なんでそんなに馬鹿なんですか?
私は王宮で食事を取った後、王宮をウロウロすることにした。
…そもそも何で私は庶民なのに、王宮で普通に暮らしてるんだ?
普通に生活してれば、関わる機会だってろくにないだろうに。
一応、女官さんに出歩いて良いか聞くと、怯えたように頷かれた。
あそこまで怖がられると、ちとショックですなぁ。
まあ、許可されたからには、自由に歩こう。
許可されたのは、王子の婚約者候補だからじゃないのかとか、王子と仲悪い今、本当は宜しくないのではとか、そういうことは置いておいて。
ブラブラ歩いてると、見覚えのある人に出会った。
あれは、目覚めた時にいた…。
「あ、クラリス様」
例の、騎士然とした男が気安げに話し掛けてきた。
「何ですかー?」
「…何故、王子殿下に逆らったのですか?」
へぇ。
あの男、そんな風に…。
っていうか、一言正論を突きつけただけで尾ひれ背ひれ付けるとか、どんだけ器が小さいんだよ(笑)
「私は別に逆らってはないんですがねー。一方的な当事者の話しか聞かないで決めつけるのは、冤罪に直結しますねー」
私がそう言うと、騎士らしき男は顔色を変えた。
…ご主人様が間違っているかのように揶揄したからかねぇ。
騎士っていうか、犬って感じ?
「…貴女は、変わられてしまった」
顔を歪めて、吐き捨てた。
ありゃりゃあ、散々な言われようで。
「そりゃあ、なんたって記憶喪失ですからねー」
ふざけてそう言って見ると、彼は顔を真っ赤にして行ってしまった。
…忍耐力、少なッ!
あれだ、王子の一派って馬鹿ばっかりなのかな?
てことは、私は馬鹿を救うお姫様ぁーって?
いやー私の人物像、たっくさんあるねぇ。
私は、上機嫌で更なる自分との出会いを探しに王宮を行く。
なーんてね。