コードネームは普通次の日忘れるの時間
ついにこの章も終盤に差し掛かってまいりましたー。
ここまで来れたのも読んでくださった方々のお陰です(╹◡╹)
ではごゆっくり…
『ポイントゲットー♪』
今の時刻は試験終了10分前。こちらの時間で約40分前。
このゲームで上々なスタートを切ったキルトのペア。お気楽モードでキルトも武器化を解除していた。
「やったー!!…でも待つ時間長すぎるよー」
ここに来てから戦闘のための準備は主に窓の近くにしゃがんで待機していただけだった。もちろんキルトの指示だ。
今からちょうど35分ほど前。
プレイヤーたちがこの世界に強制的に転移されて間もない頃、キルトペアは職員室に転移されていた。もちろん、このペアも作戦会議。。。とはいかなかった。
『わぁ、ここ教頭の椅子?!』
まるで小学生のように目を丸くし滅多に座る事が出来ない、というより一生、教頭にならない限り座れない教頭の椅子に深く座りぐるぐる回る。
「ちょっとキルトー?遊んでないで…」
『あははっ!それっ!』
まるで親のようにキルトに声をかけるが聞こえてないようだ。今は教頭の椅子で職員室中を駆け巡って遊ぶ事に夢中だ。
そんなキルトに半ば諦めかけていた。
ーこんなんじゃ勝てないよー…
女はまともに戦闘も参加していない事とキルトの面倒を見ないといけないと言った不安要素を抱え悩む。
『勝てるよー?』
「え?」
『だから、心配せずとも勝てるって言ってるの!』
さっきまでクルクルと回していた教頭の椅子をピタリと女に背もたれを向け、キルトの態度もけろりと変わる。
やはりキルトも子供では無い。いつも事あるたびに頼りないと思っていたが、いざ何かあると見た目以上の落ち着きと謎の説得力を見せる。
「ほんとに勝てるの?」
『当たり前っ!』
信用しきれない女が念を押すとキルトは怒った口調で頬を膨らまし教頭の椅子の上に立ち上がって女に指をさしながら言う。
『なら僕が1番初めにポイントを取ることを約束しよう!』
「本当にできるの?んなら一番じゃなかったどーすんの?」
『そんな事はあ、り、え、な、い!!そこまで馬鹿にされたらやるしかないな。よーし久しぶりに本気出すぞー!!』
そう言って乗り気になったキルトが椅子の上でぐるぐると腕を回す。案の定キルトはバランスを崩し勢いよく地面に叩きつけられる。
そんなキルトを見るとなおさら不安が高まるり女は深くため息をつく。
『そーとなればまずは作戦会議だー。』
キルトはすぐさま立ち上がり職員室にあるホワイトボードの前に立つ。
『はーい。今から職員会議を始めまーす。司会は私。キルトが務めさせていただきます。』
「はい、質問です!」
いきなり始まる職員会議と言う名の作戦会議。大きな教室で2人で会議という異例な空気で満たされる。
『はい。そこの名前、なんだったっけ?』
「なんでいつも名前忘れるんだよ!」
この女はキルトになかなか名前を覚えてもらえないが、キルトにも言い分があった。
『だってここで僕が覚えてたら、君が誰なのかバレるでしょ?』
その通りなのだ。読者に参加者が誰なのかを推測させる為、名前をバラしてしまうということはかなり重要なのだ。と言うことなので来る時まで名前は伏せようと思う。それまでは、女、男っていう抽象的な表現になるのは勘弁してくだせぇ。
「んー、作者が言うなら仕方ないのかな…」
しかし、この女のセリフを書いた時、作者が何かいい事を思いついた。おそらくその内容はキルトが言ってくれるのだろう。
『じゃあ、コードネームを作ろうよ!』
なんと素晴らしい思いつきだろうか。確かにコードネムでは名前は隠されている。かつコードネームからも誰なのかを推測する楽しみも増える。いいことずくめである。
作者及び女はキルトを見直した。
「いい考えじゃん!!何がいいかなぁー、かわいいのがいいなー」
女は息を弾ませ作戦会議をしようとしていたことなど忘れるほどに。
『少しは君をもじった名前の方が良さそう。』
名前をもじる事を提案し、女と《んー》と悩みこむ。約1分ほど。
ようやくいい案を思いつきパチンとキルトが指を鳴らす。
『[グロゼ]なんてどうかな?かっこよくない!?』
「んーカッコイイ、のか?ま、まぁ他に私思いつかないしそれでイイと思うけど…どうもじったの?」
そう名前の響きの次に大事な要素、どこをもじっているかだ。
『んー結構そのまんまなんだけど…』
キルトは読者に聞こえないようグロゼに気になる名前の由来を詳しく教える。
「なるほど〜キルトって意外と頭いいんだねw」
あまりにも知的なもじり方をすることにグロゼは少し驚く。
そんなグロゼをみてキルトは頬をまた大きく膨らませ
『僕だってグロゼよりはかなり大人なの!勉強だってできるんだ!』
「え?年上?!」
グロゼにとって衝撃の事実である。
確かに低い背丈。弱々しい見た目。これらは初めに紹介し忘れていたことなのである。今になって気づいた。
つまりは驚くのは驚くことが出来たのはグロゼ。と、キルトの特徴を説明し忘れていた作者である。
ぶっちゃけ言ってしまうと『ぷよ○よ!!』のシグと言うキャラを想像してもらうと分かりやすいかもしれない。
「じゃ、じゃあキルトは何歳なの?!」
グロゼの素直な質問にキルトは頭を悩ませ目の色が変わる。
『んー実は昔の記憶を忘れててー、、、正確にじゃないけど40年くらい?』
「40年??40歳じゃなくて?」
『うん、ここでは年って言うらしいんだ。』
「そ、そーなんだ。。。」
この世界では歳とは言わず年と数えるようだ。言語も同じこの世界でなぜ表現が違うのだろうか。
グロゼはそんなことを思ったがいつものキルトの表情と違い寂しそうな目を見るやいなや話題を変える。
「それよりもキルト?ポイント一番乗りでしょ?!」
『はっ、そーだった!実力見せてやるもんね!!』
そー言ってキルトは淡く光り武器化する。
キルトの機嫌をとるのは楽でいい。
「ねぇ?この武器はなんなの?」
そう、キルトが変幻した武器は前のスナイパーライフルとは違っていた。
『この銃はねぇ《P90》って言うサブマシンガンなんだよー』
「《P90》?」
《P90》とは、通常の拳銃弾よりも高い威力の弾を、50発もフルオートで撃てるというサブマシンガンの名称だ。(なんたらペディア引用)
『これはねー前の武器と違って近くでも戦いやすいんだよ。』
「な、なるほど…つまりは近くでやり合うの?」
『違うよ。あくまで護身用。今から策を立てにいくからね』
あくまでこの武器は護身用だと今の日本の自衛隊みたいな事を言っている。そしてキルトはすでに策を考えていた。
「策って、何か作戦あるの?」
『まぁ、行ってみよう!おー!』
「お、おー!…」
キルトの高いテンションに引っ張られグロゼは職員室を後にし目的地へ向かうのだった。
いつも誰かの声が聞こえてくる大きな施設に聞こえてくるのは自分の足音だけ。何かいつもと違う雰囲気に胸を掻きむしりたいほどだ。
そして到着したは東校舎の4階だ。
「結局ここなの?」
グロゼはキルトの指示で構内を巡り歩かされていた。そして最終地点がここなのだ。そのキルトの指示に首を傾げた。
『なんのために変な道通ったんだって思ったでしょ!』
「ま、まぁ思ったけど…逆になんのためなの?」
『相手の場所を把握するためだよ。おかげでポイントは僕たちのものになりそうだ』
「場所が分かったの?!」
グロゼが先ほどのルートを通ってここにたどり着くまで敵の気配は一切感じなかった。そしてサブマシンガンも使わずじまいで、いつのまにかキルトはスナイパーライフルへと再び変幻していた。
『敵感知と妄想力感知はサグに劣らないくらい敏感なんだよ?』
つまりはグロゼをある程度いろんな場所へ歩かせそこで感じた妄想力などから敵の位置を把握したと言う。
そして敵に襲われる心配もなく、相手を仕留めることが出来る場所へとたどり着いたのだ。
『ほらあそこ、、、』
同じ階の西校舎の教室で激しく争う2人の姿が見える。
「ホントだ、、、でも、向こうの窓閉まってるよ?」
誰にも悟られないようこちらの窓を開け相手の場所をスナイパーライフルのスコープから見た。
この世界では元々現実に存在する物体は破壊が不可能なのである。つまりは向こうの人が窓を開けない限り相手に弾は、当たらない。
『その心配はないよー。向こうが開けてくれるだろうしね。』
「またまたー、そんな都合のいい話はないでしょw」
このやり取りをした後、相手に気づかれないよう相手の動きを監視していたが、かれこれ30分くらいたっただろうか。
「ねー。いつ開くの?」
『ねー。なんの虫が好きなの?』
なかなか窓が開かれずグロゼは少しイライラしていたがキルトは無神経かつ人の話を聞く耳を持たない。
「ねー。無視しないでくれる?」
『うわーっ!虫だけに無視って寒いっw』
その上キルトに恥をかかされた。
「キルトっ!いつ開くか聞いてんの!あとさっきのは故意的にダジャレを言ったんじゃないから!」
『静かに…気づかれるよ。』
こう注意されては怒るに怒れない。そしてグロゼは怒りを鎮める。声を抑える。
「で、どーすんの?窓開かないよ?」
『そろそろだよ。』
と言ったその途端、向こう側の窓が勢いよく開いた。そして驚く事に男は窓から飛び出して翼を大きく広げ飛んでいたのだ。
「なにあれ?!人間なの?」
『なかなか面白いことしてるなー僕も早くやり合いたいよ!』
キルトがワクワクしながら言うのにグロゼは、正気ではない思った。
窓から男が飛び出したのに続いてもう1人が飛び出したその瞬間、先に飛び出した男が待ち構えていたかのように槍を後に出てきた男を突き刺し地面に叩きつけた。
『今だよグロゼ!よーく構えて。。。』
キルトの声に合わせて倒れている男に照準を合わせる。そしてグロゼは荒げる呼吸を整えレンズを覗き込み準備が整う。後はキルトの合図を待つのみだ。
『まだ、まだ、まだ、、、』
キルトは最高のタイミングを計る。
レンズの中の男が鋭く光る槍を振り降ろそうとしたその時。
『今だ!!』
グロゼはキルトの声と同時に弾を発射した。
その弾は素早く空を切り裂き、男が槍を突き刺すとほぼ同時に命中した。どちらがとどめをさしたのか分からないほどに。
「やれた、の?」
『ね、もう一発撃って。』
男は確かに消えたはずだ。誰がとどめをさしたかは別として。
しかも槍を持った男は弱った様子はない。つまり撃った所で場所がバレるだけだ。
「え、でも、、、」
『いいからっ!』
キルトに急かされグロゼはライフルのリロードし直ぐさま構えて狙い撃つ。
しかし、弾は男が槍で弾き防がれてしまった。
『ちっ、一旦引こう。』
男に場所が知られた。故にいきなりきた弾を弾くほどの腕前だ。正面からは到底撃ち抜けると思えない。
グロゼは窓から見えないようしゃがみながら階段へと移動する。
『職員室に一回戻ろうか。』
そして今に至る。
「それにしてもなんで弱ってもない人を撃てって言ったの?場所がバレるだけじゃん。」
『いや、あの子は多分…』
と、キルトは少しにこやかな顔でグロゼの耳に誰もいないのにヒソヒソと話す。
キルトの推測を聞いたグロゼは行動を思い返す。
「え、じゃあ2ポイント取れたかもじゃん!」
『先に倒す方を間違えたなー。そしたら2ポイントだったね』
2ポイント先制出来なかった。この世界において1ポイントでもかなり大きいと言うのに、もう1ポイント取れたと言う。
『ま、仕方ないね。次切り替えていこー!』
「お、おー!次はどーするの?」
『あの男を倒す!!』
次なる標的はあの男、神崎マスト、その男だ。
そして、キルトはハンドガンに武器化し職員室を出る。
「ねぇ、なんであの男がそうだと思ったの?」
少し気になっていた事をキルトに聞いてみた。
『んー、勘!』
キルトがそう言う性格だと言うことをグロゼはすっかり忘れていた。
早くも展開が動いたこの戦いはまだ始まったばかりだ。
そして、上々のスタートをきったキルトが気付いたマストの性質とは。。。
読んで下さりありがとうございます!
次回の投稿はゴールデンウィーク中にもう一本あげれればと、、、
ついにアクセス数が1000を超えました(╹◡╹)
いつも読んでくださる方誠に感謝しております。
P.S.
だんだん暑くなってきて一枚服脱いだら裸なの忘れてて公衆の面前で上裸になってしまった。




