表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/65

第22話:狂宴の開幕と、死の舞踏

かつての主たちとの再会

煌びやかなシャンデリアの下、コウとサラが進むと、周囲の視線は自然と二人へ集まった。その中から、見慣れた二人の男が、信じられないものを見る目で近づいてきた。


「サラ! まさか、本当にサラなのか?」


声を上げたのは、第二王子ヴィンセントだった。隣にいる令嬢リリアーナの派手すぎるドレスとは対照的に、サラの深青のドレス姿は、夜空のような静謐さと気品を放っていた。


「どうしてここにいる? 追放されたはずの君が、なぜこのような場にふさわしい装いをしているのだ?」


ヴィンセントが手を伸ばそうとした瞬間、コウがその間に滑り込んだ。


「気安く触れるな。彼女は今、俺のパートナーだ」


「コウか…。お前、そのスーツはどうした? どこかの貴族から金を盗んだのか? 燃費の悪い魔術師ごときが、生意気だぞ!」


勇者ガゼルも、コウの洗練された立ち振る舞いに劣等感を刺激され、声を荒らげた。


コウは二人を冷ややかな目で見下ろし、淡々と言った。


「ヴィンセント、ガゼル。お前たちの相手をしている時間は、今の俺にとって極めて非効率だ。そこをどけ。俺たちには仕事がある」


乱入する幹部たち

その時、会場の窓ガラスが一斉に砕け散り、黒い装束に身を包んだ集団が雪崩れ込んできた。Rブレッドクランの戦闘員たちだ。


「キャアアア!」 「な、なんだ貴様らは!」


貴族たちが悲鳴を上げ、逃げ惑う中、壇上に二つの異様な影が舞い降りた。 ヴェルトとは比べ物にならない、肌を刺すような殺気が会場を支配する。


「ヒャハハ! 楽しそうなパーティーじゃねぇか! 俺たちも混ぜろよォ!」


現れたのは、Rブレッドクランの幹部、ナンバーズ。


一人は、全身に入れ墨を入れた巨漢の格闘家。ナンバー7『粉砕』のガルド。 もう一人は、両手に巨大な鎌を持った、死神のような痩身の男。ナンバー8『処刑人』のリーパー。


「ガゼル、お前が倒せ! 勇者だろう!」


ヴィンセントが叫ぶが、ガゼルは腰を抜かして震えていた。


「無理だ…あいつらの魔力、桁が違う…! 俺の今の状態じゃ、勝てない…!」


圧倒的な速度差

「コウ、来るぞ!」


コウが叫ぶと同時に、ナンバー8『処刑人』リーパーが姿を消した。いや、速すぎて目視できないのだ。


「ギャッ!」


近くにいた護衛の兵士の首が、何もない空間で跳ね飛んだ。


「遅い、遅いなぁ! 俺の鎌は風より速いぜ? 次はどいつの首だ?」


リーパーの声が、残像と共に会場内を反響する。コウは冷や汗を流した。 (速い…! 俺の動体視力じゃ追いきれない。魔力探知でも、反応した瞬間にはもう移動している…!)


次の瞬間、リーパーの鎌がコウの首元に迫った。


ガギィン!


間一髪、コウが展開した氷の障壁が鎌を受け止めたが、衝撃でコウの身体が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。


「ぐっ…!」


「コウさん!」


コウは口端から血を流しながら立ち上がる。障壁には深いヒビが入っていた。あと数ミリ深ければ、即死だった。


苦戦と解析

「へぇ、今のを防いだか。でも、次はどうかな?」


リーパーが再び高速移動を始める。 一方、もう一人の幹部、巨漢のガルドは、ニヤニヤしながら会場の出口を塞ぎ、腕組みをして見物している。


「リーパー、遊んでねぇでさっさと殺せ。俺の出番がなくなるだろ」


「うるせぇよガルド。こいつは俺の獲物だ」


コウは焦っていた。二対一なら確実に負ける。だが、奴らが舐めてかかってきている今が、唯一の勝機だ。


「サラ、集中しろ! あいつの速度に、俺の神経反応速度を合わせる!」


「で、でも…そんな急激な強化をしたら、コウさんの脳が焼き切れてしまいます!」


「死ぬよりはマシだ! やれ!」


サラは涙目で頷き、コウに向けて両手をかざした。 「《至高の調律・神経加速ニューロ・アクセラレーション》!」


サラの魔力がコウの脳神経に過負荷ギリギリの電流を流す。世界がスローモーションのように引き伸ばされていく感覚。鼻血が滴り落ちるが、コウは構わずに魔力を練り上げた。


氷の罠と薄氷の勝利

「見えた…!」


コウの視界の端に、リーパーの鎌の軌跡が映った。しかし、見えたからといって身体が追いつくわけではない。コウは「迎撃」を捨て、「罠」に賭けた。


コウは、わざと隙を見せてリーパーを誘い込んだ。


「もらったァ!」


リーパーがコウの背後に現れ、鎌を振り下ろす。 その瞬間、コウは自分の足元の床を凍らせ、さらに《摩擦係数ゼロ》の術式を付与した。


「なっ!?」


踏み込んだリーパーの軸足が、ありえないほど滑った。体勢が大きく崩れる。 その一瞬の隙。コウはその滑った勢いを利用し、自分の身体を回転させながら、リーパーの懐に掌を突き出した。


「ここだ! 《零距離・氷結牢ゼロ・フリーズ》!」


コウの全魔力を込めた冷気が、リーパーの腹部に炸裂する。 攻撃魔法ではない。相手を拘束するためだけの、密度を極限まで高めた氷塊だ。リーパーの身体が、鎌ごと一瞬にして巨大な氷の柱の中に封じ込められた。


「ハァ…ハァ…!」


コウはその場に膝をついた。脳が焼き切れるような頭痛と、魔力枯渇に近い倦怠感。たった一人を封じるだけで、満身創痍だった。


絶望は終わらない

しかし、戦いは終わらなかった。 氷漬けになった相棒を見て、出口を塞いでいた巨漢、ナンバー7のガルドが、バキバキと指を鳴らしながら歩み寄ってきた。


「あーあ。リーパーの野郎、油断しやがって。情けねぇ」


ガルドは、コウが命がけで作った氷の柱を、デコピン一つで粉砕した。 中から、気絶して白目を剥いたリーパーが転がり出る。


「おいおい、魔術師の兄ちゃん。俺の相棒を倒したくらいで、勝った気になってんじゃねぇぞ? 俺はリーパーより、ずっと頑丈で、ずっと強いぜ?」


コウは震える足で立ち上がろうとするが、力が入らない。サラが駆け寄り、コウを支える。 目の前には、無傷のナンバー7。 そして、その後ろでは、ヴィンセントとガゼルが恐怖で動けずにいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ