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よろしくお願い致します。
今日からタガネの練習になった。最初に見せてもらってからちょっと間が空いていたので、またネオ様がタガネを見せてくれた。
「こんな感じでやるんだけど、大丈夫かな?」
「はい、頑張ります!」
私は今まで切り出した銀板を使わずに切り出していない銀板でタガネを練習していたけれど、ネオ様から“実際に作るサイズで下絵を描いたところに練習した方がいい“とアドバイスをもらい、下絵を描いた上にタガネの練習をし始めた。
「小さくて、やりにくい…… でもこれで作るからな…… 」
「慣れるまでは大変だけど、慣れたらそんなに大変じゃないから頑張って!」
横で見ているネオ様に応援され、練習していく。基本的にネオ様は私が練習している時に横で見ているんじゃなくて、自分もジュエリーを作成していた。
本当はネオ様がジュエリーを作成するところを見ていたいって思うけど、私は1週間の猶予しかないから、今はタガネを頑張っていく。
最初は慣れないタガネだったけど、1日経つとなんとか思うような場所へ彫れるようになってきていた。
糸鋸の時と同じように、あまりにも夢中になって練習していたので、あっという間に2日目の夕方になってしまい、ネオ様がそっと抜けて夕食を買ってきてくれていたのにも気づかなかった。
「ローザ嬢、練習お疲れ様。これ、今日の夕食に食べて。いつもいうけど、お金は大丈夫だから気にしないで。それから、そろそろ2日目の夕方になるから、タガネをやって見せてもらおうかと思うけど、いいかな?」
「すみません、いつもありがとうございます!気づかなかった。はい、大丈夫です」
私はネオ様に練習の成果を見せた。練習はたった2日だったけど、歪ながらもなんとか自分の下絵通りにタガネができるほどになっていた。
「すごいじゃないか!こんなにできるようになるなんて!頑張ったね」
「ありがとうございます」
粘土細工で作っていた下絵の1枚だけで練習したのも良かったのかも。他のものをやってみたらうまくできない気がする。
「そういえば、ローザ嬢は今度はどんなものをシルクリア商会に持って行くつもりか、もう思いついたのかな?」
「うーん、まだ具体的に思いついていなくて」
「そしたら、糸鋸もタガネも上手になったから、明日はどんなものを作るか考えて作る日にしよう」
「はい。何か浮かぶといいんですけどね」
私は練習に夢中になってしまい、まだ何も考えていなかった。
「明日は最初に約束してた1週間の最後の日になるから、お店を予約したんだけど、ちょっとここから離れていて、王都の中心の辺りにあるお店になるんだ」
「わーありがとうございます」
「夜がちょうど空いていなくて、ランチになってしまって良かったかなと思っていたけど、納品するものが思いつかないようなら、そのあたりにも露店街があるからそこを見て何か思いつくかもしれない」
そうなんだ、色々ジュエリーやアクセサリーもあるのかな。
「はい、参考になる店とかあればいいな」
「店だけじゃなくて、歩いている人も参考にしてみるといいよ」
人か〜あんまり見てなかったな。王都は色々な人がくるところだから参考になりそう。
「そうそう、お店はローザ嬢の好きなお肉が美味しいお店だから楽しみにしていて。個室を予約したよ。いつもよりちょっとドレスアップをしてきてくれると嬉しい」
「それはすごく楽しみです!!ありがとうございます!」
最初の日からしたら私とネオ様は色々な話をするようになり、仲良くなれたと思う。今じゃ、ご飯のお店まで予約してもらえちゃうんだもんね。
個室でドレスアップって、ドレスは持ってきていないけど、ワンピースでいいのかな?
「私、ワンピースしか持っていないけどそれでも大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。今日はそろそろ帰るね。タガネの練習お疲れ様。明日は11時ごろには迎えにくるよ」
「はい、気をつけて帰ってくださいね。ありがとうございます。わかりました、11時ですね」
ネオ様は帰っていった。私はネオ様が買ってきてくれた夕食を食べながら、シルクリア商会にどんなものを納品しようか考えようと思っていた。
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