14 王太子視点
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ローザに俺のジュエリーを無事に渡すことができた俺はイングと共に昨日のハンバーグの店の近くの宿に泊まってローザの守護精霊が顕現するのを待っていた。
本当は、ローザ自身が身につけ続けるのを選択して守護精霊の顕現を待ちたかったが、早く番と会いたいイングにせっつかれて、ローザと交換したネックレスに、早く守護精霊が顕現するように遠隔で特別な魔力を込め、無意識にずっと身につけてしまうようになっていた。
ふいにイングが反応した。
(ネオ〜!!ローザの守護精霊が顕現したみたいだよ!)
「それは本当か?」
イングが自分の番の顕現に気づいた。
(うん、この感じは間違いないと思う!わーやっとだよぉ〜)
半泣きになりながらイングが喜んでいた。
「良かったな。6度目の正直ってやつか」
(もーそれは言わないの!!でもおかしいんだよね。番のエネルギーを感じるから顕現していることは間違いないと思うんだけど、コンタクトが来ないよ〜すぐに私にコンタクトを取ってきてもいいのに)
イングの言う通りだった。番を持つ守護精霊が顕現するとすぐさま番を探し出し、出会おうとする。イングがいい例だ。今回イングの働きでローザの番の守護精霊が顕現できた。
しかし、そのままイングが魔法を使って呪文を唱えてイングからコンタクトを取り番の守護精霊と出会うわけではない。番である以上一方的なことはない。
今度は無事に顕現したイングの番であるローザの守護精霊の方からイングを探すのだが、ローザの守護精霊である番からイングにコンタクトが来ないのだった。
(どうしたんだろう?私の番…)
イングは今にも泣きそうな様子だった。普段元気いっぱいで明るいイングが泣きそうになっていると俺もすごく心配になる。
「イング、本当は向こうからコンタクトが来るものかもしれないけど俺たちの方からも探しに行かないか?多分ローザはそんな遠くにまだ行っていないと思う」
(……本当はこっちから動かずにコンタクトを待っていたいけど、来ないからしょうがないね… )
イングは渋々ながらも俺の申し出を受け入れた。
「じゃあ、俺はちょっと今から朝食を食べに行くよ」
(わかったー、ネオが朝ごはん食べている間に私は番が今どの辺りにいるかちょっと探ってみる。癪だから私からは探るだけでコンタクトしない)
イングは拗ねながらも自分からまた番の居場所を探すことにしたようだ。
そんなイングを見て俺は可哀想になり、一刻も早く朝食を食べてこようと思った。
「イング、お待たせ。今から宿のチェックアウトをしてローザを探しに行けるよ」
朝食を食べ終わった俺はイングに声をかけた。
(ネオ〜!どうやら王都にいるみたい)
イングがローザの居場所を掴んだようだ。ローザの居場所と言うよりイングからしてみたら番の居場所だ。
でも、俺からしてみたらローザの番の守護精霊のことよりもローザ自身の方が気になってしまう。
守護精霊のことで何かあると運命の魔術師は本人より守護精霊の方を気にするものだ。
だけど、今回のことは俺自身のことでもあるし、俺はやっぱりイングの言う通り番のパワーに当てられてるのだろう。もうこれは自分でも認めるしかないと思った。
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