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婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生


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第12話 王都への道、治安の非効率とギルドの闇

高額な金貨三百枚の借金を背負ったコウとサラは、情報屋から得た金と知識を武器に、王都へと向かう旅を再開した。コウは、道中もRブレッドクランの短剣を使い、サラの調律の下で**《無限進化の刻印》**の強化を怠らなかった。


しかし、王都へ近づくにつれて、コウが計算した**「通常の道中の効率」**が崩れ始めていることに気づき始めた。


「魔物の出現率、冒険者の移動、全てが不安定だ。王都へ向かう街道で、これほど治安が悪いのは非効率的すぎる」コウは顔を顰める。


サラも、荒れた旅の雰囲気に不安を感じていた。


「コウさん…街道沿いの村々も、以前より人が減っている気がします…」


懐かしい受付嬢との再会

二人は、王都の手前にある中規模の交易都市のギルドに立ち寄り、情報屋への借金を返済するための手始めに、手頃なクエストを探すことにした。ギルドのカウンターには、見覚えのある顔があった。


「あれ…アヤメさん?」サラが恐る恐る声をかけた。


「あ、サラちゃん!? コウさんまで! 久しぶりね! 元気だった?」


かつて勇者パーティとして活動していた頃、頻繁に顔を合わせていた、明るく快活な受付嬢アヤメだった。しかし、彼女の顔には以前の快活さはなく、疲労の色が濃く出ていた。


「お久しぶりです、アヤメさん」コウは久しぶりに再会した旧知の人物に、わずかに落ち着いた表情を見せた。


コウはすぐに本題に入った。


「アヤメ。クエストの状況を聞きたい。この辺りの中級クエストの報酬が、内容の割に非効率的に安すぎる。一体何が起きている?」


ギルドを蝕む非効率な構造

アヤメは、コウの指摘に顔を曇らせた。


「コウさん…やっぱり気づいたのね。そうなの、ギルド全体がおかしくなっているの」


アヤメは、小声で、この地域を蝕む**「効率の悪い構造」**を話し始めた。


「原因は、『勇者パーティギルドの傘下による多重下請け構造』よ。勇者ガゼル様たち元請けのパーティが、報酬の良いクエストを王都や貴族から直接大量に請け負うようになってから、私たち一般ギルドに回ってくるクエストは、『元請け』の不要な手間賃や**『中抜き』**が引かれた、内容の割に馬鹿みたいに安いものばかりになってしまったの」


「多重下請け…」コウは眉をひそめた。


「そうなの。元請けの勇者パーティは、楽して大金を手に入れ、そのしわ寄せが私たちに来ている。結果、B級以上になれば安定して稼げた冒険者たちまで、生活が苦しくなってしまった。年中金欠の冒険者があちこちで増えて、夜間の盗みや恫喝で、街の治安も最悪よ。私の仲の良かった冒険者も何人か、盗賊まがいのことを始めてしまったわ…」


アヤメは、疲れた表情で付け加えた。


「正直、王都の貴族が、裏で何か間違った選択をしているんじゃないかって噂もあるの。このままじゃ、この町はダメになっちゃう」


復讐の対象の拡大

コウは、アヤメから聞いた情報が、王都の「効率的な悪意」の連鎖の結果であることを瞬時に理解した。ヴィンセント王子とガゼルが、Rブレッドクランの駒となって行動した結果、その非効率なツケが、辺境の経済と人々の生活にまで影響を及ぼしていたのだ。


「なるほど。勇者と王子の非効率な判断は、周囲の人間まで非効率な行動を取らせる…皮肉なものだ」


コウの瞳は、以前にも増して冷たい光を帯びていた。彼の復讐のターゲットは、単に自分たちを追放した元仲間だけではなく、彼らが作り出した**「非効率的な悪意の連鎖」**そのものへと拡大した。


「サラ。王都へ急ぐぞ。これ以上、彼らの非効率な悪行を放置するわけにはいかない」


「はい、コウさん!」


サラは、かつての友人であるアヤメの窮状を見て、**「誰かのために能力を使いたい」**という思いを新たにするのだった。

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