こういうことはいつも突然に
落書きですが、ノウハウも含めて記載したいと思ってます。
「ちょっと、藤井さん、こっち来てもらえる?」
「え? はい・・・」
係長から、事務局長の前のソファに呼ばれる。
うちの議会事務局は細長い一つの部屋に、事務局長、ソファ、庶務会計課、議事調査課の順に入っている。
私は、議事課の調査係。
なんなんだろう。
何かやらかしたかな。
ソファに局長と、庶務会計課長、それにうちの課長が先に座っている。
「あ、えっと、来ました」
係長に促されて、係長がソファに腰掛けるので、隣に座る。
「うーんと、藤井さん、確かパソコン詳しいよね?」
「え、まぁ、エクセルとかワードなら・・・」
うちの課長が聞いてくるので、なるべく差し障りないように答える。
それを聞いた庶務課長が話を引き継ぐ。
「実は、うちの市もインターネット中継をやってるんだけどね、やり方が古いっていわれてね。パソコンだけでしか見れないんだ。議員さん方から、スマホとかタブレットで見れるようにしてくれって言われたんだ。で、一応、見積書をとったんだけど・・・」
庶務課長が見積書を見せる。
うわ、桁数が半端ない。
「一千万円超えちゃってね」
いやな予感。
「さすがに、この御時世、聖域といわれながらも、一千万円くれと、市長側にも言いにくくてね」
あ、これ、だめなパターンだ。
「どうせ、新しくなるなら、放映関係は藤井さんの担当だから、しっかり話もしたほうがいいだろ?」
そういうのは、見積もり出す前に言ってほしい。
「とりあえず、中身を精査して、できればもっと安上がりにしてほしいんだけど・・・」
保険をかけておかねば。
「あの、わたし、動画配信とかやったことなんですけど」
抵抗を試みる。
「え、今、動画配信やってるでしょ?」
あ、ダメだ、説明に時間がかかる。
「今のやつって、情報担当課がやってるのを、そのままやってるだけでして」
言いながら、説明することが面倒くさくなる。
このメンバーに分かりやすく説明できるビジョンが思い浮かばない。
妥協しようか・・・。
「ま、その辺の含めて、ちょっと問い合わせをしてみます」
「そ、そうかね、じゃ、ちょっと聞いてみてくれるかね」
「はい」
局長がポケットから携帯電話を出す。
ガラケーだ。
「スマホで見たいって言われたけど、持ってないからね・・・誰も」
みんながポケットから携帯を出す。
全員、ガラケーだった。
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