第5話 最高効率の証明と裏切りの牙
コウ、サラ、アフの3人は、連携が確立されたことで、遺跡の奥へと順調に進んでいた。
サラの**《至高の調律》**は、コウの燃費の悪さを完全に解消し、詠唱速度も格段に向上させた。コウは冷静に魔術を連発し、アフは持ち前のシーフの技術で罠を解除し、死角からの魔獣を始末する。
「まさか、こんな地味な治癒師が、俺の魔術をここまで引き上げるとはな」コウは冷静にサラの能力を評価する。
「ありがとうございます…コウさんが…効率的だと…言ってくださるなら…」サラはまだ怯えながらも、初めて誰かの役に立っている実感に、少しだけ自信をのぞかせた。
「報酬の山分けだ。効率的だろう?」アフは、二人の連携を見て、目の色を変えていた。彼の目的は友人探しだけではない、という警戒心がコウの中に強まる。
遺跡最深部:ボス戦
遺跡最深部。彼らは、巨大な石造りのゴーレム型のボス、**『古代の番人』**に遭遇した。
「デカすぎだろ! いくらなんでもBランクの域を超えてるぜ!」アフが焦る。
「関係ない。サラ、全魔力を俺に。最大効率を維持する」コウは冷静に指示を出す。
「はい!」
サラは震えをこらえ、全身の魔力をコウへと注ぎ込む。彼女の《至高の調律》は、コウの魔力回路を極限まで押し上げた。
コウは、詠唱を始める。かつて勇者パーティーで使えば、仲間から「燃費の悪い無駄遣い」と罵倒された、最強の雷撃魔術。
「《殲滅の雷光インフェルノ・ライトニング》!」
圧倒的な速度と、消費魔力を抑えた状態で放たれた雷光は、ゴーレムの急所を的確に穿った。ゴーレムは動きを止め、亀裂が全身に入り始める。
「今だ、アフ!」
コウはアフに最後の止めを指示する。アフは俊敏に駆け上がり、ゴーレムの核を破壊した。ゴーレムはガラガラと音を立てて崩壊し、辺りに静寂が戻った。
コウは肩で息をする。サラも魔力枯渇で座り込んだ。
*(今の力……間違いなく、Aランク上位の強さだ。派手さでいえばSランクにも匹敵する。しかし、これはサラの魔力と俺の刻印がもたらした**最高の『効率』*によるものだ)




