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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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57.じいじ、オフ会をする

「じいじ、かっこいいね!」

「わしは昔からかっこいいぞ? なぁ?」

「んー、お父さん服には無頓着だったからね……」


 服は妻がよく買ってきてくれたからな。

 亡くなってからは、シングルファザーで忙しくて服を買う暇もなかった。

 そもそも服が伸びても、わしより娘に買ってあげたかったからな。


「じいじ、お人形さんみたいになってたね」

「こんな服着たことないからな……」


 娘はわしを人形のように服を着せ替えた。

 車椅子に乗っているから、試着するのも大変だからその場で選んで買った服装だが、着てみると意外に似合っていた。


「淡いブルーのスタンドカラーシャツにチャコールグレーのカーディガンが似合ってるわね」

「ん? それは何かの呪文なのか?」


 ただ、青の服にグレーの上着、黒のゴム入りスラックスに革靴風の脱ぎ履きしやすい黒色の靴だ。

 服は時代によって名前が変わるから付いていけないな。

 そんなたわいもない話をしていると、目的のお店に着いた。


「あれが奏汰かな?」


 店の入り口には車椅子に乗った少年と娘ぐらいの年齢の女性が立っていた。


「奏汰ー!」


 陽希はすぐに走り出して、奏汰の元へ向かう。

 奏汰は一瞬驚いたのかビクッとしていた。

 遠くから見ても、少し戸惑っているような気がする。


 中々同じ年頃の子に車椅子姿を見せたくないかな?


「わしらも行くぞ!」

「ちょ、お父さん!」


 わしはフットレストを上げて、動きやすい方の手足を使って陽希を追いかける。


「じいじ、奏汰だよ!」

「陽希、そんなに慌てたら奏汰もびっくりするだろ」


 奏汰と違って陽希は会えて嬉しそうな表情をしていた。

 あれだけ毎日遊んでいるのに奏汰は人見知りのようだな。


「奏汰、じいじだ」

「じいじ……? おじいさんも車椅子だったんだね」

「ははは、わしは左手も足もうまく動かせないからな」


 わしが車椅子に乗っていることをお母さんからは伝えられていないのだろう。

 動かせられる力を振り絞って、わしは左の手足を動かす。

 ゲームの中では走り回ったり、料理もしているが、現実では全く動けない年寄りだ。


「奏汰は僕が押すから、じいじは頑張って漕いできてね? これもリハビリだからね」

「プッ……陽希は変わらないね」

「僕は僕だよ?」


 陽希は奏汰が言ったことを気にしていないのか、そのまま陽希を押していく。


「うちの奏汰がお世話になります」

「こちらこそ陽希がお世話になっております」


 わしらの後ろでは両親がペコペコと挨拶をしている。

 お店に入ると個室になっており、車椅子が入りやすいように場所が確保してあった。


「ここのお店、車椅子でも利用しやすいんですよね」

「こんなにお店が広かったの知らなかったです」


 今回来ることになったお店は、わしがよく利用している個室になっている広めのお店だ。

 車椅子だとバリアフリーじゃないと中には入れないし、ソファーや座敷になっていると座ることすらできない。

 椅子を動かすだけで車椅子のまま食べられるお店は、以前より増えたがあまり多くないからな。


「ポンとゴマがいないと寂しいね」

「陽希は本当にポンとゴマが好きなんだね」


 陽希にとったら、ポンとゴマは家族みたいな存在だからな。


「奏汰もじいじも好きだよ?」


 陽希は正直な子だから、奏汰も戸惑っている。


「あっ……僕も陽希のことは好きだよ」


 少し恥ずかしそうに奏汰は陽希に気持ちを返していた。

 そんな姿もわしらにとっては可愛い子どもたちだ。

 陽希と奏汰は話すことに夢中で、二人はわしらに見られていることに気づかないようだ。


「そういえば、おばあちゃんの写真を持ってきたよ!」


 陽希は娘から写真を預けると、テーブルに広げた。


「本当に梅子さんとそっくりだね」

「じいじがおばあちゃんって呼んだ理由がわかったよ」


 写真に写っている妻の姿を見て、昔の懐かしい思い出が蘇る。

 やはり写真で見ても、ゲームにいるあっちの梅子とそっくりだな。


「ポンとゴマに会いたいな」

「また帰ったらみんなで遊ぼうね」

「うん!」


 わしもゲームの話を聞いていたら、早くログインしたくなってきた。

 いつもならすでにログインをしている時間だから、ポンとゴマも心配しているかもな。


「そういえば、奏汰は今何歳なんだ?」

「今6歳だよ!」

「そうか……6歳……って小学一年生か!?」


 わしは陽希の顔を見るとやはり驚いていた。

 そして、娘も一緒になって驚いている。


「僕と奏汰って同級生なの!?」

「そうなの?」


 二人の言葉にお互いの両親は頭を縦に振っている。

 住んでいるところも近くて、車で10分もかからない距離に住んでいる。

 ってことは――。


「「同じ小学校なんだね!」」


 陽希と奏汰は同じ小学校に通っていることが発覚した。

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