試験監督よカーテンを閉めてくれの時間
やっとゲーム開始しました!
ここからが本番だわ!
お暇ならどうぞお読みください。
あれは夢なのだろうか。。。
たしかに感じられたあの温度。そして最後に目にした見覚えのある車。しかし何故だろう、思い出せない。よくよく考えると水の中にあるのもそもそもおかしい。なんだか欠けていたものが戻ってきた気さえした。
『なぁ、マスト聞いてるか?そんなぼーっとして』
「お、わり〜、考え事だ」
目の前には真っさらな黒板、そしてかなりボロい机と椅子。
ここは西校舎2階の南寄りに位置する[物化講義室]だ。小難しい名前が付いているが実際のところ普通に科目を問わず授業を受けるところだ。しかし、あまり使用数も少ないため、古くなった机や椅子などが使われている。
『ここが私達の拠点だ。とにもかくにもゲームは始まった。気合い入れていけよ!』
「いやいや、ちょっと待てよ!どーやって戦うんだ?!」
『説明しただろ??私たち守護者が武器になる。』
焦るマストの質問に《なーんだ、そんなことか》と言わんばかりの顔をしてモモキが答える。
そんなこと言われても、という顔をするマストにため息をついて、
『ま、現実味ないからな。これで信じてもらえるか?』
そうモモキが言うと。モモキの体がオレンジ色に輝き始めた。その光は体全体を覆い徐々に形を崩しマストの右腕、右耳にまとわりついた。そしてどちらも白にピンクといったデザインの槍とピアスに形を変えた。
マストはあまりの驚きに言葉が出なかった。
『ど、どうだ?信じてもらえたか??』
「かっけぇー!!モモキお前スゲェーな!このピンクと白のデザインも悪くねぇ!」
ピアスがキラリと輝いた。
『ま、まぁ気に入ってもらえて何よりだ…』
モモキが照れて言った。
しかし、ホッとしていられない。今からは戦。まだマストに知ってもらいたいことがある。
『次に習得してもらいたいことがある。それが妄想による創造、《クリエイト》だ。』
「それが言ってた《妄想力》ってやつだな。強く念じるかなんかでできるんだったっけ?」
『これは最初は難しいんだ。大量の体力と集中力が必要となる。出したいものをより具体的に想像しないと脆くて使い物にならないし、ただ単に体力を使うだけになるからな。』
妄想の中でも妄想をしてものを作り出す。そう聞くだけで大量のエネルギーを消費しそうだ。
陽は高く登り2階に位置する物化講義室は薄暗い。そして丁度雲に陽が隠れ、より暗くなる。
『試しに花でも作ってみろよ』
「いきなりアバウトなものなのな、種類とかはなんでもいいのか?」
具体的に妄想しないと創造できないと言うのにモモキは簡単なもで種類が多々ある花を選んだ。
『あぁ、好きな花でいい。作るときはこの世界に入るときみたいに強く念じろ。』
➖これはこの世界での妄想力を測るテスト。これでほとんど人の強さが分かると言っていい。まぁ、普通の人は一輪のボヤけた花が出来るのだが…
そうモモキがマストに聴こえないよう心の中で語っていたとき、、
「できた!」
『えっ!?』
マストの手には月のように眩しく輝く黄色を中心とし周りを彩る空色の花びらや同じくピンク色の花びら、白、紫と数本の花が束になっていた。その花は茎が細くとも力強い。
陽が雲から顔を出し教室が淡く光る。
「思ったより疲れるなぁー、、、どうした?モモキ」
あまりにもリアル、いやそれ以上に見える花を見て思わず武器化を解除してマストの手から奪い寄せた。
「何すんだよモモキ…そ、そんなに欲しかったのか??」
モモキはそれを静かに光にかざしたり、いろんな角度、匂い、手触りを確かめた。
➖光を透き通す薄い花びら、完璧な花の作り、そして甘い香り…
『…この花は?』
「た、多分勿忘草じゃないのかな…」
『どうしてこの花を??』
「俺の母ちゃんが花好きでよく車によく飾ってんの見てたんだ。、、、あ、」
➖これだけの再現度、しかもマストの体力もあまり減っていないように見える。これは、、、強い。
あまりの花の再現度に確信を持ったモモキ。
一方で少し浮かない顔をするマスト。
「なぁモモキ」
『なに??』
「俺がこの教室に飛ばされたとき、夢を見てたんだけれど、それはお前が覗くことはできるのか?」
『見れるよ。』
マストが欲しかった答えが帰ってきた。少し浮かれ質問をしようとした。
「じゃあ、、、」
『残念だけど、覗けなかった。』
そう言われると上がっていた肩が降りた。
『覗けなかったより、夢じゃなかったって言うのがベストなのかな』
「と言うと?」
『マストの事は基本的に覗くことはできるんだけど今回はできなかった。こんなの初めてだ。だから、夢でも妄想でもない、何かなんだ。』
妄想でも夢でもない、となると何なのか。
再び陽は雲に隠れる。
『それがどーかしたのか?』
「いや、大丈夫!」
これもまたいつしかわかる日が来る。そんな気がしたマストは少し重くなった空気を換気しようと明るく振る舞う。
『それよりもだマスト、お前凄い妄想力だぞ!』
そう顔色をパッと変えたモモキがマストの肩を持ち叫ぶ。その勢いに押され引き気味なマスト。
「お、おうそーか…」
『おうおう!だらしないただのゴミクズだとしか思っていなかったけど流石に見直したぞ!』
「あ、死にたい…」
時計の針は試験終了10分前を指していた。
読んでくださりありがとうございました。
今日は3本連続投稿で一気に読めて得した気分になったのでは??
次の投稿は3月の末かな…もしくは四月の頭だな
P.S.
結果思いつかなかった。




