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よろしくお願いいたします。ちょっと今日は長めです。
「ローザ嬢、シルクリア商会の帰りにまた工房へ寄ってくれると嬉しい。夜まで工房にいるから」
「はい、また帰りに寄らせていただきますね。行ってきます」
ネオ様にシルクリア商会へ行く前に言われた。私はもちろん寄るつもりでいる。
でも、シルククリア商会にイヤーカフを納品したらまた自領に戻る予定でいる。
多分、これからは作ってもわざわざ持ってくることはないんだろうと思っている。そうすると、ネオ様にほとんど会う機会がなくなってしまうな……
ヤラには私の気持ちをもうすでに伝えてあるから、後で工房に行った時に実体化してもらってもいいのかもしれない。
(ローザ、じゃあ後であいつのところへ行ったら実体化しようか?)
ヤラがまた私の考えていることを読んだ。いつもは読まれたくないって思うけど、今回はありがたかった。現金なものだ。
『ありがとう、でも気持ちは自分で伝えようと思うよ。伝えた後なら実体化してもいいよ』
(わかった。ローザ、やっとここまできたね)
『うん』
自分のネオ様に対しての気持ちをしっかり認めて、今みたいに頻繁に会えなくなってしまうのが寂しいって思っている気持ちもちゃんと認めている自分がいる。
私はこう思っているけど、ネオ様はどう思っているのかな?とても気になっている。守護精霊同士が番だから、最終的には一緒にいることになるのはわかっているんだけど、それとネオ様の気持ちがついてきているのは別だから。
今日のイヤーカフをプレゼントした時の反応とか、後でまた寄ってほしいとかそういうのをみてると好意を持ってくれているとは思うけど、じゃあなんではっきり伝えてこないのかが、今度は気になるよね。
ネオ様の工房とシルクリア商会は反対の方向にある。少し離れているので、私はまた乗合馬車に乗った。
ネオ様の工房からシルクリア商会までの道のりで、私は乗合馬車で揺れながら色々と考えてしまった。
乗合馬車はシルクリア商会の近くで降りた。降りた場所は以前お父様と寄ったシーフードピザの店のすぐ横だった。シルクリア商会までは歩いて行く。
「こんにちは、ローザ・エイドと申します。コルネ様はお見えになりますか?」
シルクリア商会の受付でコルネ様を呼んだ。
「こんにちは、ローザ様ですね。コルネから聞いております。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
受付の方にこの前の応接室に案内され、部屋に入った。
「ローザ様、こんにちは!」
部屋に入るとコルネ様がすでにいらして、声をかけられた。
「コルネ様、こんにちは。今日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそです。ローザ様の新作がとても楽しみでした。どうぞ、おかけください。もうすぐ会長も来ると思います。少々お待ちくださいね」
「はい。失礼致します。よろしくお願いいたします」
私はコルネ様に座るように勧められ、腰掛けて、早速銀粘土とイヤーカフを荷物の中から取り出した。
「うわぁ〜これが噂の銀粘土ですか?」
コルネ様が興味津々といった様子で声を掛けてきた。銀粘土のこと、もう知ってるんだ!さすが、バイヤー!!
「コルネ様、よく知っていますね。そうです。これが銀粘土です。どうぞ」
銀粘土をコルネ様に渡した。
「エイド子爵領で不思議な粘土が採掘されたって噂になっています。この粘土、確か、焼くと銀に変わるとか」
「はい、そうなんです。今日の納品のものはこの銀粘土を使っています」
作ってきた納品分のイヤーカフをテーブルに置いた。
「わー!素敵!!さすがローザ様!私の好きな雰囲気の作品だわ」
「ありがとうございます」
コンコンコン
部屋にノック音が響き、ドアが開いた。
「こんにちは、ローザ嬢。遅くなってしまって申し訳ない」
ロッド会長が部屋にやってきた。女性も一緒だった。女性はこの前チラッとお会いしたオシラ様だと思う。
「こんにちは、ロッド会長。いえいえ、今日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそ。今日は妻のオシラがローザ嬢にお会いしたいっていって一緒に来ています」
「こんにちは、この前ネオと一緒に会いましたよね、あの時はご挨拶もせず、すみません。オシラと言います」
ロッド会長に紹介され、オシラ様が笑顔で私に挨拶した。
「こんにちは、いえいえ、私もです。すみません。ローザ・エイドと言います。よろしくお願いいたします」
「ローザ・エイド……エイド子爵のご令嬢ですか?」
「はい。そうです。父はエイド子爵です」
オシラ様すごい!名乗っただけで貴族の爵位まで気づいた。
「自己紹介も終わったことだし、早速ローザ嬢の作ってきてくれた作品を見せていただこうか」
「会長!すごく素敵ですよ!見てください!」
興奮気味にコルネ様がロッド会長にイヤーカフを見せた。
「これはいいね。銀でできているから、貴族向けの価格にしても問題ないんじゃないか?」
「実はサンプルも作ってきました」
私は納品のイヤーカフとは別にサンプルを3人に渡した。やっぱりオシラ様の分も用意してきてよかった!
「本当にすごく素敵。イヤーカフなのにイヤリングみたい」
オシラ様は早速このイヤーカフのコンセプトに気づいてくれた。
「ありがとうございます。オシラ様の仰る通り、これはイヤリングに見えるイヤーカフなんです。こんな感じになります」
私は自分の耳につけているイヤーカフを3人に見せた。
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