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詩。  作者: ソウ
4/7

廻りゆく不変 / 慈しむもの

【廻りゆく不変】



「生まれ変わったら何になりたい?」

 と訊かれると、私は「雨になりたい」と言う。

 いつ時代にも訪れる。天空の気まぐれで現世に落ちた。

 美しい世をときどき愛でる、地上を穿つ天泣てんきゅうになろう。



「生まれ変わったら何になりたい?」

 と訊かれたら、私は「風になる」だろう。

 木の葉を揺らし、人と戯れ。

 地球を駆ける、疾風に。



「生まれ変わったら何になりたい?」

 と訊かれれば、私は「虫に」なってみたい。

 春はチョウになり、夏はセミになり、秋はコオロギ。冬には……そうだ。

 テントウムシになる。……いや、まてよ。やはりオオミノガ幼虫になろう。

 小さな器に大きな魂を輝かせた、自然を生き抜く虫がいい。



「生まれ変わったら何になりたい?」

 と訊かれたならば、私は「ヒトとして誕生したい」のだ。

 二本の脚で野花を蹴散らし、二本の腕で命を抱き込む。

 罵り、愛し、奪い、与える。崇高にして醜悪。

 けれどもいちばん神に近しい。

 愛しい者たちを癒し導く、十字架を祈る牧師になりたい。




      私は祈る。

 いま在る時代、この姿。この存在を、私は尊ぶ。

 やがて千年万年もの輪廻を辿り、想いをつのらせ。

    私の願いは届くだろう。

    自然、昆虫、人間へと。

   あるいはもっと――別の何かか。


 私は移りゆく時空を彷徨い、姿形を変えていく。

    そうして、ここに、

      存在す。








―――――――





【慈しむもの】




               光あれ  

       闇あれ

           輝きあれ

 


         コロナを放つ太陽よ

         銀河を流離う星月よ

         生まれ没する生命よ





       慶びあれ 

               哀しみあれ

           涙あれ

 


         咲き乱れる躍動よ

         悼みもだえる哀惜よ  

         乱れ狂う激情よ




               希望あれ 

       絶望あれ

           祈りあれ



         大志を抱く雄心よ

         堕落した傷心よ

         拓ける未来をゆく者よ




 


        至福あれ 

 

               至福あれ

 


           恩寵あれ




         

         翼を広げる鳥たちよ

         大地を駆ける人間よ

         まだ見ぬすべての生けるものよ







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