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よろしくお願い致します。

「ご令嬢」


 店主がふいに私を呼んだ。ふと店主の方を見るとおじさんだと思っていたら若くてびっくりするほどめちゃくちゃイケメンだった。目があってしまった。


 イケメンすぎて恥ずかしくてすぐ逸らそうと思ったけど何故か逸らせず見つめて見つめあってしまった…。


「はい、なんでしょうか?」


「実はとっておきのものがあって…」


「えっ!私、特に何か欲しいわけでは…」


 そう答えたら店主がマントの中から紫色の宝石のついたネックレスを出してきた。


 とてもキラキラしててさっき見せてもらったものとは比べ物にならない程綺麗だった。こんなのさっきの二つよりめちゃくちゃ高いんじゃないの!余計買えないって!って考えていたら…


「はい、これ。もう少しこっちに近づける?」


 げっ!!私に渡そうとしてきた!こんな高価なもの買えないって!!

 そう思っていると、普段は初対面の男性にはむやみに近づかないけどなぜか身体が動いて店主の方に近づいてしまった。


「はい、どうぞ」


 気がつくとさっきの紫色の石のついたネックレスが首にかけられていた。


「これ…」


「私からのプレゼント」


「えっ!!初対面の方にこんな高価なものいただけませんし、いただく理由もありません」


「じゃあ、元々貴女が首に着けていたそのネックレスと交換でどうかな?」


 私が首にかけていたペンダントは私が粘土で作ったものだ。さっき首にかけられたネックレスとは比べ物にならないくらいの安物だ。


「これは…粘土で作られているのでこのネックレスとの交換では釣り合わないです…」


 説明しててなんか虚しくなっちゃった。自分が丹精込めて作ったペンダントだけど、こんなにキラキラした宝石とはどうみても釣り合わない。


「これは粘土で出来ているんですね。貴女はこのペンダントが何でできているのかよく知っていますね、もしかして貴女が作ったんですか?」


「そうですけど…」


「それはとても素敵です!ぜひ貴女が作ったペンダントと交換していただきたいです。さっき貴女の首にかけたネックレスは私が作ったので」


 私はその言葉をきいてとても驚いた。このイケメンが作ったなんて。やっぱりイケメンってセンスもいいんだ。 大体作り手が同じだと作品って似てくるんだけど、ここにある他のジュエリーはなんか雰囲気が全部違うな…。


 私にくれたのだけ作ったのかな?


「この素敵なネックレスは貴方が作られたんですね。他のものはどなたが作られたんですか?全部雰囲気が違いますよね?」


「そうです。今あなたが持っているそのネックレスはアメジストという宝石を使っています。ここにあるものはそれぞれ雰囲気は違うかもしれませんが、全て私が作っています。持ち主に合わせたジュエリー作成がモットーなので」


 持ち主に合わせる…すごいな。私はそんなこと考えたこともなかった。ただ私は自分がいいなと思うものをひたすら作ってた。


「ご令嬢、話がそれましたが、交換していただけますか?」


「あっ、ごめんなさい。…これでよければ交換させていただきます」


 私は自分が作ったペンダントを外し、店主に手渡した。流石に私からさっきされたみたいに首にかけることはできない。


「ありがとうございます。大切にしますね。近くで見るとよくわかるけどすごく手が込んだ粘土細工ですね。これは植物がモチーフですか?すごく素敵です」


 イケメンが嬉しそうに受け取り、私の作ったペンダントをまじまじ見て褒めてくれて、笑顔で御礼を言ってきた。イケメンの笑顔ってすごい破壊力があるし、褒められてドキドキしてしまった。


「こちらこそ、こんな高価な素敵なネックレスをありがとうございます。そろそろ失礼しますね」


 私もちょっと照れながら笑顔で答え、そろそろ宿に戻ろうとした。


「あっ、待って」


「はい?」


「名前、良かったら教えてもらえますか?私はネオ」


「私はローザです」


 咄嗟に名前だけ言って家名は言わなかった。ネオ様も名前だけだったし、いいよね。


「教えてくれてありがとう、ローザ嬢、またね」


 ネオ様は名前を教えた途端一気にフレンドリーな雰囲気になった。


「はい、また」


 私は軽く挨拶をしてネオ様の露店から離れた。それにしても…ネオ様のジュエリーのネックレスと私の粘土細工のペンダントを交換してもらえるなんて…。


 私は自分の首にかかっているさっきネオ様から交換してもらった紫のジュエリーネックレスを見た。

 ジュエリーのネックレスは見たことはあったけど、実際に持ってはいなかった。


 だってすごく高いもん。交換なんてびっくりしたけど、ジュエリーのネックレスは素直に嬉しいし、何より私の作った粘土細工のペンダントを褒めてくれて嬉しかった。


「あっ、お父様、心配しているかな。早く宿に戻ろう」


 いい気分で独りごちながら私は宿に帰った。


お読みいただきありがとうございました。

たくさんのPV、本当にありがとうございます!

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よろしくお願い致します。


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― 新着の感想 ―
おお、ここからさらに物語が動き出す気配!守護精霊、番の存在、気になることがたくさん。これからの展開が気になります^^
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