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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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寺子屋で勉学でござる

 今日は、岩法師いわほうし開催かいさいする寺子屋てらこやの初日である。

 岩法師は袈裟けさで、狂四郎きょうしろう小太郎こたろうは、いつものラフな服装ふくそうであるが、虎之助とらのすけは、なぜかこんのブレザーに白いブラウス、グレンチェックのミニスカートをいており、女子高生の姿すがたあらわれた。

ねえさん、本物の女子高生みたいですやん」

 小太郎は、虎之助のファッションをガン見している。

拙者せっしゃは、何事なにごともファッションから入るタイプでござる」

「さすが姉さんは、なに着ても似合にあいまんなぁ。でも、姉さんは確か、生徒せいとじゃなくて名誉めいよ教授きょうじゅやったんとちゃいますか?そのカッコやったら女子高生ですやん」

「女子高生と見せかけて、実は名誉めいよ教授きょうじゅというコンセプトでござる」

ーーどんなコンセプトだよーー

 狂四郎は、めた目で見ている。

「さすが姉さん、ふかいでんなぁ」

 小太郎は、なぜか感心かんしんしているようだ。

 岩法師は、だまってニヤついている。声をけた者が全員、授業じゅぎょうに出て来たのでうれしいのである。

「では、地理ちりから教えようか。日本の都道府県とどうふけんから近くの駅や交番こうばん・役所の場所や、利用方法を勉強しよう」

小太郎と狂四郎は、真面目まじめにノートとペンを出して、勉強をする準備じゅんびをしている。

「では、拙者せっしゃは、サブウェイの注文の仕方しかたから教えるでござる」

 虎之助も、前に出て岩法師とならび、授業じぎょうを始めようとした。

「いや、同時に教えるとおぼえられないから、名誉めいよ教授きょうじゅである君は、オブザーバーとしてひかえていて欲しい」

「なるほど、承知しょうちしたでござる」

「では、まず駅の場所から教えようか」

「では、拙者せっしやはキリギリスと、トノサマバッタの見わけ方を、教えるでござる」

「いや、だから名誉めいよ教授きょうじゅはオブザーバーだから、今はみんな一緒いっしょに授業をいていてくれたら良いんだよ」

承知しょうちしたでござる」

 と、いう具合ぐあいに、何度か虎之助に邪魔じゃまされながらも、なんとか岩法師は授業じゅぎょうを進めて行くのであった。



 梅田うめだ高層こうそうビルの最上階では、『大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたい』のカンファレンスがおこなわれていた。

 毎度まいどのことながら、議長ぎちょう鬼塚おにずかである。

「今日は良いニュースと、悪いニュースがあります」

「良いニュースから、おねがいします」

 若手の男性から要望ようぼうが出た。

「アホか。こういう時は、悪い方から先に聞くんや!」

 今日の鬼塚おにずかは、機嫌きげんが悪い。

「では、悪いニュースを、おねがいします」

 ベテランのメンバーが言った。

「あの金鬼きんきが、DSP[デビルスペシャルポリス]の小娘こむすめにやられて逃亡とうぼうした」

「まさか。金鬼きんきが!」

 連合会れんごうかいのメンバーは、動揺どうようしている。

「さらに、弟の銀鬼ぎんき仇討かたきうちに行って、逆に半殺はんごろしにされ田舎いなかに逃げてしまった」

ザワザワ‥‥

 会議室かいぎしつが、ザワついた。

「その小娘こむすめは、そんなに強いのですか?」

金鬼きんきほどの鬼が、手も足も出なかったみたいやな」

ザワザワ‥‥

 また、会議室かいぎしつが、ザワついた。

「良いニュースも、おねがいします」

 さきほどの若手が発言する。

金鬼きんきが消えたので、四天王がちょうど4人になった。もう名前を変える必要ひつようが無くなったから、今後こんごは堂々と四天王を名のれるようになった」

「あのう、それが良いニュースですか?」

「そうや。前回はそれでめたやろ」

「確かに、四天王が5人になってめましたけど。どうも、それが良いニュースとは思えないのですが」

「そうかなぁ。四天王が4人になって、みんな安心したやろ」

「しかし、四天王級してんのうきゅうの強い鬼は、一人でも多い方が、よろしいのでは?」

「強い鬼はいるぞ。金鬼きんきには、もう一人弟がいて、ドウ‥‥…なんとか言うたな」

銅鬼どうきですよ、ドウまで言ったら、もう出るでしょう」

 川島かわしまに、まれた。

「そう、その銅鬼どうきが、四天王に入りたいって志願しがんしてるんやが」

銅鬼どうきは、四天王を名のれるほどうつわなんですか?」

「もう、4人いるんだから、無理でしょう」

「せっかく、四天王が4人になったトコなのに、そんなの却下きゃっかしましょう」

「しかし、みずから四天王に入りたいとは、たのもしいやつでは?」

 メンバーの意見いけんは、れている。

「じゃ、牛鬼ぎゅうき試合しあいさせて、勝てれば牛鬼ぎゅうきわりに四天王入りさせるっていうのは、どうでしょうか?」

 川島が提案ていあんした。

「それや!」

 鬼塚は手をって賛成さんせいした。



 寺子屋てらこやの初日が終わり、メンバーは宿舎しゅくしゃ食堂しょくどうで、くつろいでいた。

「いやぁ、今日の授業じゅぎょうためになったな」

 狂四郎は授業に満足まんぞくしている。

「そやな、俺ら電車のマナーとか、全然ぜんぜん知らへんかったしな」

 小太郎も満足まんぞくそうな様子ようすである。

拙者せっしゃは、かもがなぜアヒルになったかの授業じゅぎょうを、したかったでござる」

 虎之助だけは、不服ふふくそうであった。

「えっ、アヒルって元はカモやったんですか?」

 小太郎は少しおどろいた。

「そうでござるよ」

「へえ、姉さんは博識はくしきやなぁ」

「でも、それ知っててもやくに立たないだろう」

 狂四郎は、興味きょうみ無さそうである。

「やくに立つでござる」

「立たない」

「立つでござる」

「じゃ、役に立つ方法を教えてくれ」

「わかったでござる。では、近所に新しくできた焼肉屋やきにくやで説明してやるので、お前がおごるでござる」

「えっ、俺がおごるの?」

「なに言ってるんや、教えてもらうのに、焼肉やきにくぐらいおごるのは、現代げんだいでは常識じょうしきやろ」

「そうなのか」

 狂四郎は仕方しかたなく虎之助と小太郎を、焼肉やきにく屋にれて行く事になってしまった。

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