51話 王太子視点
よろしくお願いいたします。
俺は急いで工房から王城へ向かっていた。ローザと楽しく夕食を食べていたらすっかり帰りが遅くなってしまった。
もっと早く帰るつもりだったが、美味しそうに食べているローザを見ていたら、俺も食べたくなってしまい、一緒になって食べていたら遅くなってしまった。
(食べていて遅くなるんじゃなくて、会話が弾んで遅くなってたら良かったのにね)
イングから鋭いツッコミが入った。2人とも食べるのに夢中で、会話はそこそこだった。
『俺が自分で言うのもなんだけど、会話は頑張った方だと思う』
(そうだね、最初露店街にいる時なんて“そうなんだね“しか言ってなかったもんね。それに比べたら夕食での会話は随分と進歩してたと思うよ)
いつも思うがイングはよく俺をみている。
『でも、なかなか話題を振ることができなかったな』
(その分、ローザがよく喋って、話題を振ってくれていたからいいよ)
『そうだな。ローザは比較的よく話すと思うし』
(うん、ネオとのバランスはいいと思うから、やっぱり守護精霊が番同士だけあるなって思う)
本当に不思議なものだ。ちゃんと自分と合う人が守護精霊の番持ちとなっている。
『イングには早くヤラと引きあわせてあげたいが、時間がかかってすまないな』
(もう、それは受け入れているから大丈夫だよ。それにね、なんか最近ヤラの方は以前のような頑なな感じがしないんだよね)
『そうなのか?』
イングはそう言っているが、俺はローザに意識がいって気づかなかった。
(うん、なんとなくだけどね。だからローザの気持ちもネオに向きつつあるんじゃないかなって)
『そうなら嬉しいが…。でも今ローザはシルクリア商会へ納品するための新しいアクセサリーのことでいっぱいだろうからね』
ローザは新しいアクセサリー作成で今は大切な時だ。
(これからあと6日ローザのところへ通うんでしょ?その間に今日の露店街デートみたいなデートをすればいいんじゃない?それだったらローザの負担にもならなそうだし、いいと思う)
『今日の露店街デート?』
(えっ!ネオ、もしかして今日の露店街デートに気づいてなかったの?)
『ただ一緒に夕食を買いに行っただけだが、デートになるのか?』
(も〜!あれは立派なデートだよ!!ネオはやっぱりまだまだだなぁ〜)
『そうだったのか。全然そんなつもりではなかった』
俺はこういうところが鈍感だと言われる原因なんだろう。
以前、王城に上がった高位貴族の女性と宰相から頼まれて王城にある庭園で散歩をしたのだが、その女性はデートのつもりだったらしい。俺はただの散歩だと思っていたが。
(ローザもちょっと鈍いからネオと同じように思ってたかもね)
『そうだろうな…。それらしきことは何も言ってなかったし』
(2人とも恋愛初心者だから仕方ないね。今度食事に行く時にちょっとデートアピールでもしてみたら?)
『ああ、今度は最善を尽くせるように頑張るよ』
(も〜いつも“最善を尽くせるように頑張るよ“っていっちゃって、ネオは硬いんだから!仕事じゃないんだから。もっと気楽にいこうよ。)
『はいはい、わかったよ。気楽にね』
(絶対わかってない〜)
俺はイングと会話しながらも歩くスピードは落とさずに帰っていった。
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