なんで私は私なんですか?
ザク、ザクと道がなる。
うーん、ドレスとヒールで山道を登るのは少し無理があったなぁ。
まあ、仕様がないよね。これしかないんだから。
キラキラのフリフリのドレスは大量にあるのに、山登り用の服はないとか……
貴族かよ(笑)
私は書き置きを残して、とある王都の外れの山を登ってる。
なんとなく足が向いたのだ。
黙って出てきた訳だけど……まあ、大丈夫でしょう。
私をまともに心配してくれたのって、お姉様だけだったし。
てっぺんは、少し霧がかかっていた。
城下町よりも太陽が近いのに、背の高い木々に囲まれているから、一日中薄暗い。
そんな高い山じゃないから、登り始めて10分くらいで頂上につく。
それでも、上からの景色は……あー絶景かな。
木にもたれ掛かって王都を見下ろしてみる。
…山に登っても、流石王宮は大きいね。
目を横に流す。
小さな石が、二つ並んでる。
…長いこと来てなかったから、雑草が沢山生えちゃったね。
軽く草むしりして、持ってきた花とりんごを添える。
「…ごめんね。花は、安物なの。りんごは、王宮から掏った高級品だけど」
手を合わせたあと、一人でそう話し掛けた。
「…喜んでくれるよね?」
精一杯の笑顔を向けてみる。
「………ねぇ……」
暫く経ったあと、私は二つの小さな石に問い掛ける。
「…私、どうすれば良いかなぁ…?」
あーあ、元気にやってるところを見せたかったんだけどな。
ついつい、弱音みたいになってしまった。
失敗したなぁ。
私は俯いて、これからの身の振り方を考える。
悲しそうに佇む、二つの石を眺めながら。




