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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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48.じいじ、好かれる

「これをわしが着れば――」

「ちげーよ!」


 わしはアイテムを受け取ろうとしたら、手を弾かれてしまった。


「わしが着るんじゃないのか?」

「誰がくそじじいのコスプレなんか見た……いの!?」


 ラブショターンの視線はカナタに向いていた。

 カナタを見ると、なぜかキラキラした目でわしを見つめている。


「本当に着るのか?」

「うん……おじいさんが着てくれるなら僕も――」

「よし、じいさん着てこようか!」


 ラブショターンは無理やりわしに、アイテムを渡してきた。

 町が大変なことになっているのに、今から着替えてこさせるつもりだろうか。


「これは受け取っておくから、また今度――」

「「いますぐ!」」


 なぜかカナタとラブショターンの息が合ってる。

 そんなにわしに着させたいのだろうか。

 今も町の奥では戦っている音が聞こえてくるぞ?


「はぁん♡ カナタくんと私は相性がいいのね」

「違うよ! カナタは僕が一番の親友だもん!」


 ハルキはカナタに飛び込むように抱きつきにいく。

 親友のカナタがハルキは奪われると思ったのだろう。

 子どもの時って親友がどうかって取り合いになってたりする年ごろだもんな。

 ただ、ラブショターンは時が止まったように固まっていた。


「大丈夫?」

「大丈夫ですか?」


 そんなラブショターンをハルキとカナタは心配している。

 本当に優しい子たちだな……。

 わしは着替えに行こうとしたが、中々この場を離れられないでいた。


「もうダメ……ショタの踊り食い状態だわ……」


 その場に崩れるようにラブショターンは倒れた。

 ただ、二人の可愛さにやられたようだな。


「ポンとゴマ、二人を頼んだぞ」


 このままではずっと着替えられないだろう。

 ポンとゴマがいれば問題はない気がする。


『にゃ!』

『キュ!』

『おい、オレもいるゴラッ!』


 どうやら言わなくてもわかっているようだ。

 ああ、にんじんは気にしないでおこう。

 わしは近くの建物の瓦礫に隠れて、早速着替えていく。


「本当にコレを着るのか……」


 ベヒモスの装備の時はまだネコがモチーフだったからよかった。

 今回に至ってはウサギがモチーフになってる。


 じいさんがウサギって……。

 しかも、元々は女性が着たら、バニーガールみたいに見えて可愛いってアバターだろうに。

 じいさんが着たら可愛いも何も――。


「んっ、意外にわしでも似合うかもしれないな」


 着た感じはどことなく着ぐるみ感なのは、ベヒモス装備の時と変わらなかった。

 ただ、腹巻きと装具はベヒモス装備の時と変わらず、表に出てきてしまう。

 鏡がないため、被り物のウサギ耳付きフードが見えないのは残念だ。


「そろそろみんなのところに戻るか」


 肩に何かで突かれているような衝撃を感じた。


――ダメージ9


 ハルキたちが迎えに来てくれたのだろうか。

 わしはゆっくりと振り返る。


「どうだ、じいじのウサギ姿は似合って――」

『キチキチッ!』


 なんだこいつは……。

 まるで人間サイズの巨大なゴキブリ――。


【魔物情報】


名前 クロカサヒメ

詳細 暗所に巣を作り続けるクロカサカサの女王。

   肥大化した腹部から無数の卵を産み落とし、短時間で群れを増殖させる。

   枯専(・・)

属性 闇属性/精神支配属性


 知恵袋の情報では、確実に黒光のやつで間違いはない。

 ただ、違うのは名前が〝クロカサヒメ(・・)〟になっており、確実に雌ってことだろう。


『キチキチッ!』


 しかも、明らかに好意を抱いて近づいてきているような気がする。

 だって、自身の豊満なボディを見せつけようとしているからな。


「うっ……気持ち悪い……」


 ただ、見せつけられているのは、黒光りしたやつの裏側だ。

 気持ち悪いと思っても仕方ないだろう。

 それにさっきから鳥肌が止まらない。

 ゾクゾクとして、逆に恋愛だと勘違いするレベルだろう。


「うわああああ! 来るなー!」


 わしは急いでその場から逃げるように立ち去る。

 あんなやつに狙われるなんてたまったもんじゃない。

 詳細に書いてあった、あの二文字は確実にわしのことをホの字のやつだ。


『キッ……キチキチッ♡』


 あいつは絶対勘違いしているだろう。

 わしを獲物のように追いかけてくる。

 まるで海岸を走るカップル……いや、これは命懸けのデスゲームだ!

 捕まってしまえば、色んな意味でゲームオーバー。


「ああ……もうこのゲーム終わりだな……」


 わしが走るたびにクロカサヒメは卵を産み落としていく。

 卵がすぐに割れると、小さな黒光りのやつらが生まれてくる。

 それでもわしは逃げることしかできない。

 回復する暇もなく、すでに体力が1しかないからな。


『キチキチッ♡』


 わしが立ち止まるまで、やつは嬉しそうに卵を産み落として追いかけてくるだろう。

お読み頂き、ありがとうございます。

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