23 王太子視点
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ローザの話を聞いて、俺はローザのところのエイド子爵領がそんな状況だったなんて、今まで知らなかった。
守護精霊の顕現は王族がしているのだが、厳密にいうと、次期国王になる王太子である俺や国王陛下である父上に出会わないと顕現できない。
そうなると当然出会う機会が多い上位貴族と呼ばれる公爵、侯爵、伯爵程度までが守護精霊の顕現がしやすい。もちろん全ての上位貴族が顕現しているわけではないが。
しかし、伯爵より下の下位貴族となると、会う機会がほとんどないため守護精霊が顕現する機会はほとんどない。
俺も守護精霊が顕現するとその領が繁栄することはもちろん知っていた。だが、顕現していないからと言って、困窮の証となるであろう国への税金未納をしている領主は一人もいなかった。
だから、自力でもある程度は裕福でいられるものだと思っていた。
まさか、国に税金を納めることができていても、平民のような生活を送るほどに困窮している貴族がいるとは…
しかし、よく考えてみたら税金が払えなければ領地はそのうち没収されてしまう…
そうなってしまうなら、領主であれば何を差し置いても納税するだろう…
もしかしたら俺が知らないだけでローザと同じような生活やもっとひどい生活を送っている貴族もいるのかもしれない…
どうして俺は、領主である貴族全てのところに行って、守護精霊の権限をさせなかったんだろうか。
こんな有様で王太子といえるのだろか。俺は、自分のいたらなさに嫌気が差した。
俺が、ローザの方からお礼を言われるんじゃなくて、むしろ俺の方がローザに謝らないといけない。
「いや… 俺はローザ嬢にお礼を言われる資格なんてない… むしろ謝らないといけない」
「えっ?どうしてですか?」
ローザはなぜ俺が謝るのかわかっていないようだった。
「運命の魔術師である俺が、全ての貴族の領主の守護精霊を顕現させていればローザ嬢が話してくれたようなことにはなっていなかった」
「ネオ様… 」
今度はローザの方が驚いた顔をした。
「申し訳なかった。ローザ嬢の今までの人生を考えると、謝って済むものでもないかもしれない…」
ローザはなんて答えるのだろうか。
「……私は守護精霊を顕現してもらったから、過去のことはもういいです。でも、それよりも、まだ守護精霊の顕現していない貴族の方に、会いに行って守護精霊の顕現してあげてください」
「ああ。これからはそうするつもりだ」
「それならもうこの話は終わりです。ネオ様は私にきちんと謝ってくださいましたから」
ローザはまた俺に笑顔を見せた。
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