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婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生


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第46話:黎明の潜入者

真打ちの蹂躙

コウが仕掛けた「論理爆弾ロジック・ボム」により、ヴィンセントとガゼルが悶絶する中、図書館の空気が一変した。 先ほどまでのナンバー1.5のプレッシャーを遥かに凌駕する、絶対的な「無」の圧力が場を支配する。


「……何だ、この魔力は。計算の限界を超えている」


コウが凍りついた視線を入り口へ向けると、そこには、仮面をつけた男――Rブレッドクランのボス(ナンバー1)が静かに立っていた。


「が……はっ……! ボ、ボス……なぜここに……」


瀕死のナンバー1.5が縋るように声を上げるが、ボスは無言のまま、指先をわずかに動かした。 その瞬間、漆黒の閃光がナンバー1.5の胸を貫き、その身体を地面に叩き伏せた。


「……ボス、何、を……」


「黙れ、名もなき不純物よ」


ボスの声は、氷のように冷たかった。彼は倒れ伏すナンバー1.5を見下ろし、仮面の奥の瞳で射抜くように問うた。


「貴様は、誰だ。我がクランに、1.5などという端数は存在しない」


暴かれる「嘘」と洗脳

その言葉に、コウとシエルは息を呑んだ。 ナンバー1.5はボスの分身でも半身でもなく、クランの構成員ですらなかったのだ。


「……ハ、ハハハ……。流石だな、ナンバー1。もう少し『なじんで』いられると思ったのだがな」


やられたはずのナンバー1.5が、口からどす黒い血を流しながら、不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。その姿が陽炎のように揺れ、ボスの姿を模した外見が剥がれ落ちていく。


「なぜ……バレた? 完璧だったはずだ。お前の脳に直接『自分には半身がいる』と刻み込み、クランの連中の記憶もすべて書き換えてやったというのに」


「……貴様の術式は精緻だった。だが、コウが私の『理』を凍結させた際、私にかけられていた薄汚い暗示にヒビが入ったのだ。感謝するよ、コウ君。おかげでこの『寄生虫』に気づくことができた」


ボスが不快そうに吐き捨てる。 ナンバー1.5――偽りの幹部は、クランのトップであるボスを洗脳し、組織全体を欺いて潜伏していた「第三勢力」の工作員だったのだ。


黎明への帰還

「……なるほど、計算外の変数が介入していたわけか」 コウが魔力を練り直し、正体不明の男を警戒する。


「ふふ、まあいい。マギアの真実に触れ、コウが『完成』した。我々の目的は概ね達成された」


男は胸の傷を気にする様子もなく、空中に不気味な暁色の紋章を描き出した。


「お前たちRブレッドクランも、そして追放された『英雄』たちも、舞台の上の役者に過ぎない」


男の身体が、暁の光に包まれて透き通っていく。


「すべては黎明に帰す。……また会おう、事象の観測者たちよ」


「待て!」 コウが放った氷のつぶては、男がいた空間を虚しく通り抜けた。 男は一瞬でその場から消滅し、残されたのは、利用されていたことに屈辱を感じて震えるボスと、困惑するコウたち、そして無様に転がっているヴィンセントとガゼルだけだった。


メンツのための宣戦布告

静寂が戻った図書館で、ボスは砕けた仮面を捨て、素顔を晒した。その表情には、自らが洗脳されていたことへの怒りと、それ以上に深い「虚無」が宿っていた。


「……クク、笑える話だ。我がクランは、正体不明の男に踊らされていただけだったというわけか」


ボスは低く笑いながら、周囲に転がるナンバーズたちの残骸――ガルドの破片やルカの糸――を見つめた。


「だがな、コウ君。シエル。理由がどうあれ、私の部下たちは君たちに敗れ、命を散らした。奴らの忠誠と、散っていった命のメンツ……それを『騙されていたから』という理由で無に帰すわけにはいかないのだよ」


ボスの背後から、これまで以上の禍々しい魔力が膨れ上がる。それはもはや世界の再構築(収穫)のためではない。崩壊しかけた「Rブレッドクラン」という誇りを繋ぎ止めるための、あまりにも非効率な意地だった。


虚しい最終決戦の幕開け

「……ボス、正気に戻れ。今のあんたの魔力行使には、何の合理性もない」


コウが魔力回路を全開にし、冷徹に告げる。だが、その声には微かに、目の前の男の「不器用な生き方」に対する共感のようなものが混じっていた。


「分かっているさ。目的も失い、ただメンツのために戦う。これほど虚しく、非効率な戦いもあるまい。……だが、これが組織を統べる者の、最後のケジメだ!」


ボスが右手を振り上げると、図書館の地下空間全体が、彼の「意地」を具現化したかのような黒い炎に包まれた。


「コウ、シエル、サラ! 我がクランを、奴らの死を、ただの喜劇で終わらせないために――全力で私を殺しに来い!」


シエルは杖を握り直し、隣のコウを見た。 「……コウ。彼は本気だ。理屈じゃない、魂の清算を求めている。……付き合ってあげよう。それが、かつて彼と共に歩もうとしたボクの責任だ」


「……ああ。全く、どいつもこいつも不器用すぎて計算が狂う」


コウは左腕の刻印を輝かせ、正面を見据えた。 「サラ、最後の調律だ。この『虚しい戦い』に、最高に効率的な終止符を打つぞ」


「……はい! 皆さんの想い、すべて受け止めて、真っ直ぐに届けます!」

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