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婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生


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第24話:偽りの黒幕と、絶望の弑逆

父代わりの嘲笑

「全て私が書いたシナリオ通りだ。邪魔な駒も消えたことだし、そろそろ『国盗り』の仕上げといこうか」


ゲルマン宰相は、倒れているガルドの死体を無造作に蹴り飛ばし、ヴィンセントを見下ろした。その目は、かつてヴィンセントに向けられていた慈愛など欠片もなく、冷酷な光だけが宿っていた。


「ゲルマン…嘘だ、嘘だと言ってくれ! あなたは私を導いてくれた、第二の父のような存在だったではないか!」


ヴィンセントが泣き叫ぶように訴える。しかし、ゲルマンは鼻で笑った。


「父? 笑わせるな。お前のような無能な男を育てた覚えはない。お前はただの『承認印』を押す機械だ。私の野望のために、国を売るための便利な道具にすぎん」


「う、あぁ…」


ゲルマンは、ヴィンセント、そしてガゼルを交互に見ながら嘲笑った。


「サラ・ブレッドとの婚約破棄もお前への入れ知恵だ、ヴィンセント。『地味だから』などという幼稚な理由を吹き込めば、お前は喜んで従った。そしてガゼル、お前もだ。『効率が悪い』と吹き込み、最強の魔術師コウを追放させたのも私の筋書きだ」


ゲルマンは愉悦に歪んだ顔で告げる。


「おかげで、王家を守る最強の癒しサラと、魔術師コウを同時に排除できたわけだ。傑作だよ」


ゲルマンの言葉は、二人の心臓を抉り取っていく。自分の選択の全てが、尊敬する師によって仕組まれた破滅への道だったのだ。


追いつめられる二人

「さて、用済みだ。死んでくれたまえ、ヴィンセント王子」


ゲルマンが手を掲げると、どす黒い闇の魔弾が生成された。それは、一国の宰相が持つにはあまりに禍々しい、Rブレッドクランから供与された禁忌の魔術だった。


「ひっ…!」


ヴィンセントは腰を抜かしたまま後ずさる。ガゼルもまだダメージから立ち直れず、動けない。


コウが割って入ろうとした。「チッ、させないぞ!」


コウは氷の壁を展開しようとするが、それよりも早く、ゲルマンはヴィンセントに向けて魔弾を放った。


「死ね! 愚かな傀儡よ!」


「や、やめろぉおおお!!」


極限の恐怖と絶望の中で、ヴィンセントは半狂乱になりながら、護身用の短剣を抜き、めちゃくちゃに振り回した。同時に、体内に残っていた全魔力を暴発させるように放出した。


「来るな! 来るな来るな来るなァ!!」


悲劇の誤殺

ドォォォン!!


ヴィンセントが放った無秩序な炎の爆風が、ゲルマンを直撃した。 本来なら、熟練の魔術師であるゲルマンがいとも簡単に防げるはずの、稚拙な攻撃だった。


しかし――。


「が…っ?」


ゲルマンは防御魔法を展開しなかった。いや、**「させてもらえなかった」**のだ。 操り人形としての役割は「ヴィンセントを絶望させて死なすこと」だったが、影に潜む真の黒幕の気まぐれか、あるいは脚本の変更か。ゲルマンは無防備なまま炎に包まれた。


さらに、ヴィンセントが投げた短剣が、炎を突き抜けてゲルマンの胸、心臓のど真ん中に突き刺さった。


「カ、ハッ…」


炎が晴れると、ゲルマンは胸から大量の血を流し、よろめいた。


「ヴィン…セント…様…」


その瞬間だけ、ゲルマンの瞳から狂気が消え、いつもの慈愛に満ちた色が戻ったように見えた。彼は血を吐きながら、悲しげに微笑み、そしてどうと倒れた。


取り返しのつかない罪

会場に静寂が訪れた。


「は…? 私、は…?」


ヴィンセントは、自分の手を見つめた。短剣はない。目の前には、胸に短剣が突き刺さり、絶命しているゲルマン宰相の姿。


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!! ゲルマン!!」


ヴィンセントはゲルマンの遺体に駆け寄り、泣き崩れた。 自分が殺した。恩師を、国の重鎮を。たとえ相手が自分を殺そうとしていたとしても、その事実はヴィンセントの精神を完全に崩壊させた。


「俺が…殺した…俺が…!」


ガゼルも青ざめ、言葉を失っている。


コウはその光景を、冷ややかに見つめていた。


(あっけない幕切れだ。ヴィンセントの反撃で死ぬとは…油断したか?)


コウは、ゲルマンの死に際の違和感(防御しなかったこと、最期の表情)を一瞬気にしたが、今の混乱した状況では深く追求できなかった。 彼の目には、**「黒幕であるゲルマン宰相が死亡し、Rブレッドクランのトップは排除された」**と映っていた。


「サラ。これで組織の頭は潰れた。だが、状況は最悪だ」


コウは周囲を見渡す。パーティー会場はパニック状態。王子が宰相を殺害したという事実は、国を揺るがす大スキャンダルだ。


「コウさん…ヴィンセント様が…」サラは震えるヴィンセントを見て、胸を痛めていた。


「同情するな。結果的に彼が自分の手でケリをつけた形だ。…だが、何か引っかかる」


コウは、ゲルマンの遺体から目を離さなかった。あまりにも非効率な死に方。まるで、「ここで死ぬこと」が役割だったかのような…。


しかし、思考を巡らせる暇もなく、会場の扉が再び開かれた。


「キャハハハ! すごいすごい! 感動のフィナーレだねェ!」


天井から、嘲笑うような声が降ってきた。 死んだはずのゲルマンの「上」にいた、真の存在が動き出そうとしていた。

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