なんでこんな服なんですか?
今日の散策は、一応前の私に謝罪をしたところで終わった。
日が傾いてきたのだ。
部屋に戻って、クローゼットからゆったりした部屋着らしき服を取り出し、着替えた…つもりだった。
その服には、思いもよらない欠点があった。
…あのさ。似合うよ。確かに似合うけどさ。
この部屋着、ちと華美すぎやしません?
全開の背中。妖艶に見える谷間。誘うように透ける布。
なんでこんなんしかないんだよッ!
私は、部屋で寛ぎたいんであって、男を誑かしたいのではないのですよッ!
コンコン
「失礼致します」
ナーイスッ!!
女官さん、助けて!
「ご夕食の準備が整いました」
あれッ…スルー!?
「すみません、これのほかに落ち着いた部屋着ってありませんか?」
「…? ごさいません。 聖女様は、いつも身なりに気を使っておりましたから」
マジですか!
っていうか、身なりにどう気を使ったら、こんな服になるの!?
聖女って、清純派が王道でしょう!?
しかし、私の訴えは虚しく響き、そのまま夕食へ行き、お風呂へ入り、ベッドに入ることとなった。
…前の私、いくつ顔を持ってたの!?
これじゃあ、まんまアレだよ!
聞いてた話と違うよー!?