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よろしくお願い致します。
見本品を慌てて作成した日から2日経った。今日は乾燥した銀粘土細工を焼く日だ。明日には王都に向けて出発しなくてはいけない。
乾燥した銀粘土細工をみるいい感じで仕上がっていた。数は全部で10個。銀粘土細工だけのイヤーカフを6個作ってみたのだ。
「10個ならこの前と窯に入れた数が一緒だから全部一緒に焼いていこう」
窯に入れたら15分で焼ける。焼けるのを待つ間にヤラとおしゃべりをする。
「明日から王都に出発するんだけど、あっという間だったね」
(そうだね、明日はお父さんもまた一緒に王都に行くの?)
「行かないよ。お父様は銀粘土の他領との取引が始まったみたいで忙しいみたいだから、私1人で行くの」
(そうなんだ)
「うん、一度1人で帰ってきたことがあるから、1人で行くのも抵抗ないしね。お父様もヤラがいるから心配してないみたい」
(僕は君のお父さんにすごい信頼されてる)
「そうだよ〜お父様は銀粘土がうちの領で発掘されたのもヤラのおかげってわかってた」
(さすがだね、領主なだけあるね、ローザのお父さん)
「うん、色々な領の守護精霊が顕現した後の変化も聞いているからね」
(色々良くなっていった話?)
「そう。いつも私はお父様からその話を聞いていいなって思ってたんだけどね」
(そっか……)
「もう〜ヤラがしんみりしないでよ!私はもうヤラに出会えたからなんとも思ってないよ!」
(そうだけど、僕はその時もローザのそばにいてローザを見てたんだよ。頑張っているローザ達に何もしてあげられなかったのが悔しかったのを覚えてる)
「ヤラ……」
(でもあいつのおかげでローザの前に顕現できた。これからはローザ達が幸せになれるよう僕が応援して導いていくからね)
「ヤラァ…… うっ…うう」
私はヤラの言葉を聞いて嬉し泣きをしてしまった。
(ローザ!もー泣かないでよ。ほら、もう銀粘土焼けたみたいだよ)
いきなり泣き出した私に、驚いたヤラに慰められながらも、嬉し泣きが止まらなかった私だった。私は泣きながら窯から焼けた銀粘土細工を取り出した。
「うっ…うう… ちゃんとできてる。あとは冷ますだけ…… 」
取り出した銀粘土細工は納品分と同じようにちゃんと綺麗にできていた。銀粘土もちゃんと銀に変わっていた。
泣き止むことができなくて、涙が溢れてくるけど、銀粘土細工を載せた板を持っているから拭えなかった。
(ローザ、大丈夫?)
泣きづつける私を心配してヤラが声をかけてきた。
「……もう大丈夫だよ。いきなり泣いて驚かせてごめんね」
机の上に板を置いて、私は涙を拭った。
「じゃあ、冷めるまでこのままにしておこう」
私は、明日王都に行く準備もしなくちゃいけないから、冷めるまでここに置いて、冷めた頃にまた来ようと思った。
自室に戻り、王都に向かうための準備を始める。完全に冷めるまで3時間くらいかかるだろう。それまでには洋服とか、向こうで使うためのものを詰めておきたい。
「いくらイヤーカフで小さいアクセサリーだったとしても、納品分と見本品もあるから結構荷物が多くなりそうだな。どうやって持っていこうかな」
イヤーカフを綺麗に持って行きたいと思っているけど、どうやったら上手に持っていけるか頭を悩ませていた。
(ローザ、小さな厚紙に一つずつ引っ掛けていくのは?)
そういえば、ネオ様と露店街に行った時に見かけたイヤーカフも台紙に引っ掛けてあった。でもそんな厚紙は用意していなかった。
「厚紙はないよ。どうしよう?」
ふと見ると、部屋にはネオ様の工房に滞在中にしょっちゅう食べていたグラノーラの入った袋を包んでいた包装紙が目に入った。果物の絵が描かれていて可愛くてとっておいたものだった。これを小さく切って小さくなった包装紙に引っ掛けることで上手に持っていけるんじゃないかと思った。
「この包装紙を小さく切って、そこに引っ掛けるよ」
(それ、いいね!それでいいと思う)
おしゃれに見えるし、我ながらいい案だと思った。
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