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ようこそ妄想の時間へ~Welcome to the time of delusion~  作者: Lalapai
第1章HOW TOの時間(続)
31/47

消えた過去は戻らないの時間(丁)

この回で一応過去回想最終回という事なんですが…


これほど他人に優しくしてもらえたのは久々だ。人の優しさというものはどことなく暖かみを感じさせ、物事を優位に運んでくれることがある。しかしながら同時に罪悪感を感じさせる。


見慣れた公園に1人。いつも通りに淡く光る街灯が点滅している。辺りの家には明かりが一切無い。

なんとかリーベの領域から逃げたヒメキは公園の広場の真ん中に倒れていた。そしてヒメキの側にはFの形をした小さなモニュメントが逆さに突き刺さっていた。どうやら出口はこことつながっているらしい。このモニュメントがある以上ヒメキは神隠しにあった事実は変わっていないと悟る。そしてケミスがまだ来ていないという事も。

ヒメキはケミスの様子が気になり恐る恐るモニュメントにリーベの領域に入った時同様、手をかざしてみる。しかし反応がない。おそらく一歩通行なのであろう。

することがなくなってしまった。ここに戻ったはいいもののケミスがいなければ意味がない。神に抗おうと今はただの人間1人。


『ここからどうすればいいんだ…』


ヒメキは広場の真ん中で立ち尽くす。そしてある事を思い出す。


『袋!ケミスからもらった袋は?!』


ヒメキは脱出する際、ケミスからある程度の重さがある袋を貰っていたのだ。たしかに噴水に飛び込んだ時も手に持っていたはずだ。すぐさま辺りを探る。しかし見当たらない。またすることが無くなってしまう。そう思った時。


『わぁっ!』


いきなりモニュメントが光り出した。ケミスが帰ってきた。嬉しく思ったがそれは夢の話。実際に現れたのは袋だった。ヒメキはがっかりする反面、すこしホッとする。

どうやら噴水に入った後手放してしまい転送が遅れたのだろう。

ヒメキはその袋を丁寧に拾い上げ近くにあるベンチへと向かう。ベンチに座るとき今までの疲れがどっと椅子に流れ込んでいくような安らぎを感じた。

しかしながらモニュメントがやはり気になる。いつケミスが帰ってくるものか、と。そうそわそわしながらも袋の紐をゆっくりと緩め袋を開く。


『こ、これは…』


袋の中に入っていたのは色んな武器の形をした安全ピンなど止めるのはないがバッチのようなものが複数入っていた。形をいろいろ見ていくと種類は6つ。

剣、槍、弓、槌、星、銃の形をしていた。星というのはモーニングスターの事である。どうやらここに来る前、袋の中でなった金属音はこのバッチがぶつかり合う音だったのだろう。

そしてその袋の中には折りたたまれた3枚ほどの手紙が添えられていた。


[神に抗いし仲間へ]


その折りたたまれた紙にはそんな見出しが書かれていた。荒っぽくしかし綺麗に書かれていた。ケミスの字なのだろう。ヒメキは恐る恐る手紙を開く。そこにはびっしりとこう書かれていた。



この手紙を読んでいるということは恐らくヒメキのみが逃げ出せたという事だろう。また1人にしてしまって申し訳ない。

俺がこの世界に初めて来たのは人間で言う10歳。半神で言うところの100歳の頃だった。父と母は会うことを許されず、私は1人で生きた。他の神からは差別を受け遂には居場所をなくしてしまった。そんな時に来たののがこの[彷徨える現実]だった。ここに来てもする事がなく時折会う死の世界から溢れかえった人間。記憶喪失で失った記憶を持つ人間。時には憎しみを持つ浄化されなかった人間とも話をしてきた。どれも面白みのある人間だった。考え方、育ち方、生き方は違えど人生を送っていた。だけどみんな共通している事があった。楽しい事はゼロではなかったって皆口を揃えて言っていた。他人を憎んでいても、恨んでいても思い返せばその事を悔やんでいた。だが全部がそんな事を365日、24時間思っていたわけではなく1分、1秒でも嬉しい事、楽しい、自分のやり方が間違ってんじゃないかと思える時間があった。そう見返すたびその人達は浄化していった。ヒメキもそのはずだ。ここに来てから見たことのない笑顔を見せるようになったな。俺はヒメキが赤子の時から見ていた。人の人生ってのは実に面白いからな。

まぁ、そんな感じでのうのうと暮らしていた時だった。いつからか神々が勢力とやらを作り出した。人々をまとめ上げ本来返す場所に返さずにオモチャのように扱いやがる。そこまでは俺も黙っていた。だが黙ってられなくなったのは神達が勢力を広げようと現実の人間にまで手を出しやがった。

そこから俺はこの世界を潰すと誓った。こんな世界はあっちゃいけねぇ。たとえ神どもに逆賊などと言われようとも。しかし、俺だけではそんな事はやり遂げれねぇ。だからお願いだ。この世界を潰してくれ。もし嫌ならこんな手紙焼いてくれてもいい。もし協力してくれるのなら次に従ってくれ。


ヒメキは紙を次へと読み進める。もちろんケミスの目論みに賛成である。



まず初めにこの作戦をするにあたって必要なのは7人のこの世界の人間と7人の現実世界の人間だ。


『現実世界の人間?!それってリーベとかとやってる事変わらないんじゃ…』


ケミスの考えにヒメキは頭を悩ませる。



お前は現実世界の人間と聞いて驚いているかもしれないが神隠しのような事をするわけではねぇが。。。まぁその作戦は後々わかる事になる。

とりあえずまず集めるべきはこの世界の7人だ。実際にヒメキそのうちの1人、そんでもう1人は俺がもう探しておいた。だから残り5人集めればいい。肝心の集め方だが信頼できる奴でいい。ぶっちゃけ決め方とかは基本は適当でいい。ただ同じ志なら。


そうしてヒメキの人集めが始まった。と言っても行く宛がない。だからひたすら待つことにした。公園のベンチに座りながら。同じ志の人を探すならここから出てくる人がその人だ。そう信じて。そしてケミスが出てくるのも信じて。


待っている間、ヒメキは手紙に書いてあったことで悩んでいた。それぞれのバッチで武器のスキルを取得できるという。ある武器は剣、槍、弓、槌、星、銃と言ったものだ。それぞれ剣から緑、ピンク、紫、黄、赤、青色の宝石のようなものが埋め込まれている。その一つを手にし、それを胸に当てる事によって武器が手に入るらしい。それを集める5人で分け1人1つずつ選べるらしい。それ以上に武器の効果、技の出し方などは手紙には書いていなかった。

そして今まだ人が集まっていないためヒメキはどれにするか自由に選べるのだ。


『どれにしよー。剣なんかありがちだしー、かと言って弓とかは難しそうだしなぁ。』


そして、最終的に選んだのは槍のバッチだった。


『やっぱり、それなりにリーチがあって扱いやすさを考えたら槍だな。銃でも良かったけど重そうだしな。それにピンク好きだし…』


少し頬を染め1人でクスクスと笑った。

そしてヒメキは槍のバッチを恐る恐る胸に近づける。

するとバッチは桃色に激しく光り出した。そして手で触る感覚が消えていく。みるみるとその光は胸の中に吸い込まれていく。


『どー、なったんだ…』


ヒメキは服の中を覗くがなんの傷跡もない。なんなら違和感すら感じない。これが所謂神の加護的なものなのだろうか。かといってまだスキルの使い方がわからない。これでは人を集めたとしても、まともに説明できなくてはまとまるものもまとまらない。そうならぬよう能力を理解しておく必要がある。


『ぬっぅ!…はぁ。。。』


色々試行錯誤してみるがやはり何も起きない。そうこうしている時だった。

突然、当たりが輝きだした。


『くっ、、、ここは…』


『…』


そして現れたのは背の高い男と小さい女。後のヴァルとサヤである。


『お前は誰だ。』


男はヒメキの存在に気づく。それに対するヒメキは嬉しそうな顔をする。


『私はヒメキ!やっと来たんだな…』


ヒメキは喜ぶ反面ケミスが先に現れなかった事について考えてしまった。

男は服についた砂を払いながら立ち上がる。女もゆっくりと立ち上がる。男の身長は立つとより大きさを感じさせるほどだった。


『どーゆー事だ?』


『私はここで待ってた。あなた達もリーベの領域から逃げたんだな?』


ヒメキは男の質問に素早くレスポンスし直ぐにクエスチョンを投げかける。

そのヒメキの顔は真剣だった。なぜならリーベの領域のワイレのような清楚な制服を着ていたからだ。デザインこそは違うが位が違うだけでリーベの使いかもしれない。


『まぁ逃げてきたな…一応聞く。リーベの回し者か?』


『そうだったら?』


ここは男の質問に下手に答えないほうがいい。変に答えれば相手は2人に対しヒメキ1人、最悪やられかねない。


『無論、潰す。』


男がそう言うと身を構え出す。後ろの女は特に身を構えない。さっきから声一つ聞かない。


『安心しろ。私はリーベとは一切関係ない』


『ほんと、か?信じていいのだな??』


ヒメキは警戒する男に優しく頷いてみせる。そうすると男は警戒を解いた。


『それは済まぬ事をした。して貴方は何故ここに?』


ヒメキは今までに起きたことを全て話した。

話を聞いた男らは所々何かに気づいては何か言いたげにしていた。が、それは踏み込むべき領域ではないと思った。

結局のところ2人はヒメキに賛同し共に戦ってくれる事になった。物分りが良く助かった。

だが名は2人ともないと言う。ヒメキのように神隠しにあったわけではないがそれ以上は教えてくれなかった。

2人には剣と弓のバッチを与えた。当然それについても説明した。ヒメキは男に剣、女に弓のつもりで男に2つ渡したのだが何故だか男が弓、女が剣を取り入れてしまった。これがヴァルが弓、サヤが剣になってしまった原因である。その後男らも色々と力が使えないかと試すものの失敗に終わる。


『まぁある程度は終了だな。後は力の使い方と人を待つだけだ』


ヒメキは説明を全て済ました。これをあと3セットほどするとなると気がひける。だがケミスが耐えた年よりは遥かに楽だ。そう自分自身に言いかけ、また待つ事にする。


『すまないがヒメキ。私たちは行きたい場所があるのだが行ってもいいか?』


突然男がヒメキに聞く。せっかく仲間が加わり一緒にこれからについて話し合いたいところだったのだが…


『仕方ないな。また必ずここに戻ってこいよ』


そう言葉をかけると男と女は歩いて何処かに行ってしまった。


『これからどうしたものか…』



1年後。誰も来ない。ただ不思議なことに疲れもしないし腹も空かない。どうやらこの世界にはそういった現象は無いのだろう。そろそろどこかへ行った男と女の様子が気になるところだ。だが耐えよう。


5年後。まだ来ない。人と会わなくなってから随分と立った。今頃ケミスはどこにいるのだろうか。現実世界で私の存在はどんな影響を及ぼしているのだろうか。親は心配しているだろうな。そう思うたび心が苦しくなる。まだ耐える時だ。


10年後。1日1日がとても早い。同じ景色を見ているからだろうか。だが少しは変化があった。周りの建物が新しくなっていっている。これは向こうの世界とこちらの世界が繋がっているためか、時代に合わせこの世界も変わっていく。そして変わらないのはただじっと待っているヒメキだけなのか。

そんな変わっていく街を眺めていたある日。突然光り輝いた。


『なんだここは、逃げれたと思ったんだけどなぁ』


そこにいたのは大柄な男。後のサグだ。その大柄な男が光から出てきた直後、またモニュメントが光り輝く。


『うぅ。。はっ!…こ、ここは?!』


フリフリの真っ赤なドレスを着た女が現れた。立て続けに2人も出てくるなんて奇跡を見ているかのようだった。人に会うのは何日ぶりだろうか。思わず嬉しく。涙が出た。全てが報われたような気がして。


戸惑う2人に早速声をかけようとしたが、なにせ10年ぶりに開く口だ。言葉がはっきり出なかった。


『あ、どうも。俺はサグだ。よろしく』


ヒメキが何か伝えようとした事に気付いたサグが自己紹介をする。


『サグ?!なんでここに?!…ってあ、私ははツォト・カカと申しますわ。失礼しましたわ。』


このお嬢様。後のルルである。

ヒメキの声は徐々に戻り2人から事情を聞いた。サグは元々記憶喪失で失われた記憶らしい。ヒメキのように神隠しによってこの世界に来たものをイリィガルというようにサグのように記憶喪失によってこの世界に彷徨う者をビーデットというらしい。本名はスラパ・サグ。リーベの領域でのうのうと暮らしていたそうだ。対するツォト・カカはヒメキと同じく神隠しにあったが途中でワイレのような案内人とはぐれてしまいサグの家へと辿り着いたようだ。2人は初対面にして早々に仲が悪くなり、ツォト・カカがサグを追っていたところ2人とも噴水に落ちたらしい。どうやら2人は外国の人だが言葉は通じるようだ。これもこの世界が故。なのだろうか。

しかし残念ながら2人とも同じ志を持った者ではなかった。1人は完全にリーベの領域で暮らすものだ。

だが、ヒメキはそんな自分の事をペラペラと人も疑いもせずに話してくれた純粋な2人にヒメキが何故ここにいるのか。全てを打ち明けた。


『お前、そんなに苦労していたのか…』


『何も知らなかった私が愚かですわ。ぜひ力になって差し上げますわ!』


『俺もだ!』


こうして2人はヒメキとケミスの野望に加担することになった。

サグには槌のバッチ。ツォト・カカには星のバッチを渡した。そして2人は胸の中にそれをしまう。しかしまたしても3人で試行錯誤したが、このバッチの効果を見つけることが出来なかった。

そして、3人で最後の1人を待つ事になった。そしてどこかへ行って帰ってこない2人も。あれからずっと帰ってこないのは流石に心配になったが何処にいるか分からない以上動くこともできない。

それからというものは1日1日の流れがゆっくりと感じた。3人で話し合い、日々バッチの力を引き出す実験をしながら待つ日は楽しかった。


何年経っただろうか。周りの姿ははすっかりと変わりヒメキ達がいる公園だけはただ朽ちていくだけで何も変わりはしない。そしていつものように待っていた時だった。


『人が増えてるな』


『…』


頭の奥底に眠っていた人の声の記憶がじわじわと蘇る。ヴァルとサヤとなる2人が帰ってきたのだ。気づけば20年近く経っていた。相変わらず女の声は聞けない。


『やっと帰って来たか。これが新しい同志だ。』


『俺はサグだ。よろしくなっ!』


『私はツォト・カカですわ』


サグとカカは久し振りの人に嬉しくなり軽快に挨拶する。


『よろしく頼む。名前こそ無いがお前達と同じ志だ』


こうして最後の1人を5人で待つこととなった。待っている間、どこかに行ってしまった2人に何をしていたのかと問うのだがはっきりとは答えてくれなかった。どうやら生きた場所を巡っていたらしい。そして帰る途中周りの景色が変わっているものだから迷っていたらしい。しかしながら依然として2人の謎が多すぎる。


そして異変は突然起きた。

読んでくださりありがとうございます!

え?丁で終わってない?……



はい。次回は「甲乙丙丁の次は戊って知ってた?の時間(戊)」をお送りします(╹◡╹)




P.S.

気温変化のせいで風邪になってます。五月が一番嫌な時期かも…

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