第14話 圧倒的劣勢と、引き裂かれた地味な服
コウが路地の影から姿を現し、冷徹な声で「無駄な行為はやめろ」とチンピラたちを牽制した。彼の左腕の**《無限進化の刻印》**が青白い光を放ち、その威圧感は彼らに伝わった。
サラを壁に押し付けていた一人が、苛立った声を上げた。「なんだ、テメェは! 邪魔すんじゃねえ!」
コウは冷静に状況を分析する。路地の奥と屋根の上から、組織だった冒険者たちが次々と姿を現した。コウの前に立ちはだかったのは、戦士二人、魔道士一人、盗賊一人、そしてコウと同じ魔術師が二人の合計六名の戦力だった。彼らは、疲弊しきった顔をしながらも、役割が明確な統率力を見せていた。
予想外の戦力とコウの苦戦
コウは、自身が持つ**《殲滅の雷光・超改》で即座に攻撃しようとするが、後衛の魔術師二人が同時に詠唱阻害の魔術**を放ってきた。
「ふん! 《魔力遮断の障壁》!」
コウは障壁を展開し、魔術師たちの攻撃を防ぐが、その間に戦士たちが一気に距離を詰めてくる。さらに、盗賊が屋根の上から奇襲を仕掛け、魔道士が攻撃魔術を放つ。
「ぐっ…!」
コウは、サラを守りながらの多方向からの攻撃に、酷く苦戦を強いられた。彼の魔術は最高効率で運用されているが、数と統率力で圧倒される状況は、純粋な戦闘力だけでは覆しがたい。
「コウさん! 気をつけて!」サラは、コウの危機に悲鳴を上げた。
抵抗と、満たされない欲望
サラは、自分を掴む男の手を振りほどこうと、全身をねじって必死にもがいた。
その抵抗に、男は苛立ち、逆上した。最近の稼ぎの激減と、それに伴う日々たまりにたまった性的な鬱憤が、この抵抗をきっかけに爆発した。
「うるせえ! 俺たちを巻き込むな! 勇者パーティの下請けのせいで稼げなくなった俺たちの鬱憤の捌け口になれ!」
男は、感情に任せてサラの胸元に手をかけ、残っていた衣服を力任せに引き裂いた。
ビリッ、という音と共に、地味な服の生地が大きく破け、サラの白い肌が露わになった。
「ひっ…いやあ…!」
サラの顔は絶望と羞恥に染まり、涙が止まらない。コウの脳裏に、サラを追放したヴィンセント王子の嘲笑がフラッシュバックする。そして、コウは自分を「燃費が悪い」と見捨てたガゼルの言葉がフラッシュバックした。
(この…無駄な悪意の連鎖が…!)
コウのダウナーな瞳の奥で、怒りの炎が静かに、だが激しく燃え上がった。




