なんで誓いのキスはあるんですか?
今日は、快晴。
まさに、結婚日和って感じだね。
たったさっき、司祭様が結婚式の開始を宣言した。
新郎である殿下が、タキシードに身を包んで介添人である国王様と共に入場した。
この国では、次期国王の結婚式の介添人は、現国王が行う習わしらしい。
そのタイミングを見計らって、私は一人でバージンロードを歩き、厳かにお辞儀して、殿下の左側についた。
ちらりと覗いた殿下の顔は、如何にも不機嫌だった。
……大丈夫ですよ、殿下。すぐに、終わりますから。
讃美歌が斉唱され、司祭様が聖書を朗読される。
私は、祈りに耳を傾けて、目を閉じる。
司祭様が問い掛ける。
「永遠の愛を、誓いますか?」
「誓います」
「…誓います」
私は陛下に手袋とブーケを預け、殿下は渋々と司祭様から指輪を受け取った。
私が殿下に指を預けると、陛下は乱雑に私の薬指に指輪をはめた。
続いて、私も殿下に指輪をはめる。
慈しむように、ゆっくりと。
そして、誓いのキス。
殿下が、普段は自信満々な癖に、柄にもなく、恐る恐るベールを捲っていて、なんだか不思議と穏やかな気分になれた。
ゆっくりと顔を近づけ、唇を合わせる。
そうすると、殿下の唇に私の真っ赤な口紅がほんのりとついて。
私は、仄暗い満足感に襲われた。




