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あれからなんだかんだで1週間が経っていた。私は本当は次の日にでも王都に向けて出発したかったけど、お父様が今回は持てるだけ持って行きたいと言って馬車に積めるギリギリの量ができるまで出発を伸ばしていた。
馬車も貴族なので一応ある。乗り合い馬車のような領民が乗るような馬車。
御者はいないからお父様が馬車を操る。
「ローザ、待たせたね。これ以上は乗り切らないからそろそろ王都に向かおうか」
馬車にはパンパンに荷物が積んである。本来は人が座るところだけど、お父様は御者の代わりだから、乗るのは私一人。あと空いているところは全て売り物の工芸品が載っている。
「そうだね。もうどう見ても乗らないからもう行こう」
やっと王都に向かうことができる。私は自分のアクセサリーを積み込みながら自分が作った全てのアクセサリーが残らず売れることを祈っていた。
王都まではうちの領からそんなに離れていなくて馬車で3日あれば着く距離だった。
お金がなくても野宿とかは危なくてできなくて、ちゃんと宿に泊まっていた。そのお金もばかにならないんじゃないかって思っているけど、野宿して野盗に襲われてしまったら元も子もないし、宿代も試算した上で私が余分にアクセサリーを作ってる。売れるの前提だけど。
「ローザ、もうすぐ王都だけど、だいぶ暗くなってきてるし今日はこの町に泊まろうか?」
「そうだね、このまま王都に向かって何かあるといけないしね」
頑張れば王都に入れる距離ではあったけど、私たちは王都の手前の町に宿をとって泊まることにした。
すぐに宿が見つかったのとまだ明るかったので私はお父様に一言断って町を散策することにした。
お父様は御者で疲れたので宿でゆっくりするみたい。
私は王都に向かう途中の宿の町で時間があるときはアクセサリーやジュエリーのお店や露店を覗いている。同じ町に寄ることが多いけど、時期が変わるとお店に並んでいる商品が入れ替わっている。
自分が思いつかないようなデザインのアクセサリーやジュエリーがあったり、知らないアクセサリーやジュエリーに出会ったりしてとても勉強になっている。
この町は王都近くだから、今までは寄らずに直接王都に入っていた。
「ご令嬢、よかったら見ていって」
露店街をキョロキョロしながら歩いていたら何だか屋根がピカピカ光って見えるお店があって、どうやって光っているんだろうって思って足を止めたら店主に声をかけられた。
どうやら宝石を使ったジュエリーの店みたいだった。価格を見ると、どう見ても私が簡単に買えるような価格ではなかった。
「ありがとうございます。どれも素敵ですね」
「ありがとう、どれも本物の宝石を使っているんだよ。これはご令嬢によく似合いそうだけど?」
店主が黄色の宝石がついたネックレスを勧めてきた。価格を見ると…
高い!!買えないよ!どうやって断ろう…
「ごめんなさい、ちょっと私の好みではなくて…」
「そっか、そっか。じゃあこっちはどう?」
店主はそう言いながら私の手の上にピンクの宝石がついたネックレスを載せてきた。
「これも…ちょっと…」
本当はすごく好みでめちゃくちゃキラキラしてていいなって思ったけどこれもめちゃくちゃ高い!!買えない!!
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