歌上手い奴はなんやかんやでモテるの時間
こんにちは〜!あいも変わらず暑いですなぁ。熱中症とか言う奴には気をつけてくださいませね。
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某カラオケ店。その一室で騒いでいる、否。葬式の後の飲み会のような雰囲気で変に盛り上がっている4人の高校生がいた。
「案外早かったんだな手伝い。」
「もともと結構終わっていたからねー」
「そんな事より、想定外だな」
「想定外だ」
「まさかニコちゃんが演歌を歌うなんて…」
誰もが勘違いしていた。ニコの性格上パリピな曲を大熱唱してなおかつ音痴だと誰もが思っていた。だが実際は違った。ニコが歌うのは演歌。かなり癖があるがもともと演歌には癖があるものだと思っているせいかとても上手く聞こえてしまう。
そんなことを言っている間にニコが歌い終わる。
「はぁー、やっぱりカラオケは気持ちいいねぇ!次マストくんだよー」
「はいはい」
マストの歌う曲はいたってシンプルだ。有名な曲しか歌わない。歌唱力もそれなりだ。ただ異様なメンバーでのカラオケではまだ本気で熱唱できていない。
次に歌うのはカルクである。こちらも歌うのは有名な曲ばかり。だがマストとは違い圧倒的、聴き惚れるほどの歌唱力だった。美しい透き通るような高音から重みを感じる低音、耳をくすぐるビブラート。プロ涙目である。
「すごーい!流石は会長!!こんなに上手かったらトレンディーエンジェル斎藤さんになっちゃうよ!!」
「その変なチョイスはなんだよ!確かに歌上手いけども、性別超えちゃったよ!!」
「2人ともそんなに誉めないで?禿げちゃうじゃない。。。あ、、次ハラノくんよ…」
「あぁ。」
恥ずかしがるカルクは急に地獄を見たかのような顔でハラノにマイクを手渡す。
ーまた始まる…
事の発端は1時間ほど前のことだった。。。
「次、ハラノ歌うか?」
「俺はいいってだろー」
「つれねぇなー」
まだカルクは文化祭の準備でいない時、ハラノは恥ずかしいのかなかなか歌ってくれなかった。だがそれをニコは許さなかったのだ。
「歌えやコラァァァァァア!!恥ずかしがってんじゃねぇぞ!?」
ニコはハラノの胸ぐらを掴み上げて言った。その時の顔と顔との間隔が10センチ程度だった。突然のキャラ変身にハラノとマストは笑うに笑えない。
「ニコさん、キャラクター忘れてるよ。あなたは元気が良くて優しいキャラだよー。」
マストは怒鳴るニコに囁くように言った。
「あらごめんなさい。でもハラノくん。歌いましょうね??」
掴んで服を離しにこやかにそう言った。だが2人には恐ろしく感じてしまった。
「はい…歌います。」
これを含めて思ったのだが、ハラノはクールそうに見えて案外押しに弱いみたいだ。そう言ってハラノが入れた曲はボーカロイドの曲だった。
「ボカロ?!意外だなぁ…」
「ボカロってあの小林幸子の!?」
「お前はなんでそこなんだ…確かに幸子ロイドだけれども、、初音ミクとか鏡音リン・レンみたいなのを言うだろ普通。」
「そーなのー?」
「そーなんだっ、、、お、始まるぞ」
ボカロについて代わりにマストが答えていると前奏が流れ出す。そして悪夢は始まった。
♪〜↑⤵︎↙︎
ーあ、これ…ダメやつだっ!
「これはひどっ…!?」
あまりにも下手だった。その下手さにニコが口を滑らせるがなんとかマストがニコの口を覆い止める。
そしてマストはヒラノに聞こえないよう小声でニコに説法をする。
「いいか、思っても言っていいことと悪いことがあるんだ。」
「だってこんなの聴いたら意識飛んじゃうよ〜。完全にニコの消失になっちゃう!」
「なに言ってんだ!ここは我慢して褒めねぇとアイツ拗ねちゃうよ!?アイツ拗ねたらすげぇ面倒くさそうだもの!!ワールドイズハラノだもの!!」
「分かった…頑張ります」
「そうだ耐えて生きて、生きて、生きて、生きて、生きろ!」
なんだかんだ2人がハラノの歌声を耐えているうちに、いや、2人がハラノの歌声に絶えているうちになんとか終わった。
「す、凄かった…ぞ?ハラノ」
「ウンウン、劣等上等だった…」
「そんなに褒めるな気持ち悪い。。劣等上等は歌ってないんだけど…」
2人(いや、片方の)100パーセントお世辞にハラノは顔を赤くしてマイクをニコに渡す。どうやら本人は自分の滅びの歌は聞こえないようだ。それはそうか。ザラキを放って自分が死んでは元も子もない。
「そんなに褒めからかうなら、歌わねぇぞ」
「とっても上手かったぞ!!聴き惚れるほどだ!」
「ハラノくんは天災(天才)だよ!どうしたらそんな声が出るのか分からないよ!!」
2人はハラノに歌わせまいと必死に褒める。ニコに関しては奇跡的に褒め言葉になっていた。同音異義語って素敵、と密かに思うマスト。褒められたハラノはまんざらでもないみたいだ。だがいい気になってしまったのか、マストが歌った後はハラノがしれっと曲を入れてスタンバイしていた。
「え?歌うの??」
「カラオケは歌うのが普通だろ??」
ー嫌なこと言いだしたよー?!なんなんだよこいつ!!??言ってる事は事実だけれども!
こうして地獄が始まったのであった。。。
そして現在、地獄タイムがちょうど10周程度した頃だ。
「そろそろ帰らね??良い子は寝る時間だぜ?」
「えーマストくんは良い子じゃないでしょ?」
予想はしていたがニコがまだ帰りたくないと駄々を捏ね始める。
「お前が言うなっ。」
マストはそう言ってニコの頭を軽くグーで叩く。
「イテッ!」
「それはそうとここらで潮時にしましょう。」
「えーカルクちゃんまで〜」
「ごめんねー。ここに来てからずっと外でじぃが待ってるの」
「ずっと?!」
カルクがカラオケに来たのは約2時間前。普通なら1度家に帰り電話などで呼び出してからくるものだと思っていたが執事というのはそう言うものなのか?と一瞬マストは思ったが嫌な気がしてすぐその妄想は打ち砕かれた。
「いやね、私も帰るのだと思ったけれどじぃが[カルク様。今日じぃはここで皆様が帰るまでここに居たい気分でございます。あんな楽しげなご学友!少しでも近くにいとおございます!!]ってみんなの事気に入っちゃったらしいの。」
カルクはその時の会話をじぃの真似を踏まえ教えてくれた。じぃの真似をするカルクの語り口調は後半になるに連れて興奮していたが容易にその時の状況が把握できてしまった。
「やっぱりそんな感じか…」
「そーいやーカルクちゃんのじぃ、カラオケ行く事が決まった時ちょっと寂しそうだったなぁ。もしかして!一緒に歌いたかったのかな?!」
「流石にそれはない…とは言いづらいなぁ」
一方その頃、カラオケ店の前に止まる黒いボディーのリムジンの運転席に座る老いぼれながらも背筋の伸びた男は、、
「わしも歌いたかったなぁ。U!S!A!とかみんなのとやりたかったなぁ〜。今度は誘ってよねっ!じぃ拗ねちゃうんだからっ!!、、、もっ!」
その車の横を通るサラリーマンは車内の奇行と奇声に足を早める。
「ならカルクちゃんは仕方ないねぇ。じぃ可哀想だし…」
「なら俺もそろそろ帰る。」
「あ、ハラノくんはいいよ。」
「おい?!俺だけ扱いおかしいだろ!」
流石のニコでも辛かったのだろう。しかしながら、ハラノは何故こんな言われようなのか分かっていないのだった。
「じゃ、もう今日はかいさーんっ!」
こうしてボランティア部創立記念打ち上げ(カラオケ)が終了したのだった。そして皆思った。二度とカラオケは嫌だと…
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P.S.
おそらく熱中症になりますた…




