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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ラスプーチンの裏切り

「今日の朝食は食パンかぁ」

 すっかりDSPの宿舎しゅくしゃ馴染なじんでいるボルデ本山もとやまが、当たり前のように食堂で朝食を食べている。

「おい、虎之助とらのすけ。お前の友達は、いつまで宿舎ここに居るんだ。もうそろそろ帰ってもらえ」

「でも、あのオッサンはスマホから『ニャン平太ぺいた』を出してくれるでござる」

 などと岩法師いわほうしと虎之助が話していると

「本山はん、また魔法を見してえや」

 小太郎こたろうはボルデ本山になついており、魔法でいろんな物を出してもらって楽しんでいる。

ーーしょうがない。もう少し様子ようすをみるかーー

 岩法師は、しばらくボルデ本山が宿舎にとどまる事を、容認ようにんするのであった。



 そのころ、ロシアでは、川島がやっと鬼塚おにずかを見つけたところであった

「社長、何してるんですか、早く大阪に帰りましょう」

 川島が鬼塚の携帯のGPSをたよりに、やって来たのはモスクワの病院である。

「まだ、ポリヤコフが回復してないんや」

 鬼塚は、病院でポリヤコフと、その看病をしているロシアン美女を見守っていた。

「ポリヤコフが重症じゅうしょうなんですね。あの女性は誰ですか」

「DSPの小娘が召喚しょうかんしたんやが、なぜかポリヤコフと仲良くなってるんや」

 元モットープールであるロシアン美女が、ベッドの横にある椅子いすに座って、心配そうにポリヤコフを見つめている。

「もう入院してるんだから、ポリヤコフのことは病院と彼女にまかせて、われわれは帰りましょう」

ーーこんな殺伐さつばつとした病院は早く出て、社長を大阪に連れて帰らないとーー

「それが、そうもいかんねん。ラスプーチンの野郎がポリヤコフに殺し屋を差し向けて来るんや」

「ラスプーチンが、なぜですか?」

やつはチェルノボーグを倒した手柄てがらひとめして、政府の要職ようしょくいたのだが、実際に倒したのはラスプーチンではなく、DSPの小娘である事を知っているポリヤコフと俺を、口封くちふうじじのために消そうとしてるんや」

「アイツは、本当にゲスですね」

「だから、俺が大阪に帰ってしまうと、ポリヤコフを守る者が居なくなるんや」

「そういえば、廊下ろうかに死体がありましたけど、誰がったのですか」

「俺や。死体はほおっておいたら勝手にラスプーチンの息のかかった職員が片付かたずけよる、もう10人以上は返りちしたったで」

ーーくわしい事は良くわからないが、たよりなかった社長が少し男らしく見えるーー

「ところで、DSPの小娘とボルデ本山は、どこに行ったんですか?」

「その2人なら、ラスプーチンが『ロシア門』で大阪に送り返したで」

「なるほど。では、現在ラスプーチンにねらわれているのは、ポリヤコフと社長の2人という事ですね」

「そうやな」

「わかりました、私がラスプーチンを始末しまつして来ます」

「無理やで、やつは今や国家戦略室こっかせんりゃくしつの室長や、俺らでは手出しできん」

「そんなの、どうって事ないですよ。アイツは不死身なんでつぼか何かにふうめて来ます」

ーー社長にしては、めずらしく男気おとこぎを出しているようだ。私もラスプーチンの始末しまつぐらいはしなくてはーー

 川島は、一人でラスプーチンの元に向かって行った。




 崑崙こんろんにある寺院じいんの広間では、加藤と西王母せいおうぼが、パーカーの帰りを待っていた。

 なぜかというと、西王母せいおうぼが加藤と話している途中に

「おなかったでござる、タコ焼きが食べたいでござる」

 と、ゴネ出したので、パーカーが買いに行かされたからである。

 パーカーが居ない間、西王母せいおうぼはスマホで楽しそうにゲームをしている。

ーーこの女、本当に西王母せいおうぼなのか?『ござる』と言ったり、タコ焼きが食べたいとゴネたり、なぜか言動げんどうが虎之助とカブるのだがーー

 不信感ふしんかんがつのる加藤である。

 しばらくすると

「買ってまいりました西王母せいおうぼ様」

 パーカーがタコ焼きを持って帰って来た。

「わーい、タコ焼きでござる。拙者せっしゃが一人で食べるでござる」

 西王母せいおうぼはパーカーから、ひったくるようにタコ焼きを取ると、ムシャムシャと食べ始めた。

「あの、西王母せいおうぼさん。そろそろ話の続きを聞きたいのですけど」

 遠慮えんりょしながらも加藤は言ってみた。

 しかし、西王母せいおうぼは食べるのに夢中のようで、加藤に見向みむきもしない。

 しばらくして、タコ焼きを完食した西王母せいおうぼは、急に姿勢しせいただすと

「実は、白鬼はっきという鬼神が私を真似まねて、あのを造り出したのです。伊賀の唐沢家とは、白鬼がやみ西王母せいおうぼを造るために準備した家系なのです」

 と、加藤に語りだした。

「それは良いのですが、西王母せいおうぼさん。口のまわりに、さっき食べたタコ焼きのソースと青ノリが付いてますよ」

 どうしても気になったので、加藤は注意した。

「なにを言ってるのですか、私は西王母せいおうぼですよ、タコ焼きのような庶民しょみんの食べ物なんか食べません。高級フランス料理以外は口にした事もないです」

 きっぱりと、しらをきる西王母せいおうぼ

「でも、さっき確かにタコ焼きを食べてましたよ」

「そんのもの食べません、変な事を言うのはめて下さい。私はセレブですよ」

 あくまでも、しらをきる西王母せいおうぼ

「いや、食べてました」

「食べてません!」

 西王母せいおうぼがキレた。

「お前を殺すでござる」

 西王母せいおうぼは加藤の首をめ上げる。

「ううっ、苦しい」

 苦しむ加藤。

「ダメですよ西王母せいおうぼ様」

 2人の様子を見て、パーカーがあわてて止めに入った。

はなすでござるパーカ、コイツの息の根を止めるでござる」

「いけません西王母せいおうぼ様、こんなカス人間でも殺してはダメです。夕食にお寿司すしを取ってあげますから」

「お寿司すしですか。では、このカス人間を殺すのは、めておきましょう」

 お寿司すしと聞いて、西王母せいおうぼは加藤の首から手をはなす。

大丈夫だいじょうぶか?」

 パーカーが加藤に聞いた。

「ああ、俺は大丈夫だいじょうぶだが、本当にこの人、西王母せいおうぼか?言動げんどうも虎之助にそっくりなんだが?」

 加藤は首をさすりながらたずねる。

仕方しかたないのだ、西王母せいおうぼ様とやみ西王母せいおうぼ表裏一体ひょうりいったいであり、おたがいに影響えいきょうし合ってしまうのだ」

 パーカーは、にがい顔をしながら言った。

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