表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/15

第9話 効率的な情報戦と短剣の担保

コウとサラは、看護師の請求書を前に、頭を抱えた。金貨三百枚という法外な金額は、彼らが持てる全財産を遥かに超えていた。


「どうするんですか、コウさん…」サラは青ざめた顔でコウを見つめる。


コウは冷徹なダウナー顔に戻り、手元に残った**『能力奪取の短剣』**を手に取った。


「方法は一つ。この短剣を、担保として最大限に利用する」


「担保に…ですか? でも、あの短剣はRブレッドクランのものです」サラは怯える。


「だからこそ、だ」コウの目に、冷たい策略の光が宿る。


「Rブレッドクランは王都に暗い根を張っている。そして、俺たちは王族に追放された身だ。この辺境で金を稼ぐのは非効率的すぎる。最も効率の良い方法は、王都へ戻り、彼らの情報と資金を奪うこと。そして、Rブレッドクランの存在を利用して、追放した王族を牽制することだ」


サラは、その大胆すぎる計画に震えるが、コウの論理的な言葉に反論できなかった。


辺境の情報屋

コウは、辺境のギルドで活動していた経験から、この町にも必ず裏の情報屋がいることを知っていた。彼は、看護師にギルドの場所を聞き出し、サラと共に、まだ万全ではない体に鞭打って向かった。


情報屋は、ギルドの裏手にひっそりと店を構える、目つきの鋭い老婆だった。


「よう、坊や。三百枚の借金で顔が青いね。私に何か用かい?」


コウは老婆に、短剣をカウンターに置いた。


「これを担保に、金貨三百枚を借りる。そして、この短剣の出所、Rブレッドクランの末端の情報、及び、王都の第二王子ヴィンセントと、俺たちを追放した勇者ガゼルの最近の動向を知りたい」


老婆は短剣を見て、目を丸くした。


「**『能力奪取の短剣』**かい! こんなもの、どこで手に入れたんだい? クランの幹部クラスのものだぞ!」


「君の仕事は聞くことではなく、答えることだろう」コウは冷ややかに言う。


老婆は、コウの冷徹な眼差しに気圧され、思案する。


「金貨三百枚の担保なら、この短剣一つで十分すぎる。ただし、俺からの情報には、**王都での『仕事』**を一つ請け負ってもらう。断れば、借金は一括返済、この短剣は担保として没収だ。どうする?」


コウは即決した。


「受ける。どうせ俺たちは、王都へ戻る必要がある。それが、最も効率的な選択だ」


効率的な『交換』

コウは、情報屋との取引で、以下の情報を引き出した。


Rブレッドクランは、王都の魔術師ギルドの幹部と裏で繋がっており、優秀な能力者を**「地味で能力なし」**と判定させ、追放や隔離を行うことで、手に入れやすくしている。


第二王子ヴィンセントは、サラとの婚約破棄後、令嬢リリアーナを隣に置き、**「地味な治癒師の価値を理解しない愚か者」**として王国内で評判を落とし始めている。


勇者ガゼルは、コウを追放した後、後釜に「都合のいい治癒師」を迎え入れたが、彼の魔術が**「効率が悪かった」**原因がコウの魔力回路にあったことを知らず、パーティの戦績が著しく悪化している。


コウは、情報と金貨三百枚を手に、冷徹な笑みを浮かべた。


「サラ。君の治癒魔術を**『地味』と評し、我々を追放した者たちは、今、『非効率』**という対価を支払わされている。これが、真の効率だ」


「は、はい…コウさん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ