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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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56.じいじ、運命は突然に

――プルルル……プルルル……


 ログアウトしてしばらくすると、スマートフォンが鳴り出した。

 表示される電話番号を見たことないが、きっとカナタの家族がかけてきたのだろう。


「いつも息子の奏汰がお世話になっております。おじいさんの電話番号で間違えないでしょうか?」

「はい、じいじです」


 本当にカナタの家族から電話がかかってきた。

 電話の隣からはゲームの時のようにカナタの声が聞こえてくる。


「今息子に変わり――」

「おじいさん!」

「ははは、こっちのカナタも元気いっぱいだね」


 声帯もゲームの世界ではリアルに作られているため、スマートフォン越しに聞こえるカナタの声は同じのようだ。


「おじいさんも変わらないね」


 カナタもわしの声を聞いて一安心をしていた。


「少しお母さんに代わってもらってもいいかな?」

「うん! はい、お母さん」


 すぐにカナタのお母さんに代わってもらった。

 まずは陽希と直接会うにはどこに住んでいるのか確認が必要だからな。


「すみません、奏汰がハルキくんに会いたいと言ったばかりに……」

「いえいえ、子どもたちの願いを叶えるのは祖父の役目ですからね」

「毎日ハルキくんとおじいさんの話は窺っております」


 本当にカナタはわしらの話を毎日しているようだ。

 それだけカナタもゲームを楽しんでいるのだろう。

 ちなみにカナタは現実世界でも奏汰と漢字で書いて、カナタと呼ぶらしい。


「それで奏汰のお願いなんですが、大変嬉しく思っておりますが、今回はなしにしていただけないでしょうか」

「ははは、知らない人に会うのは怖いから仕方ないね」


 突然、子どもが会いたいと言っても、知らない人と会うのはリスクがある。

 わしも過去にゲームのオフ会でたくさんの人に会ったが、大人と子どもでは危険度やリスクは違うからな。


「あの、うちはちょっと……車椅子なんです。だから、遠出になるとやっぱり……」


 奏汰のお母さんからは、病気によって奏汰が長いこと外出ができないこと、遠い場所だと移動が大変なことを心配していた。

 同じ車椅子に乗っている身としては、確かに大変なのは理解している。


「それなら娘と陽希に伝えて、奏汰に会いに行ってもらうのはどうかな? わしらは愛知県に住んでいるが……」

「えっ……私たちも愛知県です!」


 どうやら同じ愛知県に住んでいるようだ。

 それなら話は早いだろう。


「ちなみに私たちは名古屋の熱田区に――」

「おー、わしらも熱田区に住んでおるぞ!」


 まさか奏汰が近くに住んでいるとは思いもしなかった。

 そこまで近いなら、すぐに日程調整もできそうだ。

 その場で電話番号を再度確認して、わしは娘に伝えることにした。


――翌日


「じいじ、おはよう!」


 朝食を済ませて、ログインしようとしたら、突然陽希がやってきた。

 その後ろには娘も楽しそうに笑っている。

 あれは何か企んでいる顔だぞ。


「お父さん、昨日奏汰くんのお母さんと連絡して、今日一緒にランチに行くことになったの!」


 どうやら昨日連絡して、すぐに予定が調整できたらしい。

 会いに行く前にわざわざ直接施設に来て、言いに来てくれたのだろう。


「楽しんで――」

「じいじも行くんだよ?」

「へっ!?」


 理解が追いつかない頭をよそに、陽希はわしの車椅子を押していく。


「施設長! じいじと出かけてくるね」 

「陽希くん、気をつけてね!」


 わしも一緒に奏汰と会えるのは嬉しいが、こんな見窄らしい服装で行ってもいいのだろうか。

 そんなわしを娘は見ていたのか、目が合うとまた企んでいる顔をしていた。


「お父さん、今何時かわかる?」

「さすがにそこまではボケていないぞ。今は9時過ぎだよな?」

「そうよ。今からショッピングをしてから、奏汰くんに会いに行くからね」


 わしの心配はいらなかったようだ。

 事前に奏汰くんへのお土産を買いに行くついでに、わしの服も買いに行くことになった。

 久しぶりのオシャレにわしはドキドキしたが、服はついでだったんだな……。

お読み頂き、ありがとうございます。

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