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よろしくお願い致します。
「ローザのアクセサリーが全部売れたから、今日は早いけど露店は閉めようか」
お父様が提案してきた。まだ半日しか露店を開いていないけど残っているガラス工芸を全部今日売る必要ないしね。私もお父様の考えに賛成だった。
「うん」
私たちは今日は早々に店じまいをして予約していた宿に向かうことにした。
宿は王都に来るといつも宿泊しているところだ。今更ながら王都というのは王城の城下町のことだ。
「あっ、そういえば宿に行く途中にネオ様の工房の前を通るね。ヤラ、まだネオ様に話しちゃだめ?」
さっきネオ様にもらった地図をみるとネオ様の工房は宿のそばだった。
(うーん…)
ヤラはなぜか煮え切らない反応だった。
「まだダメなの?話していいの?どっち?」
今までのヤラははっきりと自分の気持ちや考えを教えてくれていたけど、どうしたのかな?
「ヤラ?」
(やっぱり出会うしかないのか)
「えっ?何?」
(…なんでもない。いいよ。工房に行って話しても)
「よかった。ヤラの気持ちが変わって。工房も通り道にあるしね」
(本当は行きたくないけど)
「えっ?」
(なんでもない)
ヤラは渋々OKしてくれた。あとはお父さんに話して…
「お父様、実は宿に行く途中にネオ様のジュエリー工房があるの。さっき教えていただいたの。ネオ様が露店に見えた時に話せなかったから寄って話してこようと思うんだけど」
「ネオ様のジュエリー工房?そこはお店にもなっているのかい?」
お父様が私に尋ねた。
「どうだろう?そこまでは聞いてなかったけど、どうして?」
「一応ローザも貴族の娘だからな。もしネオ様と2人きりだとなぁ…」
お父様は私の貴族の娘としての体裁を気にしているようだった。
「2人っきりじゃないよ。私にはヤラもついてるし。ねっ、ヤラ?」
(うん、僕がついているから大丈夫だよ。もし何かあいつがしてくるなら僕がローザを守るよ)
いや、ネオ様はそういう人じゃないと思う。
なんかヤラってネオ様のことあいつ呼ばわりしたりネオ様に対して態度悪いよね。
「お父様、ヤラが守ってくれるみたいだから大丈夫だよ」
「まぁ守護精霊様もそう言っているなら行っておいで。あまり長居はせずに早く宿に戻ってくるんだよ」
「はーい。ありがとう」
「じゃあ、わしは一足先に宿に行っているからな」
「うん、わかった」
お父様は私と別れて宿の方へ歩いて行った。
私は1人で歩きながらヤラとさっきの会話の続きを頭の中でしていた。
『でも何かあった時に守ってくれるのはどうやってくれるのかな?』
(ローザと最初に夢で実体であったよね?僕は特別なことがあると実体化できる)
『えっ!本当?』
(うん。実体になって魔法を使ってローザを守る)
『そうなんだね。頼もしいね』
何かあるのは困るけど、また実体のヤラに会いたいと思った。
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