第13話 王都の非効率な荒廃と危機一髪
高額な借金を抱えたコウとサラは、王都に到着した。コウは情報屋への連絡と魔力動向の測定を、サラは街の治安と荒廃状況の観察を担当することにした。
サラは、ギルドでのコウと受付嬢アヤメが仲良く話す様子を思い出し、胸に微かな痛みを覚えていた。(私なんて、ただの地味な治癒師だから…)と、自分の能力や存在価値への不安を感じながらも、コウの特別な存在でありたいという思いを抑え、調査へと向かう。
王都の荒廃
王都は荒廃していた。メインストリートから一本入るだけで、地面はデコボコに、建物は壁が崩れたまま放置されている。人々の顔からは活気が失せ、目に入るのは職を失った者や、盗賊まがいのチンピラばかりだ。
サラは王族の住まう王城付近の様子を見ておこうと、城壁の方向へ足を向けた。
チンピラの凶行と絶望
サラが王城の広大な壁が見える路地に入ったその瞬間、背後から荒々しい手が伸び、サラの腕を強く掴んだ。
「おや、地味だがなかなか見どころのある嬢ちゃんだ。こんなところで一人で何してるんだ、お姫様?」
後ろには、先ほど見たチンピラが二人、下品な笑みを浮かべて立っていた。彼らは、王都の経済状況悪化のせいで稼げず、弱い者からの搾取を楽しんでいるのだろう。
「ひっ…! ご、ごめんなさい! すぐに立ち去りますから!」サラは反射的に謝罪の言葉を口にする。
「謝って済むと思うなよ?」チンピラの一人が、サラの背中を無理やり壁に押し付けた。「俺たちも最近、勇者パーティの下請けのせいで全然稼げないんでな。お前さんの地味な服でも剥ぎ取って、金に替えさせてもらうぜ!」
もう一人が、サラの華奢な首筋を掴み、下卑た笑みを浮かべた。
「おい、服だけじゃつまらねえだろ。辺境の嬢ちゃんは、さぞかし純情で抵抗するんだろうな。少し遊んでやるよ、大人しく人質になってもらおうか!」
サラの悲鳴は、彼らの大きな手に塞がれた。抵抗しようにも力が入らない。チンピラは彼女の胸元に手をかけ、服を乱暴に引き裂こうとする。サラの瞳に、極度の恐怖による涙が滲み、全身の血が凍りついた。
(コウさん…! 助けて…)
その時、サラの絶望をよそに、路地の影から氷のように冷たい声が響いた。
「おい、無駄な行為はやめろ」
コウが、チンピラたちを射殺すような冷たい視線を送りながら、姿を現した。彼の左腕には、**《無限進化の刻印》**が青白い光を放ち始めていた。




