表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/69

第30話:非効率な選択と、崩壊の残光

崩壊の絶唱


「ボクの脚本を汚した報いだ! 全員、ボクと一緒に消えちゃえよ!」


ルカの核をコウの閃光が貫こうとしたその瞬間、ルカは身をよじるようにして致命傷を避け、残った銀糸の全てをサラへと放った。彼の狙いは最初から、コウではなく、彼の隣で支え続けるサラだったのだ。


無数の銀糸が、逃げ場のないサラを絡め取ろうと迫る。同時に、ルカの魔力の暴走によって天井の崩落が加速し、巨大な瓦礫の塊が彼女の真上に降り注いだ。


「サラ!」


コウは叫んだ。本来の彼ならば、ここで自分まで巻き込まれるリスクを避け、最も生存率の高い位置へ退避するはずだった。それが最も効率的な判断だからだ。


しかし、コウの身体は思考を追い越して動いていた。


非効率な盾


「《術式暴走・過重変換》!」


コウはボロボロになった右腕を無理やり突き出し、自身の身体に強力な引力術式を刻んだ。迫りくる瓦礫と銀糸を、磁石のように自分の方へと引き寄せたのだ。


「コウさん、ダメです! そんなことをしたら、あなたが…!」


サラの悲鳴が響く。コウは瓦礫の直撃をその身に受け、銀糸が肩を深く貫くのも構わずに、左腕でサラを強く抱き寄せた。


「…静かにしろ、サラ。計算が狂う」


コウの口から大量の血が溢れる。瓦礫に押し潰され、銀糸に魔力回路を焼かれながらも、彼はサラを庇う盾となってそこに立ち続けていた。


「どうして…どうしてボクの糸を自分から受けに来るんだい? 非効率だろう? 損だろう!? 君はボクと同じ、冷徹な人間じゃなかったのかよ!」


ルカが狂ったように叫ぶ。コウは、瓦礫の隙間からルカを冷たく見据えた。


「ルカ。お前の計算には、やはり欠落がある。…大切なパートナーを失えば、俺の将来的な生存率と幸福度はゼロになる。なら、ここで俺が傷を負うのは、極めて妥当で効率的な投資だ」


「…ハハ、なんだよそれ。理屈っぽくて、最低に格好いいじゃないか」


ルカの核が、コウの左腕から放たれた残光によって、ついに粉々に砕け散った。銀色の糸が光の粒子となって消えていく。ルカの異形は崩れ落ち、ただの小さな少年の姿に戻って、瓦礫の底へと沈んでいった。


道連れの終焉


「おい、死ぬんじゃねえぞ! コウ!」


ガゼルの怒号が響く。彼は瓦礫を支え続け、ヴィンセントは残った魔力を振り絞って崩落を押し留めていた。二人の泥臭い奮闘によって、わずかな脱出路が確保される。


「…行くぞ、サラ。ここも、もう持たない」


コウは意識が遠のきそうになるのを必死に堪え、サラを促した。


「はい…はい! 一緒に、帰りましょう!」


サラはコウの肩を抱き、泣きながら崩れゆく王城の中を駆け抜けた。背後では、かつての栄華を誇った玉座の間が、轟音と共に完全に瓦礫の山へと変わっていった。


夜明けの虚無


王城の外、建国記念日の夜明けが、灰色の煙に包まれた王都を照らし出していた。


命からがら脱出した貴族たちは、広場で震えながら、崩落した城を見上げていた。その中には、ボロボロになり、プライドも地位も失ったヴィンセントとガゼルの姿もあった。


「終わった…何もかもが…」


ヴィンセントは、自分が殺めてしまったゲルマンの遺体を思い、ただ茫然と立ち尽くしていた。勇者として賞賛されていたガゼルも、今はその手で聖剣を握ることすら叶わず、泥にまみれて座り込んでいる。


彼らが求めた「効率」と「輝き」の結果が、これだった。


一方で、コウとサラは、そんな群衆から離れた静かな一角で、朝陽を浴びていた。コウの右腕はだらりと下がり、重傷を負っていたが、その表情はどこか晴れやかだった。


「コウさん…ありがとう、ございます」


サラが小さく呟き、コウの肩に頭を預ける。


「…礼を言われるようなことはしていない。ただ、計算通りの結果だ。…不器用な俺たちの、な」


コウは、遠くでまだ燃え続ける城の火影を見つめながら、次なる戦いを見据えていた。


ナンバー4は倒した。だが、Rブレッドクランのボスの影は、まだ消えていない。そして、この国を蝕む闇は、まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ