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転生したらAカップだったでござる  作者: 渡辺 孝次郎
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壺に封印するでござる

 鬼塚おにずかが、お菓子かしを食べながら、まめヤッコとチェルノボーグ戦いを見ていると

「クソっ、あの野郎やろう

 と、チェルノボーグにノックアウトされていたラスプーチンが、意識いしきを取りもどした。

「やっと気がついたんか、お菓子かしでも食べるか?」

 鬼塚がラスプーチンに『不潔ふけつジジイのネチャネチャ焼き』を差し出す。

「そんな気持ちの悪いもんが食えるか!」

 ラスプーチンは、気が立っている。

「よくんで味わったら、意外と美味うまいで」

 ネチャネチャと鬼塚は食べ続けている。

舞妓まいこさんが一人で戦っているというのに、お前らは何してんだ!」

 まめヤッコとチェルノボーグの死闘しとうを見て、ラスプーチンは、鬼塚とボルデ本山もとやまの2人を怒鳴どなりつけた。

「あわてるな、吾輩わがはいには奥の手がある」

 ボルデ本山は、ふところからつぼを取り出しながら

吾輩わがはいの魔力を見せてやるわ」

 と、自信ありげに言った。


「お前、ただの舞妓まいこじゃないな」

 チェルノボーグは、まめヤッコの強さに気づいておどろいている。

「いいえ、ごく普通の舞妓まいこどすえ」

 と言いながらも、まめヤッコはドス黒い暗黒剣あんこくけんり回して、チェルノボーグにおそいかかる。

「そんな剣をり回す舞妓まいこがいるか!」

 チェルノボーグがむ。

「京都に行けば、たくさん居るどすえ」

 デタラメを言いながら、剣での攻撃こうげきを続ける、まめヤッコ。

ブスッ

 まめヤッコの剣がチェルノボーグの右手にさった。

「痛いなぁ」

 と言いながらも、された所からは血も出ず、チェルノボーグには、ほとんどがダメージが無い。


「チェルノボーグには、なかなかダメージをあたえられないようだな」

 ボルデ本山もとやまは、つぼに向かって呪文じゅもんとなえだした。

「何をしてるんだ」

 ラスプーチンが、たずねる。

吾輩わがはいの魔力でやつを、このつぼ封印ふういんするのだ」

 そう言うと、ボルデ本山は両手から封印ふういんエネルギー波を、チェルノボーグに向かってはなった。

「なるほど。倒さなくても封印ふういんしてしまえば良いわけか」

ーーもしかしたら上手うまく行くかもしれないーー

 ラスプーチンは、かすかに期待をよせた。

 しかし、チェルノボーグは封印ふういんエネルギー波に気づき、素早すばやく移動すると、まめヤッコの背後はいごにまわりこむ。

「何してはるんどすか?」

 何をしているのか良くわかっていない、まめヤッコ。

パシュー

 エネルギー波がたてにされた、まめヤッコに直撃ちょくげきする。

「あれ〜、なんか体が引っ張られるどすえ」

 まめヤッコはつぼに吸い込まれて行く。

「お前は、俺の代わりに封印ふういんされるんだ」

 チェルノボーグが面倒めんどうくさそうに言った。

「ヤバい。チェルノボーグのやつめ、舞妓まいこさんを身代みがわりにしてふせぎやがった」

 あせるボルデ本山。

「何とかならんのか?」

 ラスプーチンは心配そうに聞いた。

封印ふういんされるのはいやどすえ〜」

 さけび声がひびき渡り、まめヤッコがつぼに吸い込まれてしまった。

ポン

 つぼのフタが閉まった。

舞妓まいこさんが封印ふういんされてしまった」

 あせるボルデ本山。

「おい、早く出してやれよ」

 つぼを見ながら、ラスプーチンがうながす。

「それが、このつぼは一度封印すると100年は出せないんだ」

「なんだと!じゃ、あのはどうなるんだ?」

「なにか方法を考えるから待ってくれ」

 ボルデ本山は寒空の下、大量の汗をかきながら考え出した。

「おい、お前ら。チェルノボーグがこっち向かって来てるで。舞妓まいこさんを助ける前に、俺らがられてまう」

 鬼塚の言うとおり、チェルノボーグが、こちらに歩いて来ている。

 ラスプーチンたちは、絶体絶命ぜったいぜつめいのピンチをむかえていた。



 大阪市の高層こうそうビルの最上階では、大阪鬼連合団体おおさかおにれんごうだんたいの定例カンファレンスが行われていた。

「今日は悪いニュースがあります」

 不在の鬼塚に代わって、議長は川島かわしまである。

「どんなニュースですか」

 中年のメンバーが聞いた。

われらの代表である鬼塚社長が、ロシアに行って消息しょうそくちました」

「なるほど、それは仕方がないですね。では、あの男のことはあきらめて、新しい代表を決めましょう」

 古株ふるかぶのメンバーが提案ていあんする。

「あきらめが早いな」

 残念ざんねんそうに川島が言った。

「さっさと次の代表を決めましょ。そうだ、川島さんがやってくれませんか」

 若手のメンバーも鬼塚には、まったく執着しゅうちゃくしていない。

「しかし、鬼塚社長は京都の鬼神から指名された代表だし、簡単に変えることは出来んだろう」

 川島は一人で反対するが

「なら、あの男は死んだ事にしましょう」

「て、言うか。もう死んでるでしょ」

 カンファレンス参加者たちは、鬼塚に死んでしいようだ。

「鬼塚社長は、必ず帰って来る。別の者が代表になってたら、帰って来た時にめるだろう」

 川島だけが鬼塚の生還せいかんを望んでいる。

「では、もし帰って来たら、殺しましょう」

「そうだ、殺そう」

「私が殺します」

「いえ、私に殺させて下さい」

「いえいえ、どうしても私が殺したいです」

 参加者からは、鬼塚の死を望む声が多い。というより、殺したがっている者が多い。

「いや、殺しちゃダメだろ!」

 川島が止める。

ーーまさか、これほど鬼塚社長に人望じんぼうが無かったとは。だが私には、彼を鬼神に成長させるという使命がある。なんとしても帰って来てもらわねばーー

 川島はなやんだ。

 なやみながら考えて

ーー私もロシアに行くしかないかーー

 と、決心するのであった。

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