表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
104/149

飛び加藤VS虎之助

「うわーん、ねえさん!」

 虎之助とらのすけが商店街で、お菓子かしを買って宿舎しゅくしゃもどると、ボロボロになった小太郎こたろうが泣きながらきついて来た。

「どうしたのでござるか」

「新しい顧問こもん加藤かとう非道ひどいんや!」

 小太郎は、虎之助が不在ふざいの間に起こった加藤の非道ひどうぶりをうったえた。

「なるほど、それはひどいでござる」

 話を聞き終わると、虎之助も同情してくれた。

「姉さん、加藤をブチ殺して下さいよ」

「殺すのは、ちょっとやり過ぎでござる」

「じゃ、半殺しでお願いします」

ーー面倒めんどうくさいでござるが、もし拙者せっしゃの食事も減らされていたら、容赦ようしゃなくブチ殺すでござるーー

 と思いながら宿舎しゅくしゃに入ると

「虎之助、あの加藤という顧問こもんを何とかしてくれよ」

 と、狂四郎きょうしろうにもたのまれてしまった。

「加藤は、どこでござるか?」

「たぶん庭で、剣術の稽古けいこをしていると思う」

「ちょっと、見てくるでござる」

 虎之助が庭まで行ってみると、狂四郎が言ったとおり加藤が剣をっている。

「おぬし、なぜ小太郎と狂四郎をイジメるのでござるか」

 と、単刀直入たんとうちょくにゅうに聞いてみた。

「お前に言う必要は無い」

 こちらを見ずに、加藤は愛想あいそなく答えた。

「ならば、力ずくで言わせるでござる」

 剣をく虎之助。

「このワシに、勝てると思っているのか」

 加藤がすごみながら、こちらを見る。

 場の空気がこおりつき、2人の間に緊張きんちょうが走った。

 達人たつじんどうしの手合てあわせが始まろうとしている。

「おじょうちゃん、僕が加勢かせいするニャン」

 突然とつぜん『ドスンとニョンコ』のメインキャラクターである『ニャン平太ぺいた』があらわれた。

 『ドスンとニャンコ』とは、虎之助が、たまにプレイしているスマホゲームであり、空から落ちてくる、さまざまな形をした猫型のブロックを組み合わせて消していく、落ち物パズルゲームである。

 ボルデ本山もとやまが、虎之助のスマホに魔法をかけて出現させたのであった。

「あっ、ニャン平太ぺいた拙者せっしゃを手伝ってくれるのでござるか?」

「もちろんだニャン。あのオヤジをブチのめすニャン」

 ニャン平太ぺいたは、虎之助の味方みかたのようだ。

「ほう、2人がかりか」

 ニヤリと笑う加藤。

 よほど自信があるようで、余裕よゆう見受みうけられる。

ドスン!

 いきなり空からブロックが落ちて来て、加藤の頭に直撃ちょくげきした。

てっ」

 『ドスンとニャンコ』のゲーム通り、空から猫型のブロックが落ちて来た。

ーー今がチャンスでござるーー

拙者せっしゃ闘気とうきらうでござる」

 虎之助の両手から大量の暗黒闘気あんこくとうきはなたれる。

「おのれ、邪悪じゃあくな物を出しおって」

 加藤は高速で剣を回転させて、暗黒闘気あんこくとうきをかき消そうとした。

ドスン!

 またしても空からブロックが落ちて来て加藤の頭に直撃ちょくげきする。

てっ」

 一瞬いっしゅん、加藤の手が止まった。

 剣の回転が止まり、加藤は暗黒闘気あんこくとうきつつまれていく。



 そのころ、魔界では宇宙猿人うちゅうえんじんゴリラ博士とマーが帰り支度じたくをしていた。

無事ぶじむすめさんを、魔界からすくえましたねゴリラ博士」

「そうだな。われらも帰るとするか」

 2人が話していると。

「ちょっと待ってくれ、俺も魔界ここから出してくれよ」

 チェルノボーグがたのんで来た。

「君はダメだろ」

 しかし、ゴリラ博士は、はっきりとことわる。

「なんでだよ」

「君は破壊神はかいしんだろ。出したら地上を破壊はかいするから、魔界ここに居るんだ」

「なんだと、出さないとブッ殺すぞ!」

「ほう、ワシにそんな口をきくとは、いい度胸どきょうだ。面白おもしろい、久しぶりに、ひとあばれするか」

 そう言いながら、ゴリラ博士は上着を脱ぎ出した。

「おおっ、久しぶりにゴリラ博士の奥義おうぎが見れるのですね」

 マーはうれしそうによろこんでいる。

「マーよ、下がっておれ、この若僧わかぞうにゴリラ神拳しんけん真髄しんずいを見せてやる」

 ついに、ロシア最強の破壊神はかいしんと、大宇宙の伝説のけんであるゴリラ神拳しんけんが、ぶつかる時が来たのである。



 暗黒闘気あんこくとうきつつまれた加藤は、真っ黒いはいになりくずれ落ちた。

「やったニャン」

 よろこぶニャン平太ぺいた

 だが、虎之助は後方にある大きな木を、じっと見つめている。

「なかなか、やるわい」

 木のえだには加藤がいた。

 なんと、はいになったのは、変わり身のじゅつで入れ替わった丸太であった。

「よし、君にめんじて小太郎と狂四郎のことを話してやろう」

 どうやら加藤は、話す気になったようである。

ドスン!

「痛てっ」

 またもや加藤の頭上ずじょうにブロックが落ちる。

 ニャン平太ぺいたは、場の空気を読まない。

「スキあり!」

 加藤のひたいめがけて、虎之助が手裏剣しゅりけんを投げる。

「うわっ、危ない」

 間一髪かんいっぱつける加藤。

 話す気になっていた加藤であるが、虎之助の攻撃こうげきあやうく死にかけた。

 虎之助も、加藤の意思いしとは関係なく攻撃こうげきしてくる。

 どうやら攻撃こうげき夢中むちゅうになり、当初とうしょの目的を忘れているようだ。

「待て、待て。話すと言ってるだろ!落ち着かんか」

ドスン!

「痛てっ」

 また、加藤の頭にブロックが落ちた。

「スキあり」

 加藤の心臓しんぞうをめがけて虎之助が毒矢どくやはなつ。

「こらっ、やめんか!わけを話すと言っとるだろ」

 なんとかけることが出来たが、あきらかに殺意さついめられた攻撃こうげきであった。

 さらに、虎之助は次のかまえている。

「今度こそ、心臓しんぞうをブチ抜くでござる」

 虎之助は殺す気まんまんである。

「もう君らとは、やっとれんわ」

 話が通じない2人にあきれた加藤は、ふところからロープを取り出すと、呪文じゅもんとなえだす。

 すると、ロープは天に向かって伸びていった。

「では、さらばじゃ、諸君しょくん

 と言うと、加藤はロープを登って行き、ついには天に消えた。


「ドスンとニャンコ、ドスンとニャンコ〜」

 虎之助とニャン平太ぺいたが『ドスンとニャンコ』のテーマソングを歌いながら、ゲームをクリアした後にキャラクターがおどる勝利のダンスをおどり出した。

 


 その様子ようすを、1羽のカラスが見ていた。

ーーチェルノボーグを退治たいじした敬意けいいはらって、あの加勢かせいしたのだが、加藤という男も、なかなかの強者つわものであったな。しかし、あの歌とおどりは、なんかウザい。めてもらえんかのーー

 カラスの正体は、変身したボルデ本山もとやまである。


「ドスンとニャンコ、ドスンとニャンコ、空からニャンコがってくる〜」

 ウザがるボルデ本山をよそに、虎之助とニャン平太ぺいたは歌いながらおどり続けるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ