お前らでは無理だろ」
芹沢は、冷ややかな目で加藤たちを見ている。
「そんなの、やってみないと分からんだろ。とりあえず白鬼の居所を教えろカッパ星人」
芹沢の態度に腹を立てた加藤が言った。
「白鬼の住む屋敷は愛宕山に有ると言われているが、滅多に現れん。それより、俺のことをカッパ星人って言うのを止めろ」
芹沢が怒り出した。
「なんでだ、ハゲてるからカッパ星人で良いだろ」
「俺はハゲて無いわ!よく見ろ、この妖怪人間ゴミ太郎が!」
怒りながら芹沢は頭を加藤に向ける。
「ほんとだ、ハゲてない」
芹沢はハゲていなかった。
「ちょっと、あなた方。そんなアホな会話は、どうでも良いので白鬼の居場所を教えて下さい」
横で話しを聞いていたヘスティアが、しびれを切らした。
「それが、奴の屋敷は現れたと思ったら、すぐに消えたりして、なかなか踏み込めないんだよ」
堀が説明する。
「クロノスは時間と空間を司ると言われています。普段は、おそらく時空の歪みに屋敷を隠しているのでしょう」
「時空の歪だったらケルベロスが見つけられるから、連れて行こう」
と、ハーデースが言った。
「ダメよ、あんな首が3つもある巨大な犬を連れていたら目立ち過ぎるわ」
「大丈夫だ、ケルベロスは柴犬に変身できるから」
「なんで柴犬なんだ?」
ポセイドンは疑問に思った。
「柴犬が一番かわいいから、柴犬に変身できるように訓練したんだ」
「柴犬より、どう見てもピーグル犬の方が、かわいいだろ」
「いいえ、一番かわいいのはラブラドールレトリーバーよ。あんた達バカじゃないの」
「2人とも、アホなことを言うな、柴犬に決まってるだろ!」
「アホは、アンタよハーデース。ふざけた事を言ってると殴り殺すわよ」
3人の意見が別れて険悪な雰囲気になって来た。。
「今は、どの犬が可愛いいとか、どうでも良いだろ。とにかく、その柴犬を連れて愛宕山に行ってみようじゃないか」
加藤が止めに入った。
「そうですね。確かにアホの加藤の言う通りです、とりあえず行ってみましょうか」
という訳で、加藤はヘスティアとポセイドン、ハーデースに柴犬を連れて愛宕山に白鬼の屋敷を見つけに行く事となった。
「死ねや、オッサン!」
小太郎が刀を振りかざしながら夜叉に向かって行く。
「どけ雑魚が」
バシッ!
夜叉は軽く小太郎に平手打ちをかました。
「うへ〜」
あっけなく小太郎は、遥か彼方へ吹っ飛んで行った。
「小太郎の仇ニャン」
ニャン平太が夜叉の頭上からブロックを落下させる。
「チャチな技だ」
パスッ!
夜叉は、ウザそうに手でブロックを払いのけた。
「僕の技を、そんなに簡単に破るとは、貴様やるニャン」
ニャン平太が感心していると
「俺は、まだやられてへんでぇ」
上空から、大鷲に乗った小太郎が舞い戻って来た。
「小太郎、無事だったのニャン」
「俺は最強の剣士や、これぐらい、どって事ないわ」
大鷲から降りると、小太郎は
「本山はん、ありがとう」
と、大鷲に礼する。
すると、たちまち大鷲はボルデ本山の姿に戻っていく。
大鷲はボルデ本山が、魔力で変身していたのであった。
「こんな事は容易い御用であるが。あそこに居る、いかにも危険そうな男は何者だ?」
ボルデ本山も、一目で夜叉が危険だと見抜いた。
「奴は鬼神でござる。油断したらダメでござる」
虎之助がボルデ本山に伝える。
「鬼神か奇人か知らんが、俺がサッと殺って来ますわ」
またしても小太郎は、やられキャラが言いそうな台詞を吐きながら、不用意に夜叉に近づいて行くのであった。