再始動の時間
更新が遅くなった事をお詫び申し上げます。またダラダラと書き続けるので今後ともどうぞよろしくです。
日は高く昇り、やや冷たい風が吹き、開いた雲の隙間から2人が照らされる。2人がいる屋上は普通の屋上より遥か高くに存在しているように感じられる。
今日のゲームの時間も終盤。キルトペアが一点リードしゲームは大きく展開を動かした。各チームキルトペアの先制点に焦りを感じる。その中、屋上で誓いを立てる2人がいた。
「絶対に俺がこの世界にピリオドを打つ。」
モモキの辛い過去を知ったマストはこの世界のとは何か、このゲームの本当の意味、そして目的。いずれは知りたいと思っていた事だが目の当たりにすると事の重大さに圧倒される。本当に自分がやってのけられるのだろうか。そんな不安があって仕方がない。だが、男だ。いや、それ以前に人間として助けるほかあるまい。モモキだって何十年間もの間耐えてきたのだ。
『ありがとうマスト…』
モモキはマストがそう返事してくれるとは思ってはなく思わず涙してしまう。いきなり自分の事情で妄想の世界に招待し半強制的にゲームに参加させておきながら、最終的に神と戦えと言ってマストは引き受けてくれた。やっている事は神隠しと変わらない気もする。そんな強引な誘いを承諾してくれた。モモキにこれ以上ない報いであった。
マストは泣くモモキを優しく抱きしめる。形がなくならないように優しく、優しく。モモキは今までの悲しみや苦しみの苦労、世界は全て泣きじゃくる。
それから何分経っただろう。今まで何歩か歩けばすぐ敵、今は仲間と言うべきプレイヤーはここを避けてくれているかのように平和である。すっかりモモキも泣き止みいつもより元気な雰囲気に戻る。同時に少し恥ずかしそうに顔が赤い。
「もう大丈夫か?」
『も、もう大丈夫、だ。』
顔を赤らめて照れるモモキは可愛い。そんな顔を見てはマストの男心がくすぐられる。
「もう一回泣いてもいいんだぞー」
『うるさいなぁー』
ずっとこうやっていじりいじられる笑顔のある日常が続けばいいと思うマストだがそうはいかない事はもう分かっている。だからこそ、今ある幸せを噛みしめなければならない。マストは精一杯笑ってみせるとモモキもつられて笑ってくれた。
楽しい時間も今はここまで。これからは誰よりも戦ってたくさんポイントを獲る。いや、強くなることが大事だ。神と戦えるほどの戦力をつけるには一分一秒の時間が惜しい。
「いやーそれにしてもやっと過去回想終わったなぁ。」
『甲乙丙丁で終わるはずだったのにな』
やはりこいつらはメタい話をする。
「そうそう、甲乙丙丁で終わらせるとか言っておきながら余りにも語りたい事が多過ぎてできるだけはしょったけど甲乙丙丁戊己まで行っちゃったもんな。そーなる事は初めから分かってただろうに…」
『仕方ないんじゃない?小説初めてまだ半年。それに、毎日投稿していない分経験が浅いんだろ』
暇さえあれば作者の愚痴を言っている。
「だとしても投稿ペース遅過ぎじゃねぇの?そのくせ気がつけば俺たちほっといて短編の恋愛小説を書いてやがるし…」
『ホント、何してんだか、、、』
「まあ、そんな事は置いておいてこれからの作戦なんだけど…」
マストはついには作者を愚痴るのに飽きて話を戻す。
「このゲームが本当に育成のためなのなら何もとどめを刺す必要はないと思うんだ。」
その通りだ。このゲームの本当の目的は神を倒すためのプレイヤーの育成である。ならば何も相手と切磋琢磨するにしてもトドメまでさす必要はない。実際、体力が全てなくなった時どうなるかはまだ分かっていない以上変に他プレイヤーにロスタイムが生じてしまう。なんならみんなで協力して訓練する方がいいと思うのだが、ゲームとして競わせている以上何か狙いがあるのだろう。
『というと?』
「俺はポイントは取らない。だけど相手と全力で戦う。」
『なるほどな、でもマスト。』
マストの気合の入った宣言にモモキが水を差すかのように続けて言った。
『体力がゼロになったらどーなるか、ちゃんと教えてなかったよな?』
「そうだけど…」
モモキのその言葉に固唾を呑む。
確かにちゃんと教えられていない。過去回想でも言っていなかった。もしかするととんでもないペナルティが。そんな事を思いマストの手が震える。
そんな表情を見てモモキは真実を明かす。
『体力がゼロになるとだな…』
「なると、、、」
『ジャーキング現象にあう』
マストの頭にははてなが浮かぶ。しかし、その言葉の響きからして少しやばそうではある。モモキは分かっていなさそうなマストのために続けて説明する。
『簡単に言うとアレだ。授業中に夢から覚めてガンって机の脚を蹴っちゃうアレだ。』
「はえっ?、、、」
ジャーキング現象。それは入眠時に無意識に起こる筋肉の痙攣である。入眠時に起こることから別名スリープ・スターツ(sleep starts )とも呼ばれる。なぜ授業中に感電、落下したような感覚に襲われ痙攣するのかは未だに解明していないらしい。
だが、もしモモキが言っている事が本当なら真実はみんな妄想の世界で体力がゼロになったという事なのだろうか。
「じゃあみんなも体力が尽きて机をガンって蹴るって事なのか?」
『んーどうやらそうらしい。』
マストの感銘直接な想像は意外にも正解だった。そのあとモモキが説明するにはこうだ。
妄想の世界での神隠しが始まってから無意識にこの世界になんの誘いなしにアクセスしてしまう人がいるらしい。もちろんそのままそっちの世界に居られるわけは無く弾かれてしまう。その際に体力は削られあのような現象が起きるという。最近ではアクセスが増えてその度に弾かれているようだ。だがこちらもなぜ無意識のうちに妄想の世界に入ろうとしてしまうのかは不明である。
「それはそうと、そのジャーキング現象の後はどうなるんだ?」
ここがこの話の肝である。これの返答次第では立ち回り方を変える必要がある。
『あーそうだったな。向こうの世界で数分もすればまだこっちに戻って来れるはずだ。』
「なら安心した。てっきり体力0=死に近いペナルティーで、この世界から永久banみたいになるかと思ったぜ…」
なくもない話だ。だが事が軽くて良かった。これなら相手もあまり心配しなくて良さそうだ。
「じゃあ再度作戦は変更だ。」
『ほう、その作戦は?』
モモキは再び武器化しながらマストに聞く。マストも武器化したモモキを強く握り、服をいつものようにかっこよく変身させる。
「今まで通り見つけたやつを倒す。」
そしてマストは槍を天に掲げる。
「最後は、ここの神もぶっ倒す!」
マストはそう天に宣戦布告し校舎の中へ、戦場へと足を進める。
読んでくださりありがとうございました!
次回は6月末かなと…
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P.S.
ここで最近面白い事言えなくなってきた…
前まで面白いかはおいておきましょう(╹◡╹)




