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「いつもの」って言える人何出されても怒れない時間

少し長めのが完成してました。

前回でひと戦終えたマスト。今日は緩めのを…


〜キーンコーンカーンコーン〜


「マストお前今日ほんと大丈夫か?」


テストが無事終わりSTも終え真っ先に駆け寄ってきたのは金髪の男。ゼンだ。


「いやいや、大丈夫大丈夫wちょっと気が狂ってただけだから」


「気が狂ってただけって全然大丈夫じゃねぇーか!」


ゼンが必死な顔になってマストの顔を覗き込む。


「あーアレだ。寝不足寝不足」


マストは心配させまいととっさに逃げ道を作る。だが、寝不足程度で嗚咽をもよおすものではない。


「ま、まぁそれならいいんだけど…」


だが、そんな事も気づけないほどの鈍感さを持つゼンだ。そんなゼンが「あ、そうだ」と、何か思いつく。


「お前部活入ってないよな??なら今日俺部活休みだから昼食べに行かないか?」


マストは部活には入っていない。いや、実際のところ1年生の時はサッカー部に入っていたのだがなにせ子川家居候している身としてあまり経済面で迷惑をかけるのが申し訳ない気になって辞めることにした。


「いいけどどこに行くんだ??」


「そらゼリゼリヤだろ」


ゼリゼリヤとはイタリアンレストランで何と言っても安いのが特徴だ。その安さが高校生たちの財布に優しくこういった午前中で終わる学校の生徒はよく帰りに寄ることが多い。


「だろうな。直で行くよな?」


「おう、そのつもりだが財布ないのか?」


「いや、連絡入れとこうと思って…」


午前中で学校が終わる時は子川家の母が昼ご飯を作ってくれる。

連絡を入れようと通話アプリで同じく部活に入っていない子川 エイコに《今日昼食べに行くからよろしく言っておいて〜》と送る。


「…よし、んじゃ行きますか。」


そう言って、椅子から尻を上げまだ騒がしい教室を後にする。


[ピコンッ]

マストらと同じく放課されたエイコ。帰る用意をしていた時、授業中落としていた電源を入れるとちょうど通知が2件届く。


《マスト》:今日昼食べに行くからよろしく言っておいて〜


《マスト》:新元号『令和』でしたねw


二件目に関してはエイコは慣れっこだ。マストはこんな感じでいちいち小ネタを挟む。


《エイコ》:おっけー伝えておくよ


《エイコ》:おいおい、これ書いてる日がバレるぞ。


返信を終え教室から出る。


ーって事は今日は一緒に帰れないのか…


少し足取りが重くなる。そしてふっとため息をついた時、


「エイコ帰り〜??」


「あ、スグリじゃん!そうだけどどうかした?」


声をかけたのは中学からの同級生の丑井うしい スグリ。小学の時からテニスを親の影響で始め現在まで至る。今ではすっかり褐色に染められ全国で名を轟かすほどの名プレイヤーだ。


「今から遊びに行こう?今日練習休ませてくれたの」


全国選手とまでなるとほぼ練習に休みなどない。それにこの高校は学力よりも部活に力を入れる学校だ。そんな貴重な休みを私と過ごしてもいいものだろうかと少し後ろめたさがあったが今日は別に帰る人もいない。


「いいよー、お昼どこかで食べる?」


「そら、ラーメン六郎でしょ!」


ラーメン六郎。言わずと知れた有名なラーメン屋だ。


「え、、、」


「え、、、ラーメンいや?」


喫茶店やカフェではなく年頃のjkがラーメン屋。少なからずエイコには抵抗があった。だが相手は数少ない休み。主役は相手だ。


「いやいや、ちょうど行きたかったなぁーってw」


「よかったぁー。あんまりラーメン屋さんに行ってくれる女の子いなくていつも断られるからいつもはカフェとかなんだけどw」


ー嫌って言っておけばよかったかも…


「んなら、行こっか!」


靴箱で靴を履き替え2人で横に並んで歩く。



[ピコン]

ゼリゼリヤに着いたマストらはメニューで悩んでいた。


ーこの《イタリアンチキン》と《バッファローモッツァレラチーズのピザ》どっちにしようか…


「マスト、お前決まったか?」


「んーこれとこれで悩んでるんだよなぁ」


マストはメニューを指差して言った。


「おっ、俺はこれ食うぜ」


そうしてゼンが指差したのはバッファローモッツァレラチーズのピザだった。


「なら、俺はチキン食べるわ」


「よし決まりだな」と言いながらゼンはベルを鳴らす。


ーお、返信来てる。返しとこ…



[ピコン]

一方、エイコとスグリは店に着いた。


「結構人いるんだねー」


空いたカウンター席に腰を下ろしエイコが言った。


「そらーうまいんだから!、、、店長!いつもの2つちょうだい!?」


ーいつもの?!


スグリは店長を見つけるとすぐに「いつもの」と注文する。

スグリは昼が空いている日はこうしてラーメン屋に行くことが多い。なので今では常連さんだ。だから「いつもの」とたのむと店長も笑顔で「はいよ!」と返してくれるほどだ。

だがエイコはあまりラーメンを食べに言ったことがなく、戸惑っている。


「ス、スグリ?ココ何回くらいきてるの?」


「んー数えらんない」


ーそんなに行ってるのか…ん、


「てか、頼んだラーメンどんなのなの?」


「へへ〜、来てからのお楽しみ!」


とても楽しそうな笑みで答えてくれた。だがエイコには気になって仕方がない。そして、まぁいいか、と相手の少ない休みを考え心で呟いた。

ラーメンがくるまで少しの時間会話は途切れお互いにケータイを触る。


《マスト》:ありがとな


《マスト》:大丈夫!この返信を書いてる時には日が変わってるから…


ーあ、通知来てた。えっと、、、返さなきゃ


《エイコ》:♪( ´▽`)


《エイコ》:あいつ、書くペース遅いもんなw


ーてか、何に感謝されてるんだっけか?


大事な用だが、エイコは何かスグリと話すことがないかと少しばかり焦っていて、ま、いいか、と切り上げる。


ーあ、そうだ!テストの話でもしよう。



[ピコン]

ベルで呼んだ3秒程度で若い女性店員さんが来た。


「ご注文はお決まりですか?」


「えっと、バッファロームッチャレラ、、モッツァレラチーズのピザを1つ…」


ーやっぱあいつ噛んだぞ、、、


噛んでしまったゼンはマストの方を見るとクスッと笑われていた。それを見るなり恥ずかしくなり顔を真っ赤にしてうつむく。

ゼンは音読が大の苦手である。国語の授業では本読みの順番が回ってくると3行くらいの文章でも2回は噛む、もしくは詰まるほどだ。

そして、マストも噛まないかゼンは少し期待していた。


「俺はこれで」


「はい。イタリアンチキンですね」


「以上で」


マストは指でメニューを指して《イタリアンチキン》注文した。そして店員はにこやかに「かしこまりました」と、去っていく。


「お前、噛んだなw」


ゼンは激怒した。必ずこの注文のあり方を正そうと。


「うるせぇ!噛んで何が悪い!そもそもお前の注文の仕方はなんだ?!ちゃんと物を言えや!それが礼儀だろうが!」


あたりの視線は立ち上がって説教するゼンに集まる。それを感じ取るなりゼンはまた顔を真っ赤にして即座に座りうつむく。


ーヤバイよ、ゼン何してくれてんだ!俺がヤバイ奴に怒られるヤバイ奴だと思われるよ!


「わ、悪かったよ…」


「俺もつい怒っちまった…」


やがて、店内は元の騒がしさに戻り。マストらに食事が届く。


ー返信返しとこ…



[ピコン]


「へい、お待ちどう!」


ドンっと目の前に出されたのは大きな器に入ったチャーシュー大盛りの醤油ラーメンだった。


「え、これ食べるの?」


「うん!美味しいよ!」


そう言って「いただきまーす!」と元気よく割り箸を割りチュルチュルとラーメンを食べる。


ーすんごい食いつきだなぁ…


「早く食べないと伸びちゃうよ?」


「う、うん。今から食べるよ」


そうして一般女子高生にとっては多い昼ごはんを黙々と食べて休憩がてら携帯を見る。


《マスト》:そうだな、この返信書いてる時もまた日付変わってるもんなw


ーまた日付変わってんのかよ…てか、返事よりもスグリちゃんとテストの話しなきゃだな


エイコはマストよりもスグリを選んだ。そして携帯をしまい箸を進めながら話し始める。


「そうだ、テストどうだった??」


「んー今日はなんだか楽しかったなぁ〜」


ー楽しかったって今日は国語と歴史だろ?もしかして意外と歴史マニアなのかな…


「一応聞いておくけどテスト本当に楽しいの??」


「いや、テスト自体は楽しくないけど、テストの時間が楽しかったの!」


「ん??」


テストは楽しくなくてテストの時間が楽しかった。校則が緩い学校でもさすがにテスト時間は私語厳禁、携帯も電源は切らなければならない。そんな時間が楽しいスグリにエイコは頭を悩ませる。


「ちょっと待って、テストは楽しくなくてテストの時間が楽しいってどういう事?」


「なんかね、私別世界に行けるのw」


ー別世界に行く?夢の中かなぁ…確かに夢見てる時は楽しいのかもだけど、


「そんなに熟睡できないよ〜w」


「え?」


「え?」


別世界を夢だと考えエイコはスグリがテスト中熟睡していたと思った。しかし、スグリの反応は違った。そしてまたエイコは頭を悩ます。


「スグリのことよくわかんないよ〜」


「深く考えなくてもいいんだよ!ゴメンね私が悪い!」


少し泣きそうなエイコを見てスグリが慌てて謝る。


「でも、ちょっと気になるから教えて?」


分からなくても知りたい。いや、分からないから知りたい。中学生からの同級生なのにまだ遊んだ事は今日までなかった。そしていつも部活で頑張っているスグリを少しでも報いたい。そんな渾沌とした思い出があった。


「え、えっと。また悩ませちゃうかもだけど。『妄想の世界』に私行けるの。」


そんなスグリの嘘のような現実にエイコの頭はショートしてしまった。



それから時間は経ちまだ陽も落ちていないが帰宅する2人が家の前で出くわした。


「よぉ、エイコじゃねぇーか」


「マストね、早いじゃないの」


2人はどこか顔をひきづっていた。


マストはあの後ゼンと気まずくなり会計を済ませた後解散した。同じくエイコもショートしたあとラーメンも食べきれずスグリと解散した。


《ただいま〜》


2人並んで玄関に入った。そして目の前には鬼が立っていた。


「お母さん…はっ!」


「おめぇなんかしたのか?」


鬼と化したエイコの母を見てエイコが思い出した。


「お母さんに連絡入れてなかった、、、」


マストにも聞こえるか危うい声で青ざめて呟く。


「連絡入れてなかったってお前家帰ってなかったのか?!」


「だって、スグリと食べる事になったし」


「それでもさすがに連絡はするだろうが!」


「忘れてたんですー!そもそもマストが令和の話なんてし出すから!」


「忘れる方が悪いんだよ!だからお前は…」


鬼の前で罪のなすり付け合いが悪化していくとともに鬼の怒りも悪化する。


「2人とも!今日の夜ご飯は冷めた昼ごはんです!!」


そう言って台所へと戻っていく。


《そんなぁ〜》


鬼の声で2人は足から崩れ落ち嘆く。


そんな2人を先に帰っていたクニヒコが機嫌な顔で近づいて、、、


「お可愛いこと…」


どこかで聞いたことのあるお嬢様言葉をふざけた口調で言い放って自分の部屋へ帰っていった。


「おい、エイコ。俺が悪かった。」


「いいえ、私が悪かったわ。」


互いに反省し、表情が怒りへと変わる。


「マスト?わかってるよね??」


「あぁ、言われなくても分かってるさ。」


ーーアイツヲコロス!!


その夜、子川家ではクニヒコがからしが入ったシュークリームを食らい叫び声が響いた。

読んでくださりありがとうございます!

明後日には私にとっての《小説》を語ろうと思います。是非読みに来てね。


P.S.

だれか積み立てられたジャンプの便利な活用法を教えてくれ(╹◡╹)

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