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よろしくお願いいたします。
私は部屋に戻り、オシラ様から受け取ったお父様からの手紙を読んだ。
手紙にはシルクリア商会とネオから手紙をもらったことや私がこれから王都に住むことの許可と、シルクリア商会の用意してくれるアパートではなくて、ネオの工房に住むように書いてあった。
お父様は手紙の中で王都に私が住むことやネオの工房に住むことなど一切反対しなかった。
そして銀粘土が売れたからと王都での生活費として小切手も同封されていた。小切手の額は1年ぐらいは十分暮らしていける額だった。
最後に身体に気をつけて頑張りなさいと書いてあった。
(ローザ、良かったね。お父さん許してくれて、生活費まで送ってくれて)
「うん。すごくありがたいよ。でもここまでスムーズだとネオの手紙の内容が気になるよね」
(……深く考えなくてもいいんじゃない?許可してもらえたんだから)
「ヤラ、なんかわかるの?」
(……いや)
「なに?その間」
(なんでもないよ)
ヤラは絶対どんな内容なのかわかっているような気がする。
(そんなに気になるならあいつに聞けば?なんて書いたのか)
「ネオに?」
(うん。教えてくれるんじゃない?)
「じゃあ聞いてみるよ」
(それがいいと思うよ)
私は直接ネオにお父様への手紙をなんて書いたのか聞いてみることにする。
宿で残っていたグラノーラとオシラ様からいただいた果物で昼食を食べてネオの工房に向かった。
工房に着いたらドアに手紙が挿してあった。宛名は私で、ネオからだった。
‘‘ローザへ
ローザの調子が良くなってやっとゆっくり会えると思っていたところにすまないが、しばらく仕事で工房に来ることができなくなった。鍵はポストに入っているからローザは遠慮なく工房で暮らしてて。1ヶ月くらいは帰ってこれないと思うけど、戻ったら工房に寄るよ。
ネオ,,
ネオは当分工房に来れないらしい……
付き合い始めて、せっかく工房に住むことになったのにな……仕事だからしょうがないけどとても残念。
鍵をポストから出した。こんなことならチェックアウトしてからこれば良かったな。
私はチェックアウトをしに宿に戻った。
(ローザ、すぐにあいつに聞けなくて残念だったね)
宿に戻る途中に乗合馬車の中でヤラが声をかけてきた。
『タイミングが悪かったね。しょうがない。また帰ってきたら聞くことにするよ』
(そうだね)
宿に戻って荷物をまとめる。元々自領に戻る予定だったから納品してしまえば荷物は多くない。お父様からの小切手を換金して洋服とか日用品を購入してから工房に向かう。
小切手のお金は大金だから全て手持ちにしないで銀行にも預けておく。銀行は国内どこでも共通だった。
「さて、銀行で換金したから洋服を買いに行こうかな」
私は乗合馬車で銀行に行った帰りに露店街にも寄って行く。銀行は王都の中心部にあってちょうどこの前ネオに連れて行ってもらったランチのお店の近くだった。寄るのはその近くの露店街だ。
露店街に向かって歩いていると通りすがりの女性2人組の会話が聞こえてきた。
「シルクリア商会から最近出たイヤーカフ知ってる?」
「知ってる〜イヤリングにみえるものでしょ?」
「いいよね〜銀でできているから高いけど、最近頑張っているご褒美として今度買おうと思ってるの」
「わ〜いいなぁ〜買ったら見せて〜」
「うん」
私の作っているイヤーカフの話だった。オシラ様がよく売れてるって言ってたけど実際話しているのを聞くと嬉しい。
私は思いがけず自分のイヤーカフの話が聞けて、露店街で可愛い洋服も買えて満足して工房へ行った。
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