彼女作ろうぜ
「ところでさ」
「なんだよ藪から棒に。」
「いや藪から棒にって、実際に使うやつ初めて見たよ。長いし伝わりにくい」
「どうでもいいだろ。なんだよ」
「いやさ、俺たちって彼女いないじゃん」
「まあ、そうだな」
「今までもいたことないじゃないすか」
「…そうだな」
「何でできないのかな」
「いやなんでってお前…」
「俺たち別にそこまでブサイクってわけでもないじゃん]
「まあ、確かにな。イケメンでもないが」
「まあ中の上でしょ」
「中の下じゃないか?」
「まあそこはどうでもいいよ。でも街を歩いたらさ」
「おう」
「すごくブサイクな男がすごく可愛い彼女連れてるんだよ」
「あーなんかよく見るよな、そういうカップル」
「あれ見て思うんだけど、何で俺じゃダメなのかな」
「何でって…別にその人と知り合いでもないんだろ」
「当然知らない人だよ。でもあいつにあんなに可愛い彼女ができるのに俺には何で普通の彼女すらできないのかなって」
「憤慨したわけか」
「憤慨って何だよ。頭の中で漢字変換しなきゃいけない言葉使ってこないでよ」
「すまん」
「それに別に怒ってはないよ。多分その人はよっぽど性格いいんでしょ」
「そうだろうな。外見と関係ない魅力がたくさんあるんだろう」
「でも僕も別に性格悪くないじゃん」
「まあ良くもないけどな」
「つまり総合戦闘力で言えばブサイクな男にも負けてないわけさ」
「ほう」
「なのに何で彼女ができないんだろう」
「それはだってお前…周りから高校時代に三股かけたって思われてるもん」
「何で!?誰がそんなこと」
「俺だよ」
「ぶっ飛ばすよ?何してくれちゃってんの?」
「いやまさか皆あそこまで信じるとはな」
「フザケンナヨ」
「憤慨?」
「憤慨中の憤慨だわ。何でこんなことするの?」
「お前が好きだからだよ」
「…」
「嘘だよ」
「嘘かよ!今必死にどう断ろうか考えてたのに!」
「断られるのかよ。傷つくな」
「いや、ごめん、俺は女性が好きなんだ」
「まあ俺もだけどな」
「何の会話なんだよ!何なんだよ!全部お前のせいかよ!」
「いやさっきの会話全部嘘だよ」
「あ、そこから嘘なのね」
「俺は先週彼女できたし」
「どこから嘘ついてんだよ、てめえ」
「告白したら意外といけたわ。この写真の右の娘」
「めっちゃ可愛いじゃないですか。まじかよ」
「まあお前に彼女できないのは、純粋すぎるからじゃないの。すぐ騙されるし。」
「それは関係ないでしょ」
「関係あるね。恋愛対象として見られてないんじゃない?」
「…」
「あとお前、ちなみにだけど告白したことあるの?」
「…」
「女性から告白されるのは俺たちとは違う人種だぜ」
「明日告白してくる」
「まあさっきの彼女の写真嘘なんだけどね。あれは俺の兄貴の彼女」
「もう何を信じたらいいんだよ」
「やっぱお前彼女できねーわ」
「お前もな」