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よろしくお願いいたします。
私はシルクリア商会との商談を済ませ、一旦シルクリア商会が用意してくれた宿に寄って、荷物を下ろしてネオ様の工房に向かった。
宿はちょうどシルクリア商会とネオ様の工房の真ん中ら辺にあった。もちろん移動は歩いてはいける距離ではなかったから、乗合馬車に乗っていった。
馬車はいつもネオ様の工房の近くで停まる。そこからは歩いて行っている。
(ローザ、王都に住むこと誘われて良かったね)
『うん、でもまだお父様の返事が来てないけどね』
(ローザのお父さんはいいって言うと思うよ)
『私もそう思ってるよ。シルクリア商会の勧めだもん』
(もう決まったも同然だね!)
『そうだね』
私は歩きながらヤラと心の中で話す。やっぱり私の心が定まったせいなのかネオ様に近づいている気がしている。ネオ様の近くに居れるようになってきている気がする。
「ネオ様いらっしゃいますか?ローザです。今終わって戻ってきました」
工房に戻ってきた。ドア越しにネオ様に声をかける。
奥から足音がしてきた。ネオ様だ。
「ローザ嬢、おかえり。お疲れ様。さあ、入って」
「お邪魔します」
「今、お茶を淹れるね。座って待ってて」
「いつもありがとうございます」
ネオ様はいつもお茶を淹れてくれる。ネオ様がお茶を淹れてきてくれたら、さっきのシルクリア商会の話をしなくっちゃね。
「お待たせ。さあ、どうぞ。お茶菓子はさっきと同じもので悪いけど」
さっきの美味しかったチョコレートをまた持ってきてくれた。美味しかったからまた食べれるのは嬉しい。
「美味しかったから嬉しいです。いただきます」
「シルクリア商会とはどんな話だったんだ?」
「イヤーカフをこれからも納品してほしいから、ぜひ王都に住まないかって言われました」
ネオ様が驚いた顔をしていた。そりゃびっくりだよね。私もびっくりした。
「それで、ローザ嬢はなんて答えたんだ?」
「住みますって」
「それは良かった。そうしたらこれからも会いやすいね」
今、ネオ様、さらっとこれからも会いやすいねって言った。これからも会ってくれる気があるんだ。
「それで、ネオ様にお願いがあるんですが…… 」
「何かな?」
「工房の窯をこれから貸していただきたいんです」
「窯を?」
「はい、銀粘土を焼く窯がなくて……思い当たる窯はネオ様の子の工房の釜しかなくて……」
「それは構わないよ。俺は前にも言ったけど、いつもここにいる訳じゃないから空いてる時は好きに使ってもらって構わないよ」
「ありがとうございます。助かります!」
オシラ様の言うとおりネオ様は窯を貸してくれることになった!
「それでローザ嬢はどこに住む予定なのかな?」
「まだお父様からの返事がないので決まった訳ではないんですけど、シルクリア商会所有のアパートに住む予定なんです」
「そんなアパートがあるんだ」
「はい。そうみたいです」
「でも、ローザ嬢は貴族だよね?エイド卿が許すかな?」
「それはロッド会長も心配してましたけど、大丈夫だと思います」
「……ローザ嬢、俺はローザ嬢のことが好きだよ。貴族の令嬢なのにアパートに住むのは心配だから、またこの工房に住んでくれないか?」
今、ネオ様なんて言った?私のことが好き?工房に住んでくれないか?
ちょっと、頭が追いつかない……
「ローザ嬢?聞いてる?」
「はいっ。聞いてます。大丈夫です。えっとネオ様、私のこと好きなんですか?」
「ああ、そうだ。だから心配だから、ここに住んでほしい」
聞き間違えじゃあなかった!やっぱりネオ様は私のことが好きって。
「私もネオ様のことが好きです。ここに住みたいです」
私もネオ様に自分の気持ちを伝えた。
「じゃあ、もう今日からそうしたらどうだろうか?」
「そうしたいんですけど、返事が届くまでシルクリア商会が取ってくれた宿に泊まることになっていて、もう荷物を宿に置いてきています」
「そうなんだ。そうしたらエイド卿から返事が届いたらここに住めばいいよ」
「それもお父様に言わないといけないですよね?」
シルクリア商会の用意したアパートに住むのが、ネオ様の工房にまた住むことになるなんてお父様聞いたらびっくりするよね。それになぜ?って思いそう。どうやって説明しよう?窯を借りるから?
「俺の方からエイド卿に手紙を書いておくから心配しないで」
「良かった。ありがとうございます」
以前住ませてもらったから、ネオ様に手紙を書いてもらえれば、私が手紙で説明するよりもお父様も納得しそう。
私はネオ様と思いが通じたので、ヤラが実体化するのももう時間の問題だろうなって思っていた。
そしたらそのうち一緒に住むのかな。
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