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詩。  作者: ソウ
3/7

麗しき華

  君はとても美しい。

  清らかで、

  潔癖で、

  わたしが知りえる誰よりも高潔である。



  穢れを知らぬかのような君は、

  きれいなものを好み、

  きたないものを嫌い、

  醜いものを遠ざける。



  美しい君には

  可憐で力強い、艶やかな華が良く似合う。

  花弁をせいいっぱいに広げ伸ばした、それは美しい大輪が。

  そしてやはり君は、

  快適な温室で大切に手入れされている、

  珍しい品種の花々を愛でたがるのだ。


  そうして、しばらくすると飽いては捨て、

  風変りな華を探しにまわる。

  そのときふっと、君の歩みは止まるのだ。

  厳選され養われたそれは、ひときわ存在感が強く君を圧倒するのだろう。

  ほのかに香る自然の匂いが君を誘う。

  優雅で大きな真紅の花びら一つ一つは、

  魅力にあふれ、みずみずしい。



  君はたいそう気に入ったようであった。

  その中でもいちばん凛々しく背を伸ばす、

  一本の真紅の華に手を添える。

  根っこから茎を切り離し、

  茎についた葉をもいで、

  それはみごとな一輪挿しの姿となった。 



  満足した君は、華やかに変貌させた真紅の生花を髪に結わえ、胸元に挿し、

  グラスに入れ、飽きるまで鑑賞する。

  真紅の花びらを愛でる君の微笑みは、

  見目麗しく、

  あるいは神秘的であった。



  わたしには、美しい姿を遠くから、愛でることしかできぬのだが、

  その神々しさが――煌びやかな高慢さが愛おしい。 



  それは自然と一体化したように在り、

  真紅の華を愛おしげに撫でる君が

  とても貴く愛おしいのだ。

  許されるならば、

  君には美しいままでいて欲しいと望むだろう。





  けれども、なぜだろうか。

  時折わたしは、

  無性にきみを……。





  君の、愛でる真紅の花弁を、

  引き裂き千切り散らしたいと、

  飢渇する。







  純白で、

  斬新で、

  一点の穢れさえも許さぬきみが、











  おそらく

  わたしは、














  憎々しい。











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