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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ゴリラ理論

「ドスンとニャンコ、ドスンとニャンコ、空からニャンコがってくる〜」

 虎之助とらのすけが前回から引き続き『ドスンとニャンコ』のテーマソングを歌いながらダンスをおどっていると

ねえさん、一人で何してまんのや?」

 不思議ふしぎそうに小太郎こたろうが聞いてきた。

「一人じゃ無いでござる、ニャン平太ぺいた一緒いっしょでござる」

「ニャン平太ぺいたって誰ですの?」

「ニャン平太ぺいたは、そこに居るでござる」

「誰もいまへんで、姉さん一人ですやん」

 見てみると小太郎の言うとおり、ニャン平太ぺいたは居なくなっていた。

 ボルデ本山が、スマホにかけた魔法をいたからである。

「あれっ、本当でござる」

「それで、加藤はどうなりました?」

 小太郎は、自分が一番気になっている事を聞いた。

「加藤は空に登って行って、消えたでござる」

「消えたんでっか?」

「消えたでござる。ドスンとニャンコ、ドスンとニャンコ、ニャンコを集めて明日も日本晴にほんばれ〜」

 ふたたび、虎之助は歌いながおどり出した。

 加藤が消えた事を確認できた小太郎は

「ちょっと、その歌とおどりウザいんで、めてもらえまっか」

 意外いがいに冷たい台詞せりふを残して立ち去って行った。

ーー小太郎にたのまれて加藤をやっつけたのに、あの態度たいどはムカつくでござるーー

 と、虎之助がおどりながら憤慨ふんがいしていると。

「おい、虎之助。加藤は、どうなった?」

 今度は狂四郎きょうしろうが聞いてきた。

「空に消えたでござる」

「消えたのか」

「消えたでござる。ドスンとニャンコ、ニャンコをたおすと地獄行じごくいき〜」

 ふたたび、虎之助が歌いながおどり出す。

「その歌とおどり、ウザいからめろ!」

 狂四郎にも、キツい口調くちょうで言われた。

ーームカッ!ーー

「『ドスンとニャンコ』のおどりをバカにするやつは、殺すでござる」

 怒った虎之助が狂四郎の首をめ出した。

「ううっ、苦しい。死ぬ」

「死にたくなければ、拙者せっしゃ一緒いっしょおどるでござる」

「ううっ、いやだ」

「ならば、ここで死ぬでござる」

 さらに、強く首をめ上げる虎之助。



 そのころ、魔界では、チェルノボーグとゴリラ博士が対決していた。

「ゴリラ神拳奥義しんけんおうぎ『ゴリラ右ストレート』」

 ドカッ!

 ゴリラ博士の右ストレートが、チェルノボーグの顔面ヒットする。

「おのれ、燃えきろゴリラ野郎!」

 チェルノボーグは両手から灼熱しゃくねつの炎を出して、ゴリラ博士を焼きくす。

「なんの、ゴリラ神拳しんけん『ミドルキック』」

ドカッ!

 ゴリラ博士のミドルキックが、チェルノボーグの右わきにヒットする。

「死ね、ゴリラ」

 チェルノボーグは口から絶対零度ぜったいれいどの冷気を出して、ゴリラ博士をこおりつかせる。

「ゴリラ神拳しんけん『空手チョップ』」

ドスン!

 ゴリラ博士の空手チョップが、チェルノボーグのむねにヒットする。

「ちょっと待て、何かおかしくないか?俺が、お前を焼きくしたりこおらせたりしてるのに、どうして普通にキックやチョップで反撃して来れるんだ?」

 チェルノボーグは疑問ぎもんに思った。

「ゴリラ神拳しんけん伝承者でんしょうしゃに対して、そんな攻撃は児戯じぎに等しい。ゴリラ神拳の修行はブラックホールの中でおこなうのだ」

「ええっ!それ本当?」

 あまりにもゴリラ神拳の修行のきびしさに、チェルノボーグはおどろいた。

「そんな事は、ゴリラの間では常識じょうしきだ」

 ゴリラのあいだでは常識じょうしきと言われても、当然とうぜんの事ながらチェルノボーグはゴリラでは無い、破壊神はかいしんである。

「いや、俺はゴリラじゃないから知らなかった」

「ゴリラじゃない事をじることはない。全宇宙でもゴリラにる事ができるのは、ごくわずかの選ばれた者のみ」

「くっ、そうだったのか」

「だが、ゴリラでなくとも幸せに生きる事はできる。私の助手のマーは、チンパンジーだが幸福である。なぜなら、ゴリラの助手だからである」

「ちょっと、なに言ってるのかわからないが。どうやら、このゴリラは俺の勝てる相手では無かったようだ」

 チェルノボーグは自身の敗北はいぼくさとった。

ーーゴリラ博士にはかなわぬ。なぜなら、俺はゴリラじゃ無いからだーー

 よくわからないゴリラ理論りろんによって、チェルノボーグは敗北はいぼくした。



 魔界でチェルノボーグと宇宙猿人うちゅうえんじんゴリラ博士との決着けっちゃくがついたころ、大阪DSPの宿舎しゅくしゃの庭では、虎之助と狂四郎が一緒に『ドスンとニャンコ』テーマソングを歌いながらおどり続けていた。

「ドスンとニャンコ、ドスンとニャンコ、ニャンコのエサは生サンマ〜」

ーークソっ、なんで俺がこんなアホな事を、しなくちゃいけないんだーー

 結局けっきょく、狂四郎は虎之助におどされて、むりやりおどらされていたのである。

 いやいやおどっている狂四郎にくらべ、虎之助は楽しそうにおどっている。

ーーコイツはバカだから楽しいかもしれないが、俺は早くめたいーー

 そこへ、岩法師いわほうし左近さこんが買い物から帰って来た。

「虎之助、お前の好きな『かき葉寿司はずし』を買って来たから、昼飯にしよう」

 という岩法師の声が聞こえると

「すぐに行くでござる」

 虎之助はおどっている狂四郎をほって、食堂に向かって走って行った。

ーー良かった。やっと、この変なおどりをめられるーー

 と、ホッとする狂四郎であった。

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