甲乙丙丁、戊で終われないと戊の次が己とは知らなかったの時間(己)
長く続いた過去回想もこれが最後。
お楽しみください。
『ここで驚くべき事実なのだが…』
長い話に痺れを切らし寝てしまったサグを除き、4人の目は真剣だ。
『実は過去回想のパートは甲乙丙丁で締めるつもりだったのだが、さらっと(戊)に行っては飛び出し遂に(己)まで来てしまった。』
『…んあ?』
突然のメタ発言に一同困惑する。真面目そうで冷酷なウロスがまさかここまで来てメタ発言。そしてあえてあまり触れなかった事に触れたことに驚きを隠せず変な声が出てしまう。
『これは重罪だな』
ヒメキはこの場の雰囲気を壊したウロス、、もとい作者に向かって言った。仕方がない。これは覚悟の上で長く続いた緊張した雰囲気の過去回想を少しでも和まそうと思ったのだから。
あ、申し訳ない。この(己)で終わらせるつもりなので少々お付き合いください。もう嘘はつきません。
ウロスは白い頬を真っ赤に染めて咳払いで場を立て直す。
『失礼した。これは俺の意志でやった訳だはない。忘れてくれ。』
『まぁ仕方ないな。これは100:0で作者が悪い』
と経験者は語る。
ウロスは拳を強く握り空気読まずの作者に恨みを込めながら本題へと流していく。
『それでだ。説明を続けさせてもらう。本当に驚くべきは過去回想がなかなか終わらないことでもなければ、俺がさっきみたいな事を言わされる事でもない。俺たちここのバッチを持つ者達自身は神に攻撃が出来ない。という事だ。ヒメキなんかはおそらく見た事があると思うが神に攻撃が届くのは神が作った武器での攻撃のみだ。』
ヒメキは昔の事を思い出してみる。あの時のリーベの城壁を護衛していた服装。そしてケミスに当たりはしなかったものの神の加護により生み出された剣で戦ったリーベの騎士、ワイレ。何故、武器や護衛用のアーマーなどをしていなかったのか。それはリーベの加護があったから。そうでもなければもし、神が侵入しようと神の前では力にはならないものの攻撃が当たれば一応効く為だろう。
つまりはヒメキたち5人は誰からも神の加護を受けていない。つまるところ、今の状態では神と戦う条件が整っていないのだ。
『だが安心してくれ。神の力はもう受け取っているはずだ。』
神からの力。。。そんなものを受け取ったはずが…いや、
『あのバッチか!?』
ヒメキはケミスが半神である事をふと思い出す。半神であれど神は神。そのケミスからもらった武器の形をしたバッチだ。そのバッチは自分の胸にかざすとバッチの形を崩し光になり胸の中に入っていくのは今思えば神秘的ではあった。まだその力は見出せないままだが神の加護の様な力が使えるのだろうか。
『ああその通りだ。だがその様子だとまだ力を使った事がないみたいだな。。よしちょっと見てろ』
そう言ってウロスは席を立ち、優雅に居眠りをしているサグの前で静止する。そしてウロスは集中し、周りもそれにつられ静寂に包まれる。
するとウロスの体を縁取って青く輝く。そしてウロスの体が光に覆われ一瞬眩い光を発した。眩しく皆が目を閉じ次に目を開けるとサグの頭上に青を基調とした立派な盾が浮いていた。しかし、その場にいたはずのウロスは居なくなっていた。なかった。その姿をサグ以外がしっかりと目にした後、盾は重力に身を委ねサグの頭に勢いよくぶつかる。
『な、なんだ?!』
鈍く痛い衝撃に目を覚ますサグが騒ぎ立て、それに連れていなくなってしまったウロスといきなり現れた盾に皆んなが驚き静かだった図書室が動物園かの様に騒がしくなる。
だが本当に居なくなったわけではない。
『俺はここだ。』
声をする方を見てみるとサグに降り注いで地面に落ちたはずの盾が浮いていた。そしたまた眩く輝き光に包まれ、さっきまで盾が浮いていたところにウロスがふわりと着地する。今度は盾の姿がない。そういう事である。
『もしかして…変幻…したのか?』
あまりにも非科学的、非現実的な現象を目の前にしてヴァルが口を開け間抜けな顔をしながら言う。そして、その後5人はウロスから変幻の仕方を教わった。
それからも説明は続いた。1日、2日、3日と。
この世界では"妄想力"と言うものが存在する事。これはこの世界を作りこの世界にいる神々たちしか知らない秘密事項であったらしい。しかし、ケミスから情報を漏らしてもらえたお陰でバッチの力を借りて武器に変幻する武器化が可能になった。そして、その妄想力を使い色々なものが作り出す事ができるとい事が分かった。だがこの中で一番妄想力の高かったウロスでも綺麗な花束を作るのが精一杯だった。この妄想力を使うには体力をかなり消耗する。疲労を感じないこの世界での体力消耗はひどく答える。この力は第六感の様なもので感じ取る事ができるらしい。特にそれを感じ取る事ができたのはウロスとサグだった。2人はどんな小さな妄想力でも感じ取ってしまえるほどだ。さらにこの体力が妄想力によって尽きる事は無いみたいだが代償は大きいのは変わらない。
そして、この浮島についてだ。単刀直入に言うとこれも妄想力だという。どうやらこの島が出来る直前で現実世界に生まれた子の仕業だという。なぜ分かったのかと言うと、実はウロスもこの島ができる直前にお告げがあった。そしてその赤子からとてつもない妄想力を感じたそうだ。つまるところ、現実世界に生まれた赤子の謎の妄想力がこの世界に影響を及ぼしたらしい。実はこの事はケミスが予言していたとウロスは言う。
《"その時"が来る直前、神に匹敵する子が生まれる。その人間はこの世界に国を作りやがては治めるだろう。だけどそいつだけではそんな事は出来ないだろうな。そこでだ。お前がアシストしてやれよ。》
そんな台詞にうっすらとケミスの笑顔が思い浮かぶ。
このケミスから聞いたウロスの記憶によると「国」は恐らくこの大きな街一つ分の浮島の事だろう。その国を作ったのはウロスが人生を見る事ができる人だ。まだ赤子だがいつかこの世界に来てこの悍ましい妄想力で治めるのだろう。
そして何よりもみんなが注目したのは"その時"がもう時期来るという事だ。"その時"は現実世界の人間7人を集める唯一の時である。その為にもまずはこちら側で7人。現在集まっているのは6人であるため、あと1人必要である。
そう思いつつ、妄想力や武器化などの"その時"に向けた練習を続けつつ、時折公園にあるリーベの国から出てくるあと1人を待っていた。年は数年過ぎその時もまだ来ず、ウロスが妄想力を鍛え大きな荷車を作れる様になった頃、空に浮かぶ島にはどこの教にも縛られずにこの世界に彷徨ってしまっている人が徐々に住み始めてきた。住人にはある程度のルールを課せ、これからの事をしっかりと説明した。その上で住んでいる。中にはその話を聞くや否やすぐ引き返す者もいたが大半は快く思ってくれた。そもそも地獄や天国から溢れかえった死者や記憶などがこの世界に連れられ何の処置も受けないというのはあってはならない事だ。
そうしてこの国の基となる形が出来てきた頃だった。
『みんな!やっと来たわ!!』
勢いよく図書室の戸を開けるのはツォト・カカだった。
バッチを持つ6人はこの学校を国の本部の様に扱い今でも会議などを行う場所は図書室と決まっている。
それはそうと息を切らしながら図書室へ飛び込んできた事を発したカカを見て一同が勢いよく椅子を飛ばすかのように立ち上がり図書室を飛び出す。先頭をカカが走りものすごいスピードで学校を駆け抜け先導する。そして図書室のある三階の窓から次々と飛び出す。
この数年間鍛えたのは妄想力だけではない。基礎となる身体能力の向上。またこの世界では疲労が存在しない。そして痛覚もほぼないに等しい。だから学校の3階から飛び降りようとなんら痛みはない。それを利用し思い切った大胆な行動をとることも可能だ。
『そいつはまだ公園か?』
島の螺旋階段に向かいながらウロスが公園広場の監視当番だったカカに尋ねる。公園の広場は日によって監視係を交代して最後の1人を待ちわびていた。そしてついに動きがあったのだ。
『多分。何か探してる様な仕草をしてましたわ』
『そいつは1人だけか?』
ウロスははやる気持ちを抑え慎重に状況を整理する。やっと7人集まるのだ。胸が高鳴り熱くなる。
6人はほぼ自由落下に等しい速さで階段を回り降りていく。
やがて公園のすぐ側までたどり着いた。恐る恐る近づき、相手の様子を伺う。すると広場には空色の髪をしており小柄な男の姿があった。これが7人目か。
『待って、あの制服。』
男が身につけていたのは白を基調とし胸にFの文字が書かれた見覚えのある服だった。
リーベの国の服だ。どうやら迷い込んでしまったのか、はたまたこちら側の動きに気づき偵察でもしに来たのか。いづれにしろ慎重になる他ない。するとサグが何かに気づきその男の元へと飛び出した。
『早まるなサグ!』
そのウロスの声に小柄な男がサグに気づく。
『サグいた〜』
『キルト、何でここに?』
どうやらサグの知り合いだったらしい。
サグは以前この小柄な男、キルトと共に生活していた。キルトがリーベの国に来て間もない頃サグがキルトを後輩の様に可愛がりこの国の情報や住まいを提供していたのだ。そんなある日、カカが家に来た時キルトは外に出ており帰ってくるとサグがいなくずっと待っていたらしい。だが待ちくたびれていた頃、この世界に存在しないはずの蝶がひらひらとキルトの周りを飛んでいたという。キルトは大の虫好きで思わず蝶を追いかけているうちに辺りが見えず噴水に入ってしまったらしい。こうも元リーベの領土で暮らしていたキルトと言いサグは鈍臭いのか。
そしてキルトは何のためらいもなく、サグがいるなら問題ないと仲間になった。あとで浮島に戻り銃のバッチを渡した。
これで7人揃った。
異変は更に続いた。ヒメキは頭の中で何か聞こえる気がした。そしてふと気づく。
『お告げだ!』
この世界に来てから20何年間も聞こえなかったお告げがついにヒメキに届いた。それだけではなかった。
数日後のことだった。サグ、キルト、カカ、ヴァル、サヤが前まで見ることの出来ていた人生が何の音沙汰もなく見れなくなってしまった。その見ていた人らは神隠しが起きたわけでもなければ死んでもいないはずだ。なのに見れなくなると言った事例は聞いた事がないらしい。
そして、何ヶ月かおきにお告げが来たそうだ。こうも同じ年にお告げを来るのは偶然とは思い難い。そして7人は一つの結論に至った。
これが"その時"の前兆である。
と。後々年が過ぎていくとその6人の住んでいる街が同じで近いという事がわかった。
それからの日々は早かった。年を重ねるたびこの浮島で暮らす人間が増えた。再びヒメキ達は"その時"に備えキルトも含め特訓をした。身体、妄想力の更なる向上。休んでいる時には現実世界の人生を覗き見て楽しいこと悲しいことを沢山見てきた。
そして、いつも通り特訓を続けている時だった。
『大変だっ!!』
叫び7人を学校の外へ集めたのは酷く焦るウロスだった。みんなもその異変に気付き唖然とする。
前まで何も無かった浮島の空き地に巨大な城がそびえ立っていた。以前から何か作られていたわけではなくいきなり現れたのだ。その城からはとてつもない妄想力を感じる。これほどの妄想力。この浮島以来だ。
そしてもう一つ異変が起きていたのだ。
『俺のが、、この島を作ったと思われる女が、死んだ…』
ウロスが見ていたこの浮島を作ったとされる張本人の女が若いのにもかかわらず現実世界で死を遂げたのだった。おそらく死因は溺死。まだ命がある時に見たウロスの見ることの出来るその人の人生には水しか見えなかったという。そこは深く暗く。
この2つの事件に何かを感じ特訓で久しく人生を観ていなかった男の、、マストの人生を覗いてみると騒がしい車の中だった。マストの周りには男の大人が慌ただしくしていた。この日がマストが事故にあった日である。ヒメキはかなりマストの人生に感情移入していたせいで相当なショックを受け膝から崩れ落ちる。
その後の事だった。
ヒメキは1人学校に戻り1人でマストの人生を見ていた。その間に残る6人はいきなりできた城を調査したところ。城内の大きな玉座には1人の女がいた。これがこの国を作った張本人。ウロスが見ていた人間だった。背が女性にしては高くすらっとしており
ついさっき死んだにも関わらず何故かその女は落ち着きがあり、この世界の事を熟知していた。なぜ知っているのかと聞くと女はケミスと名乗る神から告げられたという。だがケミスがどこで何をしているのかは聞きても知らないという。名は現実世界の名を使わずフィジと名乗った。本名を知るのはウロスだけだがフィジに口止めされたらしい。
フィジは早速この国を治める動きを始めた。
まずはこの島を国としここに暮らす住民をマキナと名付けた。今まで大雑把だった規則を定着させる。
そして武器化する事が可能な7人を7人想及び守護者と呼びそれぞれの名前をウロス、キルト、サグはそのまま名乗らせ、今まで名前のなかった男をヴァル、女をサヤと名付け。ヒメキとカカはシル、ルルと名を改めさせられた。何の意味があるのかは分からないが別に反対する理由も特にはないのなら仕方がない。
それから何年か経ち。フィジが次のように告げた。
『あなたたちウロスを残す6人はもう時期くる"その時"の後の話をする。』
現実世界の今6人が見る事が可能な人をこの世界を連れてくる事が可能になる"その時"。
ウロスが言っていたケミスから聞いた作戦を思い出す。一つ目は7人揃う事。二つ目は現実世界の人間を揃える事。これは今ウロス以外が観れる現実世界の6人とフィジのことらしい。そして三つ目。それら7人の育成。
話された内容はこうだった。
まず、守護者を扱えるのはフィジと選ばれた現実世界の6人しかいないということを前提として認識してもらうこと。そして、この世界にいきなり連れてきてこの世界の為に神と戦えなどは無茶な話である。その為守護者や妄想力を扱いになれてもらうため半強制的にゲームを行ってもらうという事。
そして最後にその6人の同意に基づき神と人間の戦争。この世界の終わりに手を貸してもらう。
少し都合の良すぎる話ではあるが少しの希望がある限りかけてみる価値はあるだろう。そう思い7人想は同意した。現実世界の人間を強化している間ウロスはフィジの護衛を務めるらしい。
そして数年経ち"その時"が来た。
6人はお告げとはまた違う感覚に襲われる。そこで6人は現実世界の今まで見てきた人の元へ行きたい。そう念じる。
『…うこそ、やっと来たか』
テストが始まり少し経ち、みんながペンを走らせる中、腕を組み解答欄の点数の枠をぼーっと見つめる男が1人。確かに聞こえているはずなのだがその男は知らないふりを続けようとする。
『怖いのか??』
気を使って声をもう一度かけてみたが男…いや、神崎マスト。普通の現代を生きる普通の高校二年生は脳内に話しかけられる気持ち悪さに保健室へ運ばれる。
こうして出会った2人。出会う確率73億分の1。実際ヒメキはこの現実には存在しないし、"その時"が来なければこんな機会はない。それを踏まえると数字で表せるかも疑わしいほどの奇跡。どういう形であれその奇跡の上に2人は成り立つ。
目を覚ましたマストは徐々にヒメキの声に慣れてくる。こうして向こうでずっと見ていた人と話すのはとても不思議だが嬉しい。
➖これからもこんな日々が永遠に続けばいいな。
『よ、ようこそ妄想の時間へ!』
こうして世界の歯車が動き出した。
読んでくださりありがとうございます!
この回でひと段落と致します。
しばらくは1回から読み直しまだ未熟なあの頃の文をましになってきた今の自分が手直しに入ります。やはり最初のつかみは大事ですからね。
そしておそらくこの回で10万字到達致しました!!応援していただいた人達、読んでくださった読者の皆様のおかげでございます。心から感謝申し上げます。
今後ともこの作品、そして私も応援してくださると大変嬉しい限りです。よろしければブクマ登録、評価のほどよろしくお願いします。
P.S.
これで活動を終わるわけではないです。くどいようですが私は死ぬまでこの作品を書き続け最終的には誰かに受け継げたらと思っています。
私の人生がこの作品であったと思えるよう頑張ります。
真面目な事はやっぱり難しいなぁ




