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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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50/58

50.じいじ、通じ合う

『キッチキチ♡』

『キュー!』


 目の前に現れたやつに対して、ゴマは強力な一突きを繰り出した。


――ダメージ500


 さっきよりはダメージも大きいが、やつの攻撃に比べたら低いのは一目瞭然。


『キッチィイイイイイ!』


 だが、ヘイトが集まっているところを見ると、ゴマはスピード型のタンクのようだ。

 さすがワールドボスって感じだな。


「これはレイドバトルだから、すぐに他のプレイヤーを集めましょう!」


 レイドバトルって何人かで強力な敵を倒す戦い方だったはず。

 だからやつの攻撃は一撃即死ばかりなんだろう。

 ただ、問題が一つだけある。


「いや、ちょっと待ってくれ!」


 もしここにプレイヤーが集まったらハルキの存在がバレてしまう。

 ハルキがワールドボスをテイムしている人だとバレたら、大人たちに狙われるかもしれない。


「ハルキがバレたら――」

「それはいけませんね。私の推しは、私だけが知っていればいいですからね」


 どうやらラブショターンには、意図が伝わったようだ。


「ハルキはわしの後ろに隠れて、ポンとゴマに指示を出してくれないか」

「わかったよ!」


 ハルキは特に理由も聞かずに、わしの後ろに回って姿を隠す。

 これでハルキは気にせず、ポンとゴマに指示が出せるだろう。


「よし、プレイヤーを呼んでくれ! その間にわしらが時間稼ぎをすればいいんだな」

「お願いします!」


 時間稼ぎをするって言っても、ほとんどがゴマとポンがするだろう。


『オレは土の精霊だゴラッ!』

『ゴラッ!』

『ゴラッ!』

『ゴラッ!』

『ゴラッ!』


 存在を忘れていたニンゴラがひょこっと姿を現す。

 その隣には小さなニンドラゴラが並んでいる。

 まるで子どもたちが大好きな戦隊モノ。


『オレら……にんじん戦隊、ニンドラゴラレンジャーだゴラッ!』

『ゴラッ!』

『ゴラッ!』

『ゴラッ!』

『ゴラッ!』


 ニンゴラの腰に付いていた、小さなにんじんがなくなっている。

 きっとあのにんじんがニンドラゴラになったのだろう。

 ニンゴラの能力が関係しているのかはわからないが、合図とともに小さなにんじんは走っていく。


――ダメージ15

――ダメージ15

――ダメージ14

――ダメージ13

――ダメージ20

――ダメージ15

――ダメージ15

――ダメージ11


 小さな攻撃が多段ヒットするタイプの技らしい。

 ただ、真ん中のニンゴラは一切戦ってないぞ?


『キッチイイイイ!』


 やつもイライラしているのか、必死に手を動かすがゴマとニンゴラの攻撃が何度も続く。

 顔の周りを蚊やハエが飛んでいるのに近いのだろう。


「よし、ポンも行くんだ!」

『にぁん?』


 あれ……?

 ポンはわしの方を見ては、視線をプイッとずらす。

 戦う気がないのだろうか。


「ポン、お願いね!」

『ゴロゴロ、にゃーん!』


 ハルキの願いには甘えた声でやつに突っ込んでいく。

 どうやらテイマーの言うことしか聞かないようだ。

 反抗期――。


「うわっ!?」


 急加速するポンの背中で、わしは危うく振り落とされそうになる。

 今まで口に咥えられていたから、落ちそうだと感じたことがなかった。

 それに風を突き抜けていく感覚が心地良い。

 森の中だと尚更疾走感もすごいだろうな。


『にゃーん!』


――ダメージ2000


 やはりポンの一撃は重かった。

 ゴマのクリティカル攻撃4回分もある。


『キッチキチ♡』


 だが、やつはあまり効いてないのか、わしが近づいてきて喜んでいる。


「ポン下がれ!」

『にゃ?』

「いいから!」


 わしの言葉に嫌々ながらも、ポンは後ろに下がる。

 目の前にはやつの手が過ぎていく。

 ゲーマーのわしはやつの視線がポンに向いていたことに気づいていた。

 きっと、攻撃をしてくると感覚的にわかっていた。


「ポン、左に大きく飛べ!」

『にゃ……』


 またしても嫌々ながらもポンは大きく左に飛び上がる。


――ドン!


 わしらがいた場所の地面には大きな地割れができていた。

 一歩遅れていたら、確実に押し潰されていた。

 ただ、やつの動きは基本視線の動きで次の行動が分かりそうだ。


『キッチキチ♡』


 やつはわしと視線が合って嬉しそうにしていた。

 まるで、恋人と目を合わせたときのような、そんな眼差しで。


 ああ、ゴキブリと見つめ合う日が来るとはな……。

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