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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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41.じいじ、生まれて後悔する

 わしらは外に出て、にんじんの種を植えているところに向かう。


「カナタ、どうだ?」

「これもクールタイムが出てるよ! しかも、かなーり長いやつ」


 どうやらにんじんも思っていた通りクールタイムがあるらしい。

 わしらには確認できないため、クールタイムが関わるスキルがないと確認できないようだ。


「じいじ、どうする?」

「んー、せっかくだから成長を早めてもらった方がいいんじゃないか?」


 わしはにんじんを育てるのが難しいと聞いている。

 芽だけでもちゃんと出れば、失敗することは少なくなるだろう。


「じいじがいいなら……」


 ハルキはどこか寂しそうな顔をしていた。

 一緒にゆっくりと家庭菜園をしたかったのだろうか。

 カナタは再びスキルを発動させる。


「おっ、芽が出てきたぞ!」

「ほんとだー!」


 芽が出てきたにんじんをわしとハルキは眺める。

 だが、思ったよりもぐんぐんと芽は伸びていき、葉が生えてきた。


「おじいさん、もうここまでが限界みたい。寒さが足りないって出てきた」


 どうやらにんじんができるまでには、寒さが必要になるらしい。

 たしかに冬を越したにんじんは甘くなるって聞いたことがある。


「にんじんは冷えたら……」

「ひんじん!」


 突然、ハルキが何かを言い出した。

 わしとカナタがハルキを見ると、顔を赤く染めていた。


「……えへへ、これで寒くなるかな?」


 どうやらダジャレを言って寒くなれば、にんじんができると思っているのだろう。

 さすがにそんなこと――。


「うっ、動いたぞ!?」


 にんじんの葉がわずかに動いた気がする。

 それに土もさっきよりボコって出てきているから、きっと大きくなっているぞ。


「ポンがくしゃみをすると……」

「にゃんくしょん!」


 おっ、にんじんの葉がニョキニョキしてきたぞ。

 もう少しで土から生まれる気がする。

 それにポンのくしゃみって面白いな。

 本当にするか今度聞いてみよう。


「ゴマが冷たい風に当たって……」

「ひゅーさぎ!」


 何でもダジャレにしたい年頃ってあるもんな。

 ハルキとカナタは相性が良いのか、その後もダジャレをお互いに言い続けていた。

 おやじを超えて、じいじのわしですら震えが……いや、これはじいじ狩りの影響で起きた筋肉痛だった。

 ずっと全身が痛かったのを忘れていた。


「あっ、これでまたスキルが――」


 ダジャレのおかげでにんじんは寒い時期を越せたようだ。

 カナタのスキルも再び使えるようになったと表示されているらしい。

 再びカナタはスキルを発動させようとしたら、どこか違和感を覚えた。


「あれ? また動かなかったか?」


 ダジャレを言っていないのに、にんじんが動いている気がする。

 あまりの寒さに震えていたのだろうか。


「ほんとに……? じいじ、認知症じゃ――」


――ポンッ!


 土が弾け、オレンジ色の物体が飛び出す。

 その瞬間、頭に葉っぱをつけたにんじん?が立ち上がり、ニヤリと笑った。


『初めましてー! 自己紹介ですって? はい、〝ジコ〟紹介なんで、ちょっと事故ってますけどねー!』


 うん……。

 このゲームのにんじんってやっぱり普通じゃないのか?

 勝手に土から出てきた時点でおかしいと思ったが、まさかここまでにんじんもおかしいとは思わなかった。


 きっとこいつも川魚と一緒で魔物――。


【知恵袋】


名前 ニンドラゴラ(土の精霊)

詳細 寒さを経て甘く育つはずのにんじんが、ダジャレによる冷気を栄養源に異常成長。言霊の力に共鳴し、意思を持って芽吹いた土の精霊。どうやらダジャレが好物らしい。

属性 土属性


 魔物でもなく、土の精霊みたい。

 完全にダジャレを聞いた影響で生まれてしまったようだ。


「はぁー」

『根に持つタイプだからね! 根菜だけに!』


 ああ、やっぱりこの世に生んではいけないものを生んでしまったな。

お読み頂き、ありがとうございます。

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