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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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ダークエルフの逆襲

 チェルノボーグと虎之助とらのすけが消えた地面を見つめながら、宇宙猿人うちゅうえんじんラーは

「あの2人、地中に消えましたけど、どうします?」

 と、ゴリラ博士に、たずねた。

「そうだな、あの女の子は助けてやらんとな」

「わかりました、ゴリラ博士」

 マーはUFOから機械きかいを運び出すと、なにやら操作そうさをし始めた。



「やったー、チェルノボーグをたおしたぞ!」

 一部始終いちぶしじゅうを見ていたラスプーチンは、大喜おおよろこびである。

「よし。じゃ、元の世界にもどるぞ」

 ポリヤコフは、異世界への転生を解除かいじょし始めた。

ーーまだもどるのは早いで、チェルノボーグと戦ったが、まだ魔界に取り残されたままやんけーー

「ちょっと待てや、まだ」

 鬼塚おにずかが何か言おうとしたが、そのまま解除かいじょされて4人は元の世界にもどってしまった。

「やっぱりモスクワは落ち着くなぁ」

 すがすがしい表情をしているラスプーチン。

「これで、俺の役目やくめも終わったな。じゃ鬼塚とボルデ本山もとやま、ラスプーチンも元気でな」

 ポリヤコフは、3人と別れてって行く。

「いや、ちょっと待てや。あのは、どうするんや。チェルノボーグをたおしてくれたんちゃうんか?」

 意外いがいにも鬼塚だけが、虎之助のことを気にかけている。

「あののことは、あきらめよう。俺も報酬ほうしゅうを払わなくてむし」

 チェルノボーグをたおした後、虎之助に対するラスプーチンの態度たいど急変きゅうへんしており、ためらう事なく見捨みすてるつもりのようだ。

「ラスプーチン、お前は悪いやっちゃな」

「まあな、俺より悪いやつ滅多めったに居ないからな」

 ラスプーチンは、少しも悪びれずに言った。

「ひどいな君、しかし」

 などと話していると

「ギャー」

 と、さけび声が聞こえた。

「なんや、今のは?」

「そこの角を曲がった道から聞こえたけど」

「それって、ポリヤコフが帰って行った道やんけ」

「気になるな。行ってみよう」

 そう言うと、ボルデ本山は走って行く。

面倒めんどうくさいな」

 その後を、しぶしぶ鬼塚が付いて行った。

 ボルデ本山が角を曲がると、血まみれのポリヤコフがたおれており、その横にダークエルフが立っている。

 どうやら、ポリヤコフはダークエルフにおそわれたようだ。

拙者せっしゃ見捨みすてたやつらは全員、もっとも残酷ざんこくな方法で処刑しょけいするでござる」

 ダークエルフは、復讐ふくしゅうの怒りに燃えていた。

「ヤバい。あの吾輩わがはいたちを殺す気だ」

 あわてて、元の場所にもどろうとしたが

「イテッ」

 鬼塚がつまずいてころんでしまった。

「こんな所に、居たでござるか」

 ダークエルフに気付きずかれてしまった。

「おのれら、皆殺みなごろしでござる!」

 走って追いかけて来るダークエルフ。

「待てや。俺は君を待つように言おうとしたんや」

 鬼塚は必死ひっし弁明べんめいするが

「言いわけは聞かないでござる」

 バキッ!

「うへ〜」

 強烈きょうれつなダークエルフのりをらって、吹っ飛ばされてしまった。

「君は、どうやって魔界から出て来たんだ?」

 ボルデ本山は、逃げながらダークエルフに聞いた。

宇宙猿人うちゅうえんじんが、ハイテクノロジーで救出きゅうしつしてくれたでござる」

「アイツら、そんな高度な科学力があったのか」

 逃げまどうボルデ本山。

「なんであの、ダークエルフのままなんだ?」

 そんな様子を、不思議ふしぎそうにラスプーチンがながめていた。

「おい、ラスプーチン。見てないで何とかするんだ」

 ボルデ本山がラスプーチンに言った。

「しょうがないな。じゃ、この『ロシア門』で、そのを大阪にもどすから、ここまで、おびき寄せてくれ」

 ラスプーチンは、虎之助とらのすけをロシアに連れて来た『ロシア門』を出して待っている。

「わかった」

 ボルデ本山は、全速力でロシア門に向かって走り出す。

「待つでござる!おのれら皆殺みなごろしにしてから、ロシア全土ぜんど破壊はかいするでござる」

 物騒ぶっそう台詞せりふを言いながら、追いかけて来るダークエルフ。

 ボルデ本山は『ロシア門』の前で、わざと止まった。

「やっと観念かんねんしたでござるな、ブチ殺すでござる!」

 ボルデ本山に向かって、もうスピードでっ込むダークエルフ。

 もう少し、という所でボルデ本山が、スッとけた。

「うあぁ、何でござるか、これは」

 いきおいが付いていたダークエルフは止まる事ができず『ロシア門』にっ込んで行く。

「おのれ。拙者せっしゃ、一人では行かんでござる、おぬし道連みちずれでござる」

 ダークエルフは手をばしてボルデ本山の足をつかむ。

「うわっ、はなせ」

 ボルデ本山も『ロシア門』に引きずり込まれて行く。

「大阪に行くのはいやだ〜」

 ボルデ本山のさけび声がとおのいて行く。

バタン

 『ロシア門』の閉まる音がした。

「ボルデ本山には気の毒だが、なんとか上手うまくいった」

 ラスプーチンはみをかべた。

 鬼塚は、よろけながらも倒れているポリヤコフにけ寄ると

「おい、大丈夫だいじょうぶか?」

 と、声をかける。

「ううっ、いきなりダークエルフにおそわれた」

 ポリヤコフは、まだ息があるようだ。

「とりあえず、コイツを病院に運ばないと」

 鬼塚はポリヤコフを助けようとしているが、自身も、ダークエルフにやられたダメージがある。

「そんなやつは、ほっとけ」

 後方から、ラスプーチンの非情ひじょうな声が聞こえたが、鬼塚は足を引きずりながらも、病院に向かって歩き始めた。



 そのころ、大阪では。

 ダークエルフから元の姿にもどった虎之助は、商店街に立っていた。

「なぜか、ロシアに行って、ダークエルフに変身していた夢を見ていたでござる」

 と、目をこすりながら、つぶやく。

ーーそれは夢じゃ無く現実にあった事だーー

 すぐ後ろで、ボルデ本山が虎之助を見つめていた。

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